誰でも500円の売上から始められる― 『1億円稼いでいる人は何をしているのか？』著者インタビュー

会社員のまま始める起業準備サロン「起業18（ワンエイト）フォーラム」を主宰、1万人の起業をプロデュースしてきたドリームゲートアドバイザーの新井一（あらいはじめ）さん。会社員だけでなく、自立を目指す主婦やフリーターなども数多くサポートし、高い評価を受けています。

そんな新井さんが2023年8月に出版されたのが、『誰でもできるけど、みんな気づいていない！1億円稼いでいる人は何をしているのか？』（総合法令出版）。現代では誰もがお金の問題について不安を抱えていますが、不動産や株の投資はハードルが高いと感じる人も多いのではないでしょうか。本書はそういった方に向けて、自分が今持っているお金とスキルを活かし、1億円を生み出す方法について紐解いています。

お金が流れている場所を見極め、事業を始める

−本書はどういった方に向けたものですか？

資産形成や将来のお金について、考えるのが出遅れた人向けに書いています。35歳を超えてから、定年後・老後について不安になりながらも、その時点で何もしていない人、今の収入では足りないと気づきながらも、何をすべきか迷っている方が多いと思います。

かといって、流行りに乗って知識もないのに株や不動産投資を始めるのは難易度が高いでしょう。よく「不動産投資は簡単」「人にローンを払ってもらえばいい」と言われますが、既に成功しているノウハウや人脈を持った人たちが大勢いる中で、素人の自分にうま味のある情報が入ってくるなんて夢物語です。

現実的に考えると、まず自分で事業を始めて、月５～10万円稼げる事業をたくさん作っていく方が確実です。事業を始めるというと難しく考えがちですが、大きな資金を必要とする株や不動産よりもハードルが低いという考え方もあり、本書を執筆しました。

−近年では老後2000万円問題や物価の高騰など、お金に関する不安が増えてきたように思います。

老後2000万円というのは年金をもらった上での試算で、今後年金が減ること、受給開始年齢が引き上がることも想定されます。物価が上がっている中で、給与は増えていない企業も多いです。大企業や公務員として長く勤め、年金受給額や退職金の心配がなく、持ち家がある場合などはいいのですが、中小企業にお勤めの方、転職を繰り返した方、フリーの方などは、夫婦で老後2000万円では足りないでしょう。インフレ傾向なので、１億円あっても取り崩していくだけでは不安かもしれません。そうなれば、40代になってから月に2～3万円貯金していても間に合わない金額なので、自分の事業を始めることを提案しています。

−１億ですか！？それはコツコツ貯金じゃまかなえないですね。しかしいきなり事業を始めることはハードルが高いと感じる人も多いですが、どのようなことを始めれば良いのでしょうか？

方法は色々とありますが、「自分にとって簡単なこと」をやるのがポイントです。今はネットでなんでも仕入れられるので、安く買ってきて高く売るとか、知っていることを教えるとか、できることをお手伝いするとか。今会社で働いているなら、会社でやっていることを他の会社のためにも活かせば、その分お金は増えます。難しいと感じることは1つでも難しいですが、簡単なことはいくつやっても簡単です。自分にとって簡単なことで、まずは月に500円、1000円からで良いので始めてみてください。

−一気に数百万円を目指すのではなく、500円、1000円からで良いのですね。

数百万円をいきなり動かすのは難易度が高すぎます。本書の中では不動産や株など大きなお金を生み出す資産を「金の卵」と呼んでいますが、「金の卵」を手にできる人はごくわずか。時間を味方につけた人だけです。不動産や株の元手はどうするのか？という問題もあります。

借り入れをして、やったこともない不動産や株をやっても、成功できるのか分かりませんよね。でも小さな事業を始めることで、金の卵ほど大きくはないけれど、半自動化による「銀の卵」を手にすることは誰にでもできます。そこからお金が流れているところに移動していけば、金額を大きくしていくことができます。

−お金が流れているところというのは、どういうところでしょうか？

例えば何かの商品を売るときに、Amazonやネットで