経済産業省は2022年4月、事業再構築補助金に、新たに「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」(以下、原油・物価高騰枠)を設定することを発表しました。
事業再構築補助金はコロナ禍で売上が減少した中小企業等を支援する制度として令和3年度より実施されていますが、日本経済は現在、さらに追い打ちをかけるように原油価格と物価の高騰に見舞われています。
政府は原油・物価高騰枠を新設することで事業再構築補助金を拡充し、中小企業等の支援を強化する狙いです。
- 目次 -
枠を新設した背景:コロナ禍に原油高と物価高が加わった三重苦
原油・物価高騰枠が急遽新設された背景には、政府の危機感があります。
政府は2022年4月26日に「コロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策」を打ち出し、そのなかで次のように述べています。
- 新型コロナの国民生活や経済への影響は依然として続いている
- さらにロシアによるウクライナ侵略などにより世界規模で不確実性が高まり、原油や穀物などの国際価格が高い水準で推移している
- 価格高騰が実体経済への影響が顕在化する可能性がある
- 中小・小規模事業者に対する支援が必要になる
参考)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genyukakaku_bukkakoutou/pdf/honbun.pdf
コロナ禍の影響を受けた企業にとって、原油高はダブルパンチに、物価高はトリプルパンチになってしまうでしょう。事業再構築補助金はそのための救済策として打ち出されました。
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対象要件:2021年に設立・開業しても対象になる
原油・物価高騰枠で事業再構築補助金に申請するには、次の4つの要件をクリアする必要があります。
<原油・物価高騰枠の対象要件>
- 原油価格・物価高騰などにより2022年1月以降の売上高が2019~2021年同月と比較して10%以上減少している、または、2022年1月以降の付加価値額が2019~2021年同月と比較して15%以上減少している
- 事業計画を認定経営革新等支援機関と一緒に策定する●コロナ禍の影響も受けている
- 事業再構築に取り組む
ここで注目したいのは「2019~2021年同月と比較して」の部分です。
2021年同月と比較するということは、2021年に会社を設立していたり開業していたりすれば、原油・物価高騰枠の対象になるということです。
通常枠などのその他の枠で申請するには、2020年1月までに設立・開業していなければならないので、原油・物価高騰枠の新設によってこれまで対象外だった中小企業等が対象になる可能性があります。
補助上限額は最大4,000万円、補助率は3/4か2/3
原油・物価高騰枠の補助金の額(補助上限額)と補助率を紹介します。通常枠と比較すると、補助上限額は低いのですが、補助率は有利になっています。
<原油・物価高騰枠の補助額・補助率>
補助上限額 | 補助率 | |
---|---|---|
原油・物価高騰枠 | 1,000万円、2,000万円、3,000万円、4,000万円 | 中小企業は3/4、 中堅企業は2/3 |
通常枠 | 2,000万円、4,000万円、6,000万円、8,000万円 | 中小企業は2/3、 中堅企業は1/2 |
補助金の最低額はいずれも100万円です。
補助上限額は従業員数によって異なります。
<原油・物価高騰枠の従業員数別の補助額>
従業員数 | 補助上限額 | |
---|---|---|
原油・物価高騰枠 | 20人以下 | 1,000万円 |
21~50人 | 2,000万円 | |
51~100人 | 3,000万円 | |
101人以上 | 4,000万円 |
参考)
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/saikouchiku_yobihi.pdf
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時期に注意:第6回は加点措置だけ、正式には第7回から
原油・物価高騰枠が設定される時期は次のように発表されています。
2022年5月下旬から申請の受付が始まる第6回公募では、まだ原油・物価高騰枠は設定されず、<加点措置>として原油・物価高騰枠の要件に合致する申請者は加点され、審査が有利になります。
原油・物価高騰枠が正式に設定されるのは第7回公募からになります。第7回公募の日程はまだ公表されていません(2022年5月上旬現在)。
事業再構築補助金の基礎知識「そもそもどのような制度なのか」
ここからは事業再構築補助金の基礎知識を、箇条書きで紹介します。
事業再構築とは新分野展開、業態転換などのこと
この補助金は、ポストコロナ時代の社会の変化に対応するために事業再構築に取り組む中小企業等に交付されます。
事業再構築とは、新分野展開、業態転換、事業転換、業種転換、事業再編などを指します。
- 新分野展開:新製品の製造、または新サービスの提供によって新市場に進出すること
- 業態転換:製品の製造方法、またはサービスの提供方法を変えること
- 事業転換:新製品の製造、または新サービスの提供によって主たる事業を変更すること
- 業種転換:新製品の製造、または新サービスの提供によって業種を変えること
- 事業再編:合併や会社分割、株式交換などを行い、新分野展開などを行うこと
6つの申請枠
申請者(中小企業等)は枠を選んで申請します。枠には次のものがあります。
- 通常枠
- 大規模賃金引上枠
- 回復・再生応援枠
- 最低賃金枠
- グリーン成長枠
- 今回の原油価格・物価高騰等金融対策枠
枠によって補助上限額や達成目標が異なる
枠によって補助上限額や補助率、対象要件が異なります。
例えば補助上限額では、通常枠は最高8,000万円、大規模賃金引上枠は最高1億円、回復・再生応援枠は最高1,500万円などとなっています。
また、枠によって達成しなければならない目標も違ってきます。
例えば大規模賃金引上枠では、補助事業を終了してから3~5年で事業場内最低賃金を年額45万円以上引き上げなければならない、といった目標が課されます。
グリーン成長枠では、グリーン成長戦略実行計画14分野に掲げられた課題を解決する取り組みをする必要があります。
申請の必要要件がある
申請要件のなかにはすべての枠でクリアしなければならないものがあり、それは以下のとおりです。
- 事業再構築を行う
- 事業計画を認定経営革新等支援機関と一緒に策定する
- 付加価値額要件に該当する
さらにグリーン成長枠以外は「売上高等減少要件に該当する」という要件をクリアしなければなりません。
補助対象経費は規定がある
事業再構築補助金は、審査をパスした中小企業等が補助対象の事業を行い、そのときにかかった経費の一部を補助する形で交付されます。
補助対象経費は次のとおりです。
建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費
ドリームゲートの専門家が頼りになります
今回の原油・物価高騰枠は、これまで対象外だった中小企業等が対象になるかもしれません。
ドリームゲートには、事業再構築補助金申請のサポートに実績がある専門家が数多く登録しています。
お気軽にドリームゲートにお問い合わせください。
執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局
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