中小企業庁の事業承継・引継ぎ補助金の第6次公募が2023年6月23日から始まりました。申請期限は8月10日までです。同補助金は、事業承継やM&Aを活用した経営革新や、廃業して再チャレンジをする中小企業などをサポートするものです。
当記事では、事業承継・引継ぎ補助金・第6次公募のスケジュールや概要について解説します。申請を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
参考)中小企業生産性革命推進事業「事業承継・引継ぎ補助金」(六次締切)の公募要領を公表します
- 目次 -
スケジュール:申請は2023年6月23日~8月10日
事業承継・引継ぎ補助金・第6次公募のスケジュールは以下のとおりです。
- 申請受付:2023年6月23日~8月10日
- 交付決定:2023年9月中~下旬
- 補助事業期間:交付決定から2024年4月24日の間
- 実績報告:2024年5月10日
- 補助金の交付:2024年5月上旬(確定検査と補助金交付請求が必要)
補助事業をおこなったあとに補助金が交付される点に注意してください。
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事業承継・引継ぎ補助金は3本柱
事業承継・引継ぎ補助金には次の3種類があります。
■事業承継・引継ぎ補助金の種類
- 経営革新事業
- 専門家活用事業
- 廃業・再チャレンジ事業
経営革新事業は、事業承継や事業再編、事業統合といったM&Aによって経営革新に取り組む中小企業などを支援します。専門家活用事業は、中小企業などが経営資源を引き継ぐときにM&Aの専門家を活用した場合に支援が受けられます。
具体的には、M&A支援事業者に支払う手数料や、デューデリジェンス(DD)に関わる専門家費用、セカンドオピニオンにかかわる費用などです。廃業・再チャレンジ事業は、新たなチャレンジをするために既存事業を廃業する中小企業などを支援します。
3つの事業は、内容や補助金の額も異なるので自社にマッチする補助金(事業)を選んで申請することが必要です。以下、3つの補助金(事業)を個別に紹介していきます。
経営革新事業はM&Aによる経営革新を支援
経営革新事業には創業支援型、経営者交代型、M&A型の3タイプがあり、対象は以下のとおりです。
経営革新事業の3つのタイプの対象
創業支援型
創業時の支援をおこないます。引き継いだ経営資源を使って、経営革新に取り組む中小企業などが対象です。2017年4月1日~2024年1月22日の事業承継対象期間に法人を設立したり、個人事業主として開業したりした場合が補助対象となります。または、創業にあたって廃業を予定している人から、有機的一体として経営資源を引き継ぐ場合も該当します。
経営者交代型
親族内承継や従業員承継を支援します。個人事業主に事業譲渡した場合か、または、同一法人内で代表者が交代した場合が対象です。
M&A型
事業再編や事業統合を支援します。株式譲渡や事業譲渡、吸収分割といったM&Aを活用して経営革新に取り組む場合が対象となります。
補助上限額と補助率
経営革新事業では、条件や賃上げ実施・未実施によって補助上限額や補助率が変わってきます。具体的な上限額や補助率は、以下のとおりです。
条件 | 1)~4)のいずれか
1)小規模企業者 2)営業利益率低下 3)赤字 4)再生事業者など |
左記の1)~4)に該当しない | ||
賃上げ | 実施 | 未実施 | 実施 | 未実施 |
補助上限額 | 800万円 | 600万円 | 800万円 | 600万円 |
補助率 | ~600万円相当部分:2/3以内
600万円超~800万円相当部分:1/2以内 |
~600万円相当部分:2/3以内 | 1/2以内 |
ここでいう「賃上げ」とは、補助事業期間終了時に、事業内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上になっていることを指します。また、その条件をすでにクリアしている場合は、補助事業期間終了時に事業内最低賃金+30円になっている必要があります。
補助対象経費~どの経費が補助されるのか
経営革新事業の補助対象経費は以下のとおりです。補助事業で以下の経費が発生した場合に補助されます。
- 店舗等借入費
- 設備費
- 謝金
- 外注費
- 産業財産権等関連経費
- 原材料費
- 旅費
- 委託費
- マーケティング調査費
- 会場借料費
- 広報費
- 廃業費
廃業費には、廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用が含まれます。
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専門家活用事業は経営資源の引継ぎを支援
専門家活用事業には、買い手支援型と売り手支援型があり、対象は以下のとおりです。
