事業再構築補助金2次公募スタート:5つの変更点と2つの注意事項を解説

この記事は2021/05/25に専門家 中野 裕哲 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

中小企業庁が2021年5月20日、事業再構築補助金の第2次公募を開始しました。申請受付は5月26日から7月2日までです。

第2次公募での変更点は5つで、多少ですが申請要件が緩和されたと言える変更内容です。また、第2次公募における2つの注意点もあります。

この記事では、第2次公募のスケジュールとともに、5つの変更部分と2つの注意点を中心に解説します。

●第3次公募の公募要領・変更点などはこちらの記事をご覧ください。

事業再構築補助金2次公募スタート

2次公募のスケジュール

事業再構築補助金の第2次公募スケジュールは次の通りです。

  • 公募開始:令和3年5月20日
  • 受付開始:令和3年5月26日
  • 受付締切:令和3年7月2日18:00
  • 採択発表:8月下旬~9月上旬頃

第1回目の受付最終日には申請が集中してシステムトラブルも発生しました。慌てないですむように、余裕をもって申請手続きをしたいものです。

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2次公募、5つの変更点を解説

5月20日発表の第2次公募で変更になった点を、第1次公募のものと比較しながら解説します。

変更点①売上高減少要件の期間見直し

第2次は「『2020年10月以降の連続する6カ月』のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年または2020年1月~3月)の同3カ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること」となっています。

第1次では、『』の部分が「申請前の直近6カ月」となっていました。

変更点②緊急事態宣言再々発令に伴う特別枠の要件見直し

緊急事態宣言再々発令に伴う特別枠で、第2次公募では「2021年4月から5月にかけて、北海道、東京都、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、福岡県及び沖縄県に発出されたもの」が追加されました。

変更点③創業したての企業の特例

1次公募では対象外となっていた、創業したての企業も申請できるようになりました。第2次公募で「2020年4月1日から12月31日までに創業した場合の売上高減少要件の特例」が追加されました。この後の章で詳しく説明します。

変更点④EBPM加点の新設

加点制度は、指定された行為を行うことで補助金の審査が有利になる仕組みです。第2次では、経済産業省が取り組んでいるEBPM(証拠に基づく政策立案)に協力すると加点される、EBPM加点を新設しました。こちらもこの後の章で詳しく説明します。

変更点⑤補助金額1,500万円以下の場合の事業計画書ページ数が変更

申請時に提出する事業計画書について、15ページ以内という規定がありましたが、補助金額1,500万円以下での申請においては10ページ以内と緩和されています。

注目の変更点①「創業したての企業の特例」について

コロナ以前に創業を計画していた事業者を特例的に事業再構築補助金の対象にすることが発表されました。その要件は以下のとおりです。

  • 2020年3月31日以前から創業を計画し、2020年4月1日~12月31日までに創業した
  • 売上高減少要件は次のとおり:2020年10月以降の連続する6カ月間のうち任意の3カ月の合計売上高を、2020年の創業時から同年12月末までの1日当たり平均売上高の3カ月分の売上高と比較して算出
  • 事業計画で1)2020年3月31日以前から創業を計画していたことを示す、2)コロナ禍の影響で売上が減少したことを示す必要があります。

この特例により、第1回目の申請要件から外れていた創業したばかりの企業でも、申請にトライすることができます。

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注目の変更点②加点制度について「EBPMを新設」

加点制度は、申請者が指定された行為を行うことで、補助金の審査が有利になる仕組みです。すでに1次公募からあった加点には以下の2つがあり、今回3つ目のEBPM加点項目が新設されました。

  • 加点①緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛などによって、2021年1~5月のいずれかの月の売上高が対前年の、または対前々年の同月比で30%以上減少していることを証明する書類を提出すると加点されます。
  • 加点②2021年1~5月のいずれかの月の固定費(家賃+人件費+光熱費等の固定契約料)が同期間に受給した協力金の額を上回ることを証明する書類を提出すると加点されます。

