事業再構築補助金は、ポストコロナ時代に対応するために新分野展開や事業転換などの事業再構築に取り組む中小企業、中堅企業、個人事業主(以下、中小企業等)に資金を補助する支援制度です。中小企業庁が所管しています。
6月16日に第1次公募<緊急事態宣言特別枠>の採択結果が発表されその採択率は55%、また日刊工業新聞6月18日の記事によると通常枠などを含めた1次全体の件数は申請件数2万2231件のうち採択が8016件で、全体では36%と非常に厳しい結果となりました。
この記事では、第2次、3次以降の申請に向けて準備を進めている方に、審査を有利にする「3つの加点項目」を解説します。
このなかにEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)という聞きなれない概念が含まれていますので、特に詳しく説明します。
あわせて審査項目についても紹介します。
- 目次 -
事業再構築補助金における審査項目
中小企業等が事業再構築補助金の申請をすると、中小企業庁の採択審査委員会という組織が申請書などを審査します。
審査する項目は公表されているので、事業再構築補助金の獲得を目指す中小企業等は、その審査項目をクリアできるように準備することになります。
「審査項目」をクリアしたうえで、「3つの加点項目」に合致すると審査が有利になるという仕組みになっています。
審査項目は4つ
先に「審査項目」を紹介します。これは次の4項目にわかれています。
①適格性の審査
- 補助金の対象になる事業が所定の要件を満たしているか
- 補助事業を終了してから3~5年以内に目標を達成できるか
②事業化についての審査
- 事業体制、財務、十分な資金を調達できるか
- 市場のニーズに応えらえるか
- 補助事業のスケジュールは適切か
- 費用対効果は見込めるか
③事業再構築についての審査
- 事業再構築指針に沿った取組みであるか。また、全く異なる業種への転換など、リスクの高い、思い切った大胆な事業の再構築を行うものであるか。
- 補助事業を行う必要性と緊急性は高いか
- 市場ニーズや自社の強みを踏まえ、リソースの最適化を図る取組であるか
- 地域のイノベーションに貢献できるか
④政策との一致についての審査
- 補助事業は日本経済の成長に貢献できるか
- ポストコロナに向けてV字回復を達成できるか
- 差別化できるか
- グローバル化できるか
- 雇用創出と地域経済の発展に寄与するか
- 企業連携などの波及効果は期待できるか
事業再構築補助金の申請をするとき事業計画書を提出するのですが、そのなかでこの審査項目をクリアできることを示す必要があります。
事業計画については後段でもう一度解説します。
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3つの加点項目を解説
「3つの加点項目」は次のとおりです。
- 売上高が30%以上減少
- 固定費が協力金を上回る
- EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)への協力
1つずつ紹介します。
①売上高が30%以上減少
2021年の緊急事態宣言では、飲食店への時短営業要請や対象住民への不要不急の外出・移動の自粛など、中小企業等の経営に深刻な打撃を与える内容が盛り込まれました。
事業再構築補助金を申請する中小企業等(以下、申請者)がこの影響を受け、2021年1~6月のいずれかの月の売上高が対前年同月比、または対前々年同月比で30%以上減少していると加点されます。
この加点を受けるには、30%以上の減少を示す書類(エビデンス)を提出する必要があります。
②固定費が協力金を上回る
「①売上高が30%以上減少」に該当する申請者の2021年1~6月のいずれかの月の固定費が、同じ期間に受給した協力金の上回っていると加点されます。
固定費とは、家賃、人件費、光熱費などの固定契約料を足したものです。
この加点を受けるには、「固定費>同時期の協力金」であることを示すエビデンスを提出する必要があります。
③EBPMへの協力
EBPMはエビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングの頭文字で、経済産業省が進めている「証拠に基づく政策立案」のことです。
EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政策立案)とは、政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づくものとすることです。
政策効果の測定に重要な関連を持つ情報や統計等のデータを活用したEBPMの推進は、政策の有効性を高め、国民の行政への信頼確保に資するものです。
内閣府では、EBPMを推進するべく、様々な取組を進めています。
「③EBPMへの協力」はとても複雑な内容なのですが、今回の事業再構築補助金の申請では、電子申請システムで申請するときに「該当する」にチェックを入れるだけで済みます。
ただ、EBPMへの理解は今後重要性を増すと考えられるので、次の章で詳しく解説します。
EBPMは経済産業省の方針だが企業にも深く関わることになる
EBPMは経済産業省の「今後こうしていこう」という方針です。
経済産業省はさまざまな形で企業を支援していて、今回の中小企業庁の事業再構築補助金もその1つです。EBPMは、企業支援や補助金などの制度に関して、経験則ではなく、データに基づいて政党に判断しようという動きです。
同省の方針であるEBPMが、なぜ企業に関係してくるのでしょうか。
補助金の効果を示すエビデンスが必要になった
経済産業省には、補助金を受けた企業と補助金を受けられなかった企業に、どの程度差が生じたのかが鮮明でない、という反省がありました。
補助金の資金は税金なので、補助金を受けた企業のほうが、補助金を受けられなかった企業より日本経済の発展に寄与していなければなりませんが、それを示すエビデンスがなかったわけです。
そこで、エビデンスを重視しようと考えました。
EBPMにおけるエビデンスは次のようなものになります。
- 補助金を受けた企業と補助金を受けられなかった企業について、付加価値の向上率や黒字化率などを比較する
- 革新的サービス開発や試作品開発、生産プロセスの改善が、補助金によって進むかどうかを調べる
- 補助金を給付した企業をフォローアップ調査して、補助金の効果を調べる
- 補助金によって生み出された成果物が市場で取引されるようになったかどうか調べる
- 補助金によって設備を導入すると、高い効果が見込まれるかどうかを調べる
つまり、EBPMは、補助金を給付しっぱなしにしない取り組みといえます。
事前に補助金の効果が見込まれるかどうかをしっかり調べて、さらに、補助金を給付したあとも本当に効果があったかどうかを調べるのがEBPMです。
エビデンスがある企業が確実に補助金を獲得できるようになる
経済産業省がEBPMを厳格に採用するようになると、企業は補助金を受けにくくなるでしょう。
しかしEBPMにはより多くのメリットが期待できます。経済産業省がEBPMを強化すると「無駄な補助金」が減るので、税金の有効活用につながります。
また、しっかりエビデンスを示すことができる企業は、確実に補助金を受けられるようになります。そして、しっかりしたエビデンスがあるということは、補助金を受ければ計画通りに企業が発展していく可能性が高まることを意味するので、企業の成功の道が広がります。
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審査に通りやすくするためにドリームゲートの「さがせる窓口」を活用してください
申請者(中小企業等)がしっかり準備することで、事業再構築補助金の審査が通りやすくなります。
審査項目を1つでも多くクリアできる事業計画を練りましょう。そして「3つの加点項目」に該当するのであれば、それをPRしなければなりません。
ただ、事業計画は申請者だけでつくるものではありません。
事業再構築補助金を申請するには、認定経営革新等支援機関(以下、認定支援機関)という組織と一緒に事業計画を策定しなければなりません。
「3つの加点項目」についても、認定支援機関がサポートします。
まずは中小企業等自身が認定支援機関を探さなければなりません。
自社にマッチした認定支援機関は、ドリームゲートの「さがせる窓口」で探すことができます。
「さがせる窓口」で認定支援機関を探すと、次のようなメリットが得られます。
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- 補助金の採択率を高めるコツを知っている専門家のサポートが受けられる
- 事業計画策定から申請・報告義務サポートまで支援してもらえる
事業再構築補助金を確実に獲得するために「さがせる窓口」の活用をおすすめします。