事業再構築補助金第11回公募要領と採択への攻略法をどこよりも詳しく解説

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 佐藤 達也

令和5年8月10日に第11回の事業再構築補助金公募が開始されました。

この記事では認定経営革新等支援機関として数十件の事業再構築補助金の申請をサポートし、9割の採択率をおさめてきた私の知見をもとに、公募要領を読み解くとともに採択への攻略法を解説します。

最後に、今月8月28日(月)に行うセミナー「事業再構築補助金の達人に学ぶ 採択への攻略法と実践ワークショップ」の内容もご紹介します。

1. 事業再構築補助金とは?

事業再構築補助金は、中小企業等がウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新市場進出(新分野展開、業態転換)、事業・業種転換、事業再編、国内回帰の取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことが目的です。

第10回公募からは、コロナや物価高騰により依然として業況が厳しい事業者への支援として「物価高騰対策・回復再生応援枠」、産業構造の変化等により事業再構築が強く求められる業種・業態の事業者への支援として「産業構造転換枠」、海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーン及び地域産業の活性化に取り組む事業者(製造業)への支援として「サプライチェーン強靱化枠」、成長分野への事業再構築を支援するべく売上高等減少要件を撤廃した「成長枠」を新設する等、ポストコロナ社会を見据えた未来社会を切り拓くための取組を重点的に支援していきます。

事業再構築補助金は、これまでに10回の公募が行われ、採択が発表されている第9回までの採択件数は43,737件という多くの企業が、この補助金を利用して事業再構築の新たなステップを踏み出しています。

【無料で完成】事業計画書作成ツール
累計8万人が利用!質問に答えるだけで「事業計画書・数値計画書」が完成
⇒事業計画書作成ツールを無料で利用してみる

  • 日本政策金融公庫の創業計画書も作成でき、融資申請に利用できる。
  • 業種別にあなたの事業計画の安全率を判定
  • ブラウザに一時保存可能。すべて無料
⇒事業計画書作成ツールを無料で利用してみる

2. 第11回公募要領の主なポイント

令和5年8月10日に公表された第11回公募要領から、公募期間、第10回公募との変更点等を確認していきましよう。

まず、公募締切は、令和5年10月6日となっています(図表1)。

図表1 公募期間及び採択発表

項目 日程
公募開始 令和5年8月10日(木)
応募締切 令和5年10月6日(金)18:00
申請受付 調整中
補助金交付候補者の採択発表 令和5年12月下旬~1月上旬頃(予定)

次に、第10回公募との変更点ですが、大きな変更点はサプライチェーン強靱化枠の公募がないことぐらいです。

これは、第10回公募では第9回公募までと比較し、事業類型、補助率、補助金額等で大幅な変更が行われたばかりであり、第11回は小幅な改訂となっています。

第11回公募では、第10回公募と比べて、いくつかの変更点が見られ、細かい変更点を除いたものを図表2にまとめています。

図表2  第11回公募の変更点

項目

(公募要領の頁)

公募要領

第11回

1.0版

【サプライチェーン強靱化枠を除く】

公募要領

第10回

1.5版

サプライチェーン強靱化枠

(表紙)

(略)

※第11回公募ではサプライチェーン強靱化枠の公募はございません。

(略)

サプライチェーン強靱化枠にかかる公募要領は以下をご確認ください。

https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/koubo_sc.pdf

補助対象要件

(※5)

(p.4)

(略)

※複数の事業類型に同時に申請をする場合や、補助率引上げを受ける場合は、すべての補助金額を合算して3,000万円を超える案件において、金融機関による事業計画の確認が必要となります。

(略)

(新設)

※6
【みなし同一法人】(p.9-10)
(略)

また、補助事業者が、補助事業期間中に、親会社又は子会社等が過去に交付決定を受けているみなし同一法人に該当することとなった場合は、当該補助事業者の交付決定を取り消します。

(略)

(新設)

4.補助対象事業の要件

要件

成長枠

グリーン成長枠(エントリー、スタンダード)

