売上に関する記録をまとめた「売上台帳」は、事業復活支援金の申請時に必要な書類の1つです。
提出する売上台帳には必ず記載すべき事項がありますが、
「具体的にどの項目を書けばよいか」
「どのようなフォーマットで作成すればよいか」
といったことに、あいまいな事業主も多いのではないでしょうか。
この記事では、事業復活支援金申請に必要な書類の概要や売上台帳の書き方、事業復活支援金の概要などを解説します。
また、「エクセル」「Googleスプレッドシート」「PDF(手書き)」でつかえるひながたを用意しました。
この記事を読めば、申請時に提出する売上台帳がかんたんにつくれます。
- 目次 -
事業復活支援金申請に必要な書類
事業復活支援金の申請に必要な主な書類は、次の5つです。
- 1.対象月の売上台帳
- 2.確定申告書
- 3.振込先の通帳
- 4.本人確認書類または履歴事項全部証明書
- 5.宣誓・同意書
これまでに「一時支援金・月次支援金の受給実績がない」かつ「登録確認機関と継続支援関係(引用図参照)がない」事業者の場合は、さらに次の3書類を準備してください(どちらか一方に当てはまれば場合は必要なし)。
- 6.基準月の売上台帳等
- 7.基準月の売上に係る通帳等
- 8.基準月の売上に係る1取引分の請求書
なお、雑所得・給与所得で確定申告した個人事業主や、申請時の特例を用いるケースなどは、別途で書類が必要な場合があります。
また、審査中に給付条件未達のおそれが出たときは、追加で別の書類の提出が求められる可能性があります。
1.対象月の売上台帳
対象月の売上台帳は、実際に売上が下がったことを証明するために必要です。2021年11月~2022年3月までのものが対象になります。
基本的な項目は、対象月、日付、商品名、振込先、取引金額、合計金額などです。対象月の月間事業収入かつその合計額を明記し、合計額にはマーカーなどで印を付けてください。
2.確定申告書
提出する確定申告書は、選択する基準期間や青色・白色申告の区分などによって、用意する証拠書類の種類・枚数が変わります。
まず申請区分による証拠書類の種類・枚数は次の図のとおりです。
出典 個人事業者等(事業所得) | 申請に必要な証拠書類 | 事業復活支援金
用意する確定申告書の枚数は、選択する基準期間が「2018年11月~2019年3月」「2020年11月~2021年3月」の場合は3枚、「2019年11月~2020年3月」の場合は2枚です。
準備する年度の確定申告書は、次の引用図を参照ください。
出典 個人事業者等(事業所得) | 申請に必要な証拠書類 | 事業復活支援金
なお、確定申告書に個人番号(マイナンバー)が書いてある場合は、塗りつぶすなどして必ず第三者が確認できないように添付しましょう。
3.振込先の通帳
事業復活支援金の振込先となる通帳を添付します。個人事業主の場合は申請者名義、法人の場合は法人名義のものです。
スキャン・撮影をする際は、次の情報が確認できるようにしてください。
- 金融機関名
- 支店番号
- 支店名
- 口座種別
- 口座番号
- 口座名義人
上記がすべて確認できるよう、必要に応じて通帳の表面・1ページ目・2ページ目が見えるように添付します。
もし電子通帳などで紙の通帳がないのであれば、口座がわかるような画面などの画像を添付しましょう。
4.本人確認書類または履歴事項全部証明書
個人事業主の場合は本人確認書類、中小・中堅規模の企業の場合は履歴事項全部証明書を準備します。
本人確認書類は、運転免許証(運転経歴証明書)、マイナンバーカード、写真付きの住民基本台帳カード、住民票(発行から3か月以内)などが該当します。住所・氏名・顔写真がはっきりと確認できるかたちで添付しましょう。
住所は、申請時に登録する住所と同一である必要があります。
履歴事項全部証明書は、法務局の公式サイトから申し込むことで、オンラインで請求できます。3ヶ月以内に発行かつ、申請時の代表者名が記載されたものを用意しましょう。
5.宣誓・同意書
宣誓・同意書とは、事業復活支援金を申請するに当たり、「給付条件を満たしていること」「虚偽がないこと」「事業の継続および立て直しを継続的に行うこと」などについて、事業者の宣誓・同意を示すための書類です。
宣誓・同意書には国が指定したフォーマットがあります。必ずそのフォーマットを使いましょう。個人・法人ともに同じフォーマットです。
書類への署名は申請者本人や法人代表者本人が行います。視覚や手指の障害などで署名が難しいときは、代筆が認められています。
6.基準月の売上台帳等
