日本政策金融公庫(以下日本公庫)は、2024年4月にスタートアップ向け融資のうち、新創業融資制度の内容を大幅に拡充しました。融資限度額は、従来の3,000万円から7,200万円へと2.4倍になっています。
融資限度額の引き上げだけでなく、返済期間の一部と据置期間も延長されています。このことによって利便性が向上し、より使いやすい制度となりました。
参考: 新規開業資金|日本政策金融公庫
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小規模事業者向けの融資制度が新しくなった
日本公庫がスタートアップ向け融資を拡充した背景には、政府が掲げるスタートアップ育成5か年計画が存在します。当記事で紹介する新しい「新規開業資金」は、小規模事業者向けの国民生活事業の一環としておこなわれています。
無担保・無保証人はそのまま
新規開業資金の内容を紹介する前に、従来から変更されていない点を確認しておきましょう。
新規開業資金を使えるのは新たに事業を始める方、または、事業開始後の税務申告を2期終えていない方です。また、同制度の最大の特長は無担保・無保証人であることでしょう。
自己資金要件がなくなった
従来の要件では融資を受けるために、創業時に自己資金(創業資金総額の1/10以上)が必要でした。しかし、新制度ではこの要件が不要となっています。
運転資金の枠も3.2倍に
新規開業資金と、旧制度である新創業融資制度の違いは以下のとおりです。
表にすると拡充ぶりは一目瞭然です。
冒頭で紹介したとおり、融資限度額が従来の3,000万円から7,200万円に増えています。さらに融資限度額のうち、運転資金も1,500万円から4,800万円に増加し3.2倍になりました。
そして要件と返済期間も変更され、より利用しやすい制度となっています。
従来の要件では融資を受けるために、創業時に自己資金(創業資金総額の1/10以上)が必要でした。しかし、新制度ではこの要件が不要となっています。
設備資金の返済期間は、20年以内で従来と変わりありません。しかし、運転資金は7年から10年に延びています。そして、返済期間のうちの据置期間は2年以内から5年以内に変更になっています。
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スタートアップ支援金も拡充している
日本公庫のスタートアップ向け融資にはもうひとつ、中小企業向け(中小企業事業)のスタートアップ支援資金が存在します。こちらは2024年2月に融資限度額が従来の14.4億円から20億円に増額され、内容の拡充がはかられています。
日本公庫のスタートアップ支援とは
政府はスタートアップの育成に力を入れています。評価額が10億ドル以上のユニコーン企業を100社創出することや、日本が世界有数のスタートアップ集積地になることなどが目標です。政府系金融機関である日本公庫は、この政策に呼応してスタートアップ向け融資を拡充させたことになります。
サポート拠点を東京、名古屋、大阪、福岡に設置
日本公庫は融資だけでなく、サポート拠点を設置することでもスタートアップを支えています。日本公庫国民生活事業は、2024年4月に、東京、名古屋、大阪、福岡にスタートアッププラザをオープンしました。住所や電話番号、対象エリアなどは以下のとおりです。
サポート拠点名 | 連絡先 | 対象エリア |
東京スタートアップサポートプラザ | 新宿区西新宿 1-14-9 電話:03-3342-3830 |
東京都 |
名古屋スタートアップサポートプラザ | 名古屋市中村区名駅 3-25-9 電話:052-561-6305 |
静岡県、愛知県、岐阜県、三重県 |
大阪スタートアップサポートプラザ | 大阪市北区曽根崎 2-3-5 電話:06-6315-0312 |
大阪府、奈良県、和歌山県 |
福岡スタートアップサポートプラザ | 福岡市博多区博多駅前 3-21-12 電話:092-473-8747 |
福岡県、佐賀県、長崎県、大分県 |
なお、上記の対象エリア以外の道府県のスタートアップ支援は、日本公庫の支店が対応します。
国民生活事業と中小企業事業の役割の違い
先ほど紹介した新規開業資金は、国民生活事業になります。そしてスタートアップ支援資金は中小企業事業です。
日本公庫は、国民生活事業と中小企業事業の2つの事業を使いわけることによって、スタートアップの資金需要に切れ目なく応えていこうとしています。
スタートアップは、一般的に次のような過程を経て成長していくと考えられています。
日本公庫では、国民生活事業をシードとアーリーの段階にあるスタートアップに、中小企業事業をミドルとレイターの段階にあるスタートアップに利用してもらうことを想定しています。
日本公庫の実績
日本公庫のスタートアップ支援策は、一定以上の効果をもたらしています。
経済産業省と独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の3者は合同で、スタートアップを世界で勝てる企業にするための育成支援プログラムJ-Startupを展開しています。
2023年3月末現在、J-Startup選定企業は238社となっています。そのうちの約66%に当たる158社が日本公庫の取引先です。
日本公庫のサポートがスタートアップを増やしていることが表れた結果といえるでしょう。また、スタートアップが日本公庫の支援を受けて成長していることもわかります。
日本公庫は「イノベーションの担い手であるスタートアップの創出を積極的に支援していく」と述べています。今後も日本公庫がスタートアップにとって重要な存在となるでしょう。
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元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局
著書:「マネして完成! 事業計画書 ~10業種36の事例で事業計画のまとめ方がよくわかる」ドリームドリームゲートは経済産業省の後援を受けて2003年4月に発足した日本最大級の起業支援プラットフォームです。
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