産業構造転換枠

(p.15-17)

(略)

② 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けていること。補助金額が3,000万円を超える案件は認定経営革新等支援機関及び金融機関(金融機関が認定経営革新等支援機関であれば当該金融機関のみでも可)の確認を受けていること【認定支援機関要件】
(略)

(略)
② 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けていること。補助金額が3,000万円を超える案件(卒業促進枠又は大規模賃金引上促進枠に合わせて申請する場合は、合算で補助金額が3,000万円を超える案件)は認定経営革新等支援機関及び金融機関(金融機関が認定経営革新等支援機関であれば当該金融機関のみでも可)の確認を受けていること【認定支援機関要件】
(略)
4.補助対象事業の要件
過去の公募で補助金交付候補者のとして採択されている又は交付決定を受けている場合の要件
グリーン成長枠(エントリー、スタンダード)
(p.16)
(略)
応募申請時点で、補助金交付候補者として採択された事業を交付決定を受けずに辞退した場合を除く。
(略)
(略)
※補助金交付候補者として採択された事業を交付決定を受けずに辞退した場合を除く。
(略)
(2)【認定支援機関要件】について
(p.19)
(略)
※複数の事業類型に同時に申請をする場合や、補助率引上げを受ける場合は、すべての補助金額を合算して3,000万円を超える案件において、金融機関による事業計画の確認が必要になります。
(略)
(新設)
(17)注意事項
不採択又は交付取消
(p.29)
(略)
③ 事業承継を行った上で事業を実施する場合に、承継以前の各事業者が既に実施している事業を実施するなど、再構築事業の内容が、容易に実施可能である事業
※公募開始日時点で、事業承継が確定している場合、両者は2020年4月の時点から一体の事業者とみなし、事業承継先・事業承継元の双方の事業を既存事業として審査します。
④ 不動産賃貸(寮を含む)、駐車場経営、暗号資産のマイニング等、実質的な労働を伴わない事業又は専ら資産運用的性格の強い事業
(略)
(略)
(新設)
③ 不動産賃貸、駐車場経営、暗号資産のマイニング等、実質的な労働を伴わない事業又は専ら資産運用的性格の強い事業
(略)
7.補助対象経費
(1)対象経費の区分
建物費
(p.33)
(略)
※9
補助事業により取得した建物等を不動産賃貸等に転用することは、一切認められませんのでご注意ください。不動産賃貸等に転用された場合、目的外使用と判断し、残存簿価相当額等を国庫に返納いただく必要がございますのでご注意ください。
(略)
(新設)
7.補助対象経費
(1)対象経費の区分
廃業費
(p.36)
(略)
②解体費(既存の事業所や事業において所有していた建物・設備機器等を解体及び廃棄する際に支払われる経費)
(略)
(略)
② 解体費(既存の事業所や事業において所有していた建物・設備機器等を解体する際に支払われる経費)
(略)
(2)補助対象経費全般にわたる留意事項
補助対象外経費

(p.38)
(略)
➢ 観光農園等のうち、栽培に係る経費

再生可能エネルギーの発電を行うための発電設備及び当該設備と一体不可分の附属設備(太陽光発電を行うためのソーラーパネルなど)