EBPM加点項目とは

EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政策立案)とは、政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づくものとすることです。
政策効果の測定に重要な関連を持つ情報や統計等のデータを活用したEBPMの推進は、政策の有効性を高め、国民の行政への信頼確保に資するものです。
内閣府では、EBPMを推進するべく、様々な取組を進めています。

引用:内閣府におけるEBPMへの取組

事業再構築補助金の第2次公募では、経済産業省が行うEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング、証拠に基づく政策立案)の取り組みに協力すると加点されます。今回の事業再構築補助金は国の大きな予算を使って実施される取組です。この政策が有効であるかをはかるため、もうけられた加点項目なのでしょう。

おそらくこの項目にチェックすることで、補助事業実施後の報告・レポート義務が追加で課せられるものと推測されますが、申請時に追加で書類を提出する必要はなく、電子申請の際に該当項目にチェックするだけで構いません。

第2次公募の2つの注意点

以上5つの変更点に加えて、2つ注意したい点があります。

緊急事態宣言特別枠は今回で最後となる

事業再構築補助金には例外的に、補助率が高い緊急事態宣言特別枠(以下、特別枠)があります。

特別枠は、2021年の緊急事態宣言で深刻な影響を受けた中小企業等が対象になり、次のようなメリットがあります。

  • 補助率が高い
  • 優先的に審査される
  • 特別枠で不採択となっても、加点されたうえで、通常枠で再審査してもらえる

対象になりそうであれば、特別枠で申請したほうがよいと判断できるでしょう。しかし注意したいのは、この特別枠は、今回の第2回公募で最後になるという点です。

事業再構築補助金は第3回公募以降も予定していますが、そこではもう特別枠を設定しない予定です。

1次公募で申請済みの場合は結果が出るまで再申請できない

もし、第1次公募ですでに事業再構築補助金に申請している場合、その採択結果が出るまで再申請は受け付けられません。

第1次公募の採択結果が出るのは6月中旬ですので、それまで待ち、万が一そこで不採択となった場合には不採択の理由を見直してから7月2日までに申請する流れになります。

第2次公募のスケジュールと採択までの流れ

第2次公募のスケジュールを紹介します。

【公募期間と申請】

  • 公募開始:令和3年5月20日
  • 受付開始:令和3年5月26日
  • 受付締切:令和3年7月2日18:00
  • 採択発表:8月下旬~9月上旬頃

申請は、GビズIDプライムアカウントを取得したうえで、電子申請システムで行います。同アカウントは以下のサイトで取得します。

https://gbiz-id.go.jp/top/index.html

採択までの流れ

【審査と採択】

申請を受け審査を行い、採択または不採択を決めます。結果は全申請者に通知されます。また採択されると、企業名や事業計画名などが公表されます。

【補助金の交付申請の手続き】

採択が決まった企業は、補助金の対象になる経費を精査したのち補助金の交付申請を行います。その後、補助金の交付が決定します。

【交付の決定と補助事業の実施】

補助金の交付申請を受けて、交付が決まります。企業は、補助金の交付が決定してから補助事業(事業再構築)に着手します。

【交付額の決定、請求、支払い】

補助企業が終了すると、確定検査を受けたのち、補助金の額(交付額)が確定します。その後企業が補助金を請求し、支払われます。

【事前着手申請の手続き】

補助事業は原則、補助金の交付が決定してから着手しますが、例外的に、補助金交付決定前に補助事業に着手することができます。その場合、補助金の事務局に事前着手申請を行って承認を得る必要があります。

事前着手申請の受付期間は5月20日から交付決定日までとなります。

【終了後に2種類の報告書の提出】

補助事業が終了したら、次の2種類の報告書を提出しなければなりません。

  • 補助事業が終了したら、原則30日以内に補助事業実績報告書を提出しなければなりません。
  • 補助事業が終了した日が属する会計年度の終了後5年間は、毎年、事業化状況・知的財産権等報告書を提出しなければなりません。