基準月(基準期間の対象月と同月)の事業に係る帳簿が必要です。フォーマットや記載内容については、「1.対象月の売上台帳」で解説したものと同じになります。
添付の際には、後述する「8.基準月の売上に係る1取引分の請求書・領収書等」に該当する箇所に、マーカーなどで印を付けるといった対応が必要です。同時に、取引日の明記も忘れないようにしましょう。
7.基準月の売上に係る通帳等
取引先からの売上の振込がなされた事実を確認できる、申請者本人・法人代表者名義の通帳を添付します。
ただし「基準月を含む年度の年間売上高が1億円以下の法人」かつ「法人口座がない」場合は、代表者名義の口座通帳の写しと本人確認書類を添付します。
添付の際は、「口座名義人」「基準期間の対象月同月の取引」の2点がわかるようにスキャン・撮影を行ってください。
もし事業活動で通帳を使っていない(現金取引など)といった、合理的な理由で提出できない事業者は、指定のフォーマットにて理由書を作成・提出すれば代替できます。
こちらも取引日の明記とともに、「8.基準月の売上に係る1取引分の請求書・領収書等」に該当する箇所には、マーカーを引くなどの対応を行います。
8.基準月の売上に係る1取引分の請求書・領収書等
基準期間の対象月同月の取引に係る、請求書や領収書なども添付します。添付の際は、次の事項に注意します。
- 取引日を明記する
- 「6.基準月の売上台帳等」「7.基準月の売上に係る通帳等」で印を付けた箇所と金額が一致する箇所に、同じように印を付けるなどの対応をする
こちらに関しても、7と同じく理由書で代替できます。
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売上台帳の書き方と無料ダウンロード
申請時に提出する売上台帳は、事業復活支援金の事務局が読みやすく、なおかつ内容がはっきりとわかるような記載を心がけましょう。売上台帳の書き方を解説します。
売上台帳に必要な項目
事業復活支援金申請用の売上台帳には、対象月、日付、商品名、販売先(取引先)、取引金額、合計金額の記入が必要です。
- 対象月(基準月):対象月(基準月)であると判断できるように「2022年◯月」と明確に記載します。
- 日付:売上が発生した日付を「12月1日」や「12/1」などわかりやすく記載します。あわせて伝票番号なども書いておくと便利です。
- 商品名:販売した商品名やサービスを記載します。
- 販売先(取引先):「〇〇株式会社」「〇〇商事」など、販売先がひと目でわかるように記載します。
- 取引金額:1取引ごとの売上金額の合計を記載します。販売した商品・サービスの単価や数量も書いておきましょう。
- 合計金額:対象月(基準月)の売上の合計を記載します。
フォーマットや作成方法
売上台帳は、基本的な事項さえ記載していればフォーマットに指定はありません。例えば、次のフォーマットでの作成が認められています。
- 会計ソフト(経理ソフト)から出力したもの
- エクセルデータ
- Googleスプレッドシート
- 手書きの売上帳
また、名称も売上台帳ではなく、売上高元帳や売上管理簿などでも問題ありません。
ただし、次の形式は売上台帳として認められませんので注意しましょう。
- 勤務日報
- 通帳の入金記録
- 給与明細
- レシート
- 請求書・納品書
テンプレートの入手方法
ドリームゲートでは、エクセルとGoogleスプレッドシート、PDFの売上台帳のテンプレートを無料で提供しています。
このテンプレートは、次の形式でダウンロードできます。
- エクセル(Windows、Mac)
- Googleスプレッドシート(エクセルがパソコンに入っていない方)
- PDF(印刷して手書きで作りたい方)
エクセル形式のテンプレートダウンロード
エクセル形式はこちらからダウンロードが可能です。2シート目に書き方の見本があります。WindowsでもMacでも編集が可能です。
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Googleスプレッドシートのテンプレート
エクセルがパソコンに入っていない方はGoogleスプレッドシート上で編集が可能です。
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PDF(手書き)のテンプレートダウンロード
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事業復活支援金とは?