※グリーン成長枠に応募する事業者においても、対象外となりますのでご注意ください。
※FIT・FIPに関連して売電を行っている場合、関連費用は一切補助対象外となります。
売電を行わない事業において、BCP等で法令上義務付けられている等、補助事業実施に必要不可欠と判断される場合においてのみ、蓄電池は補助対象となります。
(略)
(略)
(新設)
➢ 再生可能エネルギーの発電を行うための発電設備及び当該設備と一体不可分の附属設備(太陽光発電を行うためのソーラーパネルなど)
※グリーン成長枠に応募する事業者においても、対象外となりますのでご注意ください。
(新設)
(略)
8.事前着手届出の手続き
② 提出方法
(p.40)
(略)
※第11回公募の開始日である令和5年8月10日(木)以前に既に事前着手届出が受理されている場合でも、再度届出を行った場合に限り認められます。
(略)
※第10回公募の開始日である令和5年3月30日(木)以前に既に事前着手届出が受理されている場合でも、再度届出を行った場合に限り認められます。
表1:審査項目
審査項目・加点項目
(4)政策点
(p.47)
(略)
⑥ 異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを構築してサービスを提供するような場合など、単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか。異なる強みを持つ複数の企業等(大学等を含む)が共同体を構成して製品開発を行うなど、経済的波及効果が期待できるか。
また、事業承継を契機として新しい取組を行うなど経営資源の有効活用が期待できるか。
※以下のピッチ大会出場者は審査で考慮いたします。
○アトツギ甲子園
https://www.meti.go.jp/press/2022/11/20221104008/20221104008.html
(略)
⑥ 異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを構築してサービスを提供するような場合など、単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか。また、異なる強みを持つ複数の企業等(大学等を含む)が共同体を構成して製品開発を行うなど、経済的波及効果が期待できるか。
(新設

 

3. 採択への攻略法

(1) 申請前準備

a. GビズID

申請手続きの際の書類の準備や提出方法にも注意が必要です。

申請方法は電子申請システムのみとなっており、申請にはGビズIDプライムアカウントの取得が必要です。GビズIDプライムアカウントの取得は数週間かかるため、未取得の方は、速やかに利用登録を行ってください。

b. 応募申請者のプロフィール、提出書類

採択の審査は、申請した応募申請者のプロフィールと提出書類によって行われます。

応募申請者のプロフィールでは、申請者の概要、その他の事業実施場所、応募申請者の概要、事業概要、補助事業等の実績、経費明細表、資金調達内訳、審査における加点を申請システムに入力します。

添付書類では、事業計画書、認定経営革新等支援機関による確認書、金融機関による確認書、決算書、事業財務情報(ミラサポplus「電子申請サポート」で作成)、労働者名簿、収益事業を行っていることを説明する書類(確定申告書別表一、法人事業概況説明書)等を添付します。

応募申請者のプロフィールと添付書類の準備にはかなりの時間を要しますので、認定経営革新等支援機関、金融機関との事前準備、スケジュール管理が必要です。

金融機関の確認書は、事業計画書が完成してから、金融機関が事業計画書を確認する時間が必要となるため、予め金融機関にいつまでに事業計画書を金融機関に提出すれば良いかを確認することが必要です。

c. 加点要件

応募申請者のプロフィールと提出書類では様々な加点要件があり、加点要件を多く申請、提出すれば、採択の可能性が高まるものと考えられるため、積極的に申請、提出を行ってください。