専門家活用事業の2つのタイプの対象
買い手支援型
事業再編や事業統合にともない、株式や経営資源を譲り受ける予定の中小企業が対象となります。
売り手支援型
事業再編や事業統合にともない、株式や経営資源を譲り渡す予定の中小企業が対象となります。
補助上限額と補助率
専門家活用事業の補助上限額と補助率などは以下のとおりです。
買い手支援型 | 売り手支援型 | |
補助下限額 | 50万円 | |
補助上限額 | 600万円以内
(廃業費の上乗せ額+150万円以内) |
|
補助率 | 2/3以内 | 1/2または2/3以内 |
廃業費が発生した場合、補助上限額600万円以内に150万円以内が上乗せされます。売り手支援型の補助率は、以下の2項目のいずれかに該当する場合は2/3以内、非該当の場合は1/2になります。
- 物価高などの影響で営業利益率が低下している
- 直近決算期の営業利益または経常利益が赤字
補助対象経費~どの経費が補助されるのか
専門家活用事業の補助対象経費は以下のとおりです。
- 委託費
- 謝金
- システム利用料
- 旅費
- 保険料
- 外注費
- 廃業費
委託費にはファイナンシャル・アドバイザーやM&A仲介業者への着手金、中間報酬、成功報酬などが含まれます。廃業費には、廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用が含まれます。
廃業・再チャレンジ事業は廃業後の新事業を支援
廃業・再チャレンジ事業には単独申請と併用申請があります。
単独申請
廃業・再チャレンジ事業だけに申請する形態です。申請要件は次のとおりとなります。
- 2020年以降に売り手としてM&Aに着手し、その後6カ月以上取り組んでいること
- 廃業が完了し、その後再チャレンジしていること
再チャレンジの内容は次のとおりです。
- 新たに法人を設立すること
- 個人事業主として新たに事業活動をおこなうこと
- 自身の知識や経験を活かせる企業に就職したり社会貢献したりすること
なお、補助事業期間内に廃業を完了させる必要があります。また、法人の場合は、廃業予定の中小企業と、その支配株主や株主代表と共同での申請が必要です。
併用申請
廃業・再チャレンジ事業に加えて、経営革新事業または専門家活用事業にも併用して申請する形態です。経営革新事業との併用申請は、M&A後に新たに取り組みを実施することが要件です。また、専門家活用事業との併用申請の要件は、M&Aで他者から事業を譲り受けること、または他者に事業を譲り渡すことになります。
補助上限額と補助率
廃業・再チャレンジ事業の補助下限額は50万円、補助上限額は150万円以内です。補助率は2/3以内となります。
補助対象経費~どの経費が補助されるのか
廃業・再チャレンジ事業の補助対象経費は以下のとおりです。
- 廃業支援費
- 在庫廃棄費
- 解体費
- 原状回復費
- リースの解約費
- 移転・移設費用
申請の流れ
事業承継・引継ぎ補助金の申請の流れは3事業でほぼ共通で、以下のとおりです。
- gBizIDプライムのアカウントを取得する
↓
- 認定経営革新等支援機関による確認書をダウンロードする(専門家活用事業は不要)
↓
- 認定経営革新等支援機関から補助金にかかる確認書を取得する(専門家活用事業は不要)
↓
- 申請に必要な書類を準備する
↓
- オンライン申請フォーム(jGrants)に必要事項を記入のうえ、申請し完了(必要書類を添付する)
採択率は4~6割
前回第5回公募の事業承継・引継ぎ補助金の採択率は以下のとおりです。
単位:件 | 申請件数 | 交付決定件数 | 採択率 |
経営革新事業 | 309 | 186 | 60% |
専門家活用事業 | 453 | 275 | 61% |
廃業再チャレンジ事業 | 37 | 17 | 46% |
参考)
事業承継・引継ぎ補助金の相談はドリームゲートへ
事業承継・引継ぎ補助金には、M&Aなどにかかる費用の負担を軽減したり、事業承継後の積極的な投資につなげたりする、といった目的があります。
事業承継や引継ぎを検討している中小企業などの経営者で同補助金の活用を検討している方は、ぜひ一度ドリームゲートの専門家にご相談ください。自社が同補助金制度の対象になるかの判断や、申請時のアドバイスが受けられます。なお、初回のメール相談は無料です。また、ドリームゲートには事業承継やM&Aの専門家が数多く在籍しているので、専門家活用事業における専門家を探すことができます。
執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局
ドリームゲートは経済産業省の後援を受けて2003年4月に発足した日本最大級の起業支援プラットフォームです。
運営:株式会社プロジェクトニッポン
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