事業復活支援金とは、新型コロナウイルスの感染症の拡大・長期化によって、「事業の需要低下」や「商品・サービスなどの供給制約」などが発生した、中小企業・個人事業主などに補助金を支給する制度です。
2021年11月~2022年3月のいずれかの月の売上高が、2018年11月~2021年3月までの間の任意の同じ月の売上高と比べて、50%以上または30%以上50%未満減った事業者が対象になります。
<給付額> 基準期間の売上高-対象月の売上高×5 |
給付金額は売上の減少率や、任意の同じ月が含まれる年の年間売上高によって変わります。法人の上限額は60万~250万円、個人事業主は30万~50万円です。
おおよそですが、減少した(損失した)金額分だけ補てんするイメージになります。
事業復活支援金の特例
事業復活支援金は、時期的な問題・経営上の都合などで書類準備や給付金額の計算が難しい事業者向けに、「証拠書類等および給付額の算定等に関する特例」を設けています。
・証拠書類等に関する特例:確定申告の義務がない個人事業主の場合、住民税の申告書類の控えで代替可能。また、合理的な理由で確定申告書が提出できない法人の場合、税理士の署名がある事業収入を証明する書類で代替可能。
- 季節性収入特例:季節的な要因などで月当たりの収入額の変動が大きい場合、それに合わせた計算方法を適用。
- 新規開業特例:2019年~2021年10月に開業した事業者に合わせた計算式を適用。
- 合併特例:2021年1月以降かつ、基準月から対象月の間に合併した事業者に合わせた計算式を適用。
- 事業承継特例:2021年1月以降かつ、基準月から対象月の間に事業の承継を受けた事業者に合わせた計算式を適用。
- 法人成り特例:2021年1月以降かつ基準月から対象月の間に法人成りした事業者に合わせた計算式を適用。
- 連結納税特例:連結納税をしている事業者の場合、それぞれの法人ごとの給付や書類に関して特例を適用。
- 罹災特例:2018年または2019年の罹災を証明する罹災証明書等を有する事業者に合わせた計算式を適用。
- NPO法人・公益法人等特例:特定非営利活動法人や公益法人について、給付や書類に関して特例を適用。
事業復活支援金申請に必要な事前確認と登録認定機関
事業復活支援金を申請するには、事前に登録確認機関による事前確認が必要です。
事前確認とは、申請者の不正受給や誤認申請などを防止する目的で、あらかじめ次の項目のような内容をチェックすることです。
- 事業を実施しているか
- 新型コロナウイルスの影響を受けているか
- 事業復活支援金について正しく理解しているか
事前確認は、対面またはテレビ会議などで実施します。確認事項は、必要書類の有無や宣誓内容などに関する質疑応答などです。給付できるかどうかの判断・確認は行いません。
この事前確認を行う登録確認機関とは、事務局が募集・登録した特定の機関および者を意味します。具体的には次のとおりです。
- 認定経営革新等支援機関(中小企業等経営強化法に基づいて認定を受けた士業の先生や民間コンサルティング会社など)
- 認定経営革新等支援機関に準ずる個別法に基づき設置された機関(商工会や商工会議所、預金取扱金融機関など)
- その他個別法に基づく士業関連機関・者など
事前確認は、「申請IDの発行」「近くの登録確認機関への依頼・予約」「事前確認の実施」の流れで実施します。詳細な流れは、事業復活支援金の公式サイトよりご確認ください。
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売上台帳を不備なく作成するために
事業復活支援金申請に必要な売上台帳は、対象月、日付、商品名、販売先、取引金額、合計金額が明確にわかるように記載しましょう。原則としてフォーマットや作成方法は自由ですが、事務局が見たときに読みやすいように作成してください。
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執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局 月見里
ドリームゲートは経済産業省の後援を受けて2003年4月に発足した日本最大級の起業支援プラットフォームです。
運営:株式会社プロジェクトニッポン
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