d. 事業計画書

添付書類の中で最も重要度が高いものが事業計画書です。

事業計画書は最大15ページ(補助金額1,500万円以下の場合は10ページ以内)での作成が求められています。

会社名を事業計画書の1ページ目に必ず記載し、各ページにページ数を記載してください。

1ページ目で、製品・サービスに事業者にとっての新規性があること、及び新製品・新サービスを通して既存事業と異なる市場に進出することについて説明してください。

1ページ目で「事業再構築」の定義に合致するか(前提要件を満たすか)審査を行い、合致しないと判断された場合には不採択となります。

2ページ目以降で表1に記載の審査基準に基づき事業内容を評価し、評価が高い案件を採択します。

審査項目・加点項目としては、次の審査項目を重点的に記載することが重要となります。

その他の審査項目・加点項目についても、公募要領を確認して、該当する箇所は確実に記載します。

図表3 審査項目

審査項目 内容
(1)補助対象事業としての適格性 「補助対象事業の要件」を満たすか。補助事業終了後3~5年で付加価値額を年率平均3.0%~5.0%(事業類型により異なる)以上の増加等を達成する取組みであるか。
(2)事業化点 ① 補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。市場ニーズの有無を検証できているか。
② ターゲットとするマーケットにおける競合他社の状況を把握し、競合他社の製品・サービスを分析し、自社の優位性が確保できる計画となっているか。特に、価格・性能面での競争を回避し継続的に売上・利益が確保できるような差別化戦略が構築できているか(オープン/クローズ戦略等を通じた知財化戦略や標準化戦略による参入障壁の構築、研究開発やブランディング・標準化を通じた高い付加価値・独自性の創出、サプライチェーンや商流の上流・下流部分を自社で構築するなど他社が模倣困難なビジネスモデルの構築、競合が少ない市場を狙うニッチ戦略等)。
③ 事業化に向けて、中長期での補助事業の課題を検証できているか。また、事業化に至るまでの遂行方法、スケジュールや課題の解決方法が明確かつ妥当か。
④ 本事業の目的に沿った事業実施のための体制(人材、事務処理能力等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。また、金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか。※複数の事業者が連携して申請する場合は連携体各者の財務状況等も踏まえ採点します。
(3)再構築点 ① 自社の強み、弱み、機会、脅威を分析(SWOT
分析)した上で、事業再構築の必要性が認識されているか。また、事業再構築の取組内容が、当該分析から導出されるものであるか、複数の選択肢の中から検討して最適なものが選択されているか。
② 事業再構築指針に沿った取組みであるか。特に、業種を転換するなど、リスクの高い、大胆な事業の再構築を行うものであるか。※複数の事業者が連携して申請する場合は、連携体構成員が提出する「連携体各者の事業再構築要件についての説明書類」も考慮し採点します。
③ 補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性等)が高いか。その際、現在の自社の人材、技術・ノウハウ等の強みを活用することや既存事業とのシナジー効果が期待されること等により、効果的な取組となっているか。
④ 先端的なデジタル技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、地域やサプライチェーンのイノベーションに貢献し得る事業か。
⑤ 本補助金を活用して新たに取り組む事業の内容が、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応した、感染症等の危機に強い事業になっているか。
(4)政策点 ① ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済社会の変化に伴い、今後より生産性の向上が見込まれる分野に大胆に事業再構築を図ることを通じて、日本経済の構造転換を促すことに資するか。
② 先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、経済社会にとって特に重要な技術の活用等を通じて、我が国の経済成長を牽引し得るか。
③ 新型コロナウイルスが事業環境に与える影響を乗り越えてV 字回復を達成するために有効な投資内容となっているか。
④ ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか。
⑤ 地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等に対する経済的波及効果を及ぼすことにより、雇用の創出や地域の経済成長(大規模災害からの復興等を含む)を牽引する事業となることが期待できるか。
※以下に選定されている企業や承認を受けた計画がある企業は審査で考慮いたします。
○地域未来牽引企業
https://www.meti.go.jp/policy/sme_chiiki/chiiki_kenin_kigyou/index.html
○地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画
https://www.meti.go.jp/policy/sme_chiiki/miraitoushi/jigyou.html

異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを構築してサービスを提供するような場合など、単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか。異なる強みを持つ複数の企業等(大学等を含む)が共同体を構成して製品開発を行うなど、経済的波及効果が期待できるか。
また、事業承継を契機として新しい取組を行うなど経営資源の有効活用が期待できるか。
※以下のピッチ大会出場者は審査で考慮いたします。
○アトツギ甲子園
https://www.meti.go.jp/press/2022/11/20221104008/20221104008.html

 