第3次公募もある「第5次まで」

中小企業庁はこの補助金制度について「第2次公募のあと、さらに3回程度の公募を予定している」とアナウンスしています。予定どおりなら2021年度中に第5次公募まであることになります。

申請するならすぐに準備すべき3つ

事業再構築補助金に限らず、補助金の申請は思ったより手間がかかります。申請を決めた場合はもちろんのこと、申請しようかどうか迷っている時点でも準備に取り掛かったほうがよいでしょう。

今すぐにできる準備は次の3つです。

1)アカウント取得、2)支援機関への相談、3)事業計画の策定

この順番に進めていくことをおすすめします。

GビズIDプライムアカウント取得

まず、GビズIDプライムアカウントを取得しましょう。アカウントの取得手続きは以下のサイトで行います。

https://gbiz-id.go.jp/top/index.html

このアカウントを取得しないと申請できません。しかもアカウントの取得まで3週間以上かかります。

認定支援機関に相談しましょう

認定経営革新等支援機関を選定し、事業再構築補助金の申請を検討していることを伝えてみましょう。補助金を申請するには、支援機関と一緒に事業計画を策定しなければなりません。

支援機関に相談すれば、補助金の審査を通過するために必要な情報を得ることができます。支援機関は下記のURLから探すことができ、連絡先も載っています。

https://ninteishien.force.com/NSK_CertificationArea

ただし、3万件以上の登録があるため、どう選べばよいか迷うことでしょう。
ドリームゲートには、認定支援機関に登録されているアドバイザーが多数在籍しています。認定支援機関としての資格をもっているだけでなく、審査を経てドリームゲートのアドバイザーとなった起業家支援のプロなので、事業再生にトライする事業主の力強い味方になるでしょう。

事業計画の策定

補助金を受けるには、「思い切った」事業再構築を実施する必要があります。事業再構築と認定されるレベルの新規事業を行うには、準備だけでも相当の時間がかかるはずです。

また、現在検討している新規事業の計画があれば、それが補助事業(事業再構築)になるかもしれません。支援機関のアドバイスを受けながら、事業再構築計画をつくっていく必要があります。

第2次公募 よくある質問と答え

Q.第2次公募のスケジュールを教えてください

公募開始:令和3年5月20日
受付開始:令和3年5月26日
受付締切:令和3年7月2日18:00となっています。

Q.1次公募と2次公募の違いを教えてください

変更点①売上高減少要件の期間見直し
変更点②緊急事態宣言再々発令に伴う特別枠の要件見直し
変更点③創業したての企業に特例が設定
変更点④EBPM加点の新設
変更点⑤補助金額1,500万円以下の事業計画書ページ数が変更

が挙げられます。

Q.1次公募で申請しました。2次公募で再申請できますか。

1次公募の採択結果が出るまで再度申請はできません。1次公募の採択結果が出るのは6月中旬です。その後7/2の締め切りまでに再度申請できます。

まとめ~無料相談を活用して

事業再構築補助金について中小企業庁は、企業の「思い切った」事業再構築を支援すると述べています。また、補助事業(事業再構築)を終了したあとの実績も求められます。そのためいわゆる小手先の改善では事業再構築と認定されないでしょう。ハードルが高い補助金といえます。

そこで、資金調達全般のアドバイスができるプロの専門家に一度、相談してみることをおすすめします。ドリームゲートの無料相談をフル活用してください。

この記事の監修者
中野 裕哲(なかの ひろあき)
税理士/行政書士/社会保険労務士/ファイナンシャルプランナー
起業コンサルV-Spirits 代表
ドリームゲート起業面談相談10年連続日本一。多数の起業本、起業のWeb記事も執筆・監修する人気アドバイザー。「まるごと起業支援(R)」で、あちこち相談せずとも、起業の疑問も不安も一度で解消。
著書「「新型コロナ資金繰り対策」がすべてわかる本 」「失敗しない起業 55の法則」「マンガでやさしくわかる起業」「図解 知識ゼロからはじめる起業の本」など。
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