事業計画書では、申請する事業再構築の類型について、事業再構築指針との関連性を説明してください。

図表4  事業計画書の構成

1:補助事業の具体的取組内容 ① 応募申請する枠と事業再構築の種類(「新市場進出(新分野展開、業態換)」、「事業転換」、「業種転換」、「事業再編」、「国内回帰」)に応じて、「事業再構築指針」に沿った事業計画を作成してください。
1ページ目(事業計画書表紙)に、既存製品と新製品、既存市場(顧客)と新市場(顧客)、既存事業と新事業などについて、これまでのものとこれからのものが、それぞれ何が異なるかを具体的に記載してください。
1ページ目の記載については、次の参考様式を使用します。
事業計画書表紙(サプライチェーン強靱化枠以外、更新日:2023/03/30)(Word)
https://jigyousaikouchiku.go.jp/pdf/download/jigyokeikakusho_010.docx
② 2ページ目以降に、現在の事業の状況、強み・弱み、機会、脅威、事業環境、事業再構築の必要性、事業再構築の具体的内容(既存事業との違い(特に顧客の違い)、提供する製品・サービス、導入する設備、工事等)、今回の補助事業で実施する新市場進出(新分野展開、業態転換)、事業・業種転換、事業再編、国内回帰の取組について具体的に記載してください。
事業実施期間内に投資する建物の建設・改修等の予定、機械装置等の型番、取得時期や技術の導入や専門家の助言、研修等の時期についても、可能な限り詳細なスケジュールを記載してください。必要に応じて、図表や写真等を用いて、具体的に記載してください。③ 補助事業を行うことによって、どのように他者、既存事業と差別化し競争力強化が実現するかについて、その方法や仕組み、実施体制(※1)など、具体的に記載してください。
※1 次の(1)に該当する場合は、(2)の項目を必ず明記してください。
(1)次のイ~ハのいずれにも該当する事業主
イ 物価高騰対策・回復再生応援枠又は最低賃金枠に応募申請する事業者
ロ 事業再構築にあたり年収350万円以上の正社員(無期雇用)を採用予定の事業者
ハ 厚生労働省の産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)の活用を希望する事業者
(2)明記する項目
イ 採用予定者の配置部署・役職名、部下の有無
ロ 採用予定者が従事する業務の内容(事業再構築との関連性を含む)、職種
ハ 採用予定者に求める資格、スキル、経験など
④ 既存事業の縮小又は廃止、省人化により、従業員の解雇を伴う場合には、再就職支援の計画等の従業員への適切な配慮の取組について具体的に記載してください。
⑤ 個々の事業者が連携して遂行する事業である場合、又は、代表となる事業者が複数の事業者の取り組みを束ねて一つの事業計画として申請を行う場合は、事業者ごとの取組内容や補助事業における役割等を具体的に記載してください。
2:将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果) ① 本事業の成果が寄与すると想定している具体的なユーザー、マーケット及び市場規模等について、その成果の優位性・収益性や課題やリスクとその解決方法などを記載してください。

② 本事業の成果の事業化見込みについて、目標となる時期・売上規模・量産化時の製品等の価格等について記載してください。
③ 必要に応じて図表や写真等を用い、具体的に記載してください。

3:本事業で取得する主な資産 本事業により取得する主な資産(単価50万円以上の建物、機械装置・システム等)の名称、分類、取得予定価格等を記載してください。
4:収益計画 ① 本事業の実施体制、スケジュール、資金調達計画等について具体的に記載してください。
② 収益計画(表)における「付加価値額」や「給与支給総額」(成長枠、グリーン成長枠の場合)の算出については、算出根拠を記載してください。
③ 収益計画(表)で示された数値は、補助事業終了後も、毎年度の事業化状況等報告等において伸び率の達成状況の確認を行います。

 

(2) 申請までの流れ

申請までの流れは次のとおりです。

a. 自社の現状分析

自社の現状を分析し、事業再構築が必要であることを認識することが、事業再構築の第一歩です。

b. どのような事業再構築を行うかを検討

図表5は事業再構築の類型を示していますが、第11回公募では⑤国内回帰のサプライチェーン強靱化枠の公募がないため、類型①~④から選択することとなります。

図表5 事業再構築の類型

類型 概要
①新市場進出(新分野展開、業態転換) 主たる業種・業態を変更することなく、新たな製品等を製造等することにより、新たな市場に進出する
②事業転換 新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更する
③業種転換 新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更する
④事業再編 会社法上の事業再編行為等を交付決定後に行い、新たな事業形態のもとに、①新市場進出、②事業転換又は③業種転換のいずれかを行う
⑤国内回帰 海外で製造等する製品について、その製造方法が先進性を有する国内生産拠点を整備する

 

(3) どの事業類型にするか検討

図表6のとおり申請枠である事業類型は大別すると6つあり、どの事業類型を選択すればよいかわからない場合は、業況・市場環境が厳しいかどうかで選択し、補助事業で必要な経費の金額から、補助金額、補助率等を検討して、事業類型を決めると良いでしょう。

図表7に事業類型別に補助金額、補助率、補助事業実施期間、補助対象経費、補助金額上乗せ、補助率引上げ、助成金を詳細に記載しているので参考にしてください。

図表6 事業類型

事業者 事業類型 特徴的な要件
①業況・市場環境が厳しい事業者 業況が厳しい事業者 最低賃金枠 【売上高等減少要件】

2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が対2019~2021年の同3か月の合計売上高と比較して10%減少していること(当該要件を満たさない場合は、2022年1月以降の連続する6か月のうち、任意の3か月の合計付加価値額が対2019~2021年の同3か月の合計付加価値額と比較して15%以上減少していることでも可。)

物価高騰対策・回復再生応援枠 以下(a)(b)のいずれかを満たすこと

(a)【売上高等減少要件】

同上

(b)【再生要件】

再生事業者(Ⅰ.中小企業活性化協議会等において再生計画を策定中の者又はⅡ.中小企業活性化協議会等において再生計画を策定済かつ再生計画成立後3年以内の者)であること

(a)主たる事業の市場規模が縮小する業種・業態に属する事業者

(b)地域から撤退する基幹大企業の直接取引額が売上高の10%以上を占める事業者

産業構造転換枠 【市場縮小要件】

(a)主たる事業の市場規模が過去~今後のいずれか10年間で10%以上縮小する業種・業態に属する

(b)地域の基幹大企業の撤退により市町村内総生産の10%以上が失われる地域で基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を占める

②その他 取り組む事業の市場規模が拡大する業種・業態に属する事業者 成長枠 【市場拡大要件】

取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属している

グリーン成長戦略の課題解決に資する取組に関連する研究開発・技術開発又は従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行う事業者 グリーン成長枠(エントリー) 【グリーン成長要件】

グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組であって、その取組に関連する1年以上の研究開発・技術開発又は従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行う

グリーン成長枠(スタンダード) 【グリーン成長要件】

グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組であって、その取組に関連する2 年以上の研究開発・技術開発又は従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行う

海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化及び地域産業の活性化に資する取組を行う事業者 サプライチェーン強靱化枠 【国内増産要請要件】

取引先から国内での生産(増産)要請がある(事業完了後、具体的な商談が進む予定があるもの)

【市場拡大要件】

取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属している(ただし製造業に限る。)

【デジタル要件】

下記の要件をいずれも満たしていること

(1)経済産業省が公開するDX推進指標を活用し、自己診断を実施し、結果を独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に対して提出している。

(2) IPAが 実施する「 SECURITY ACTION」の「★★ 二つ星」の宣言を行っている。

 

図表7 事業類型(詳細)

(クリックして拡大)

図表8は事業類型のイメージです。

黄色の部分は図表6の事業類型を示しています。

緑色の部分は事業類型の標準的な補助金額、補助率に加えて、補助金額上乗せ、補助率引上げ、助成金が利用可能であるものを示しています。

事業類型ごとに、補助金額、補助率、補助事業実施期間等が異なっています。

業況・市場環境が厳しい中小企業者等を対象とした事業類型(最低賃金枠、物価高騰対策・回復再生応援枠、産業構造転換枠)は、他の事業類型(成長枠、グリーン成長枠、サプライチェーン強靱化枠)よりも補助金額は小さくなっていますが、補助率では優遇されています。

加えて、最低賃金枠、物価高騰対策・回復再生応援枠では、厚生労働省の産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)の申請により、中小企業では労働者の雇入れると、一人あたり280万円(最大5人)が助成されます。

他にも、産業構造転換枠は、廃業費が最大2,000万円上乗せされます。

業況・市場環境が厳しくない中小企業者等を対象とした事業類型のうち、成長枠、グリーン成長枠は、大規模な賃上げを行う場合は補助率の引上げが可能です。

更に、成長枠、グリーン成長枠は補助金額の上乗せができる卒業促進枠、大規模賃金引上促進枠に申請が可能となっています。

中小企業者等を対象とした事業類型では、グリーン成長枠とサプライチェーン強靱化枠を除き、補助金額は従業員数が多いほど補助金額が増加します。

青色は、既に採択又は交付決定を受けている事業者は産業構造転換枠、グリーン成長枠、サプライチェーン強靱化枠に申請が可能であることを示しています。第11回公募ではサプライチェーン強靱化枠の募集はありません。

図表8 事業類型イメージ

成長枠、サプライチェーン強靱化枠、産業構造転換枠は市場拡大要件、市場縮小要件として、対象となる業種・業態リストが公表されています(図表9)。

成長枠、サプライチェーン強靱化枠では、市場拡大要件として、取り組む事業が、過去~今後のいずれか10
年間で、市場規模(製造品出荷額、売上高等)が10%以上拡大する業種・業態に属している必要があります。

産業構造転換枠は市場縮小要件として、現在の主たる事業が過去~今後のいずれか10
年間で、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属しており、当該業種・業態とは別の業種・業態の新規事業を実施する必要があります。

事務局が指定した業種・業態以外であっても、応募時に要件を満たす業種・業態であることを証するデータを提出し、認められた場合には対象となり得ます。

業種・業態リストは次のURLのとおりですが、今後、業種・業態が追加される可能性があるため、「事務局からのご案内」で最新情報を確認してください。

事業類型 産業分類

(小分類)

サプライ

チェーン

強靱化枠の対象

業種・

業態

成長枠

サプライチェーン強靱化枠

①経済産業省「工業統計調査」、経済産業省「企業活動基本調査」を基に、要件を満たすとされる業種 109業種 80業種
②業界団体等が要件を満たすことについて示した業種・業態 11業種
産業構造転換枠 15業種

 

【無料で完成】事業計画書作成ツール
累計8万人が利用!質問に答えるだけで「事業計画書・数値計画書」が完成
⇒事業計画書作成ツールを無料で利用してみる

  • 日本政策金融公庫の創業計画書も作成でき、融資申請に利用できる。
  • 業種別にあなたの事業計画の安全率を判定
  • ブラウザに一時保存可能。すべて無料
⇒事業計画書作成ツールを無料で利用してみる

4. まとめ

事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの影響を受けた企業の救済だけでなく、新しいビジネスチャンスを創出するための重要な補助金となっています。

第9回公募までの採択結果を分析すると、応募件数は減少傾向ですが、採択率はむしろ増加傾向であり、準備をしっかり行った企業の採択が増加していることが想定されます。

しっかりとした事業計画と補助金の活用方法を練ることで、採択のチャンスを高めることができるでしょう。

事業再構築補助金に採択されることで、貴社の更なる発展につながることを願っています。

 

セミナー開催のお知らせ

8月28日(月)にセミナー「事業再構築補助金の達人に学ぶ 採択への攻略法と実践ワークショップ」を開催します。

実践ワークショップで事業計画の骨子を作っていきます。事業再構築補助金がよくわからない方、事業計画書の作成がよくわからない方にも理解していただけるセミナー内容となっています。

事業再構築補助金の達人に学ぶ 採択への攻略法と実践ワークショップ

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 佐藤 達也(さとう たつや) / いかづち株式会社

CFOとして実績がある経理財務のプロフェッショナル。事業再構築補助金の採択率は90%を誇り、補助金支援をはじめとする資金調達のサポートが得意です。真摯で真面目なお人柄が頼りになります。

プロフィール | 無料オンライン相談受付中

この著者の記事を見る

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

無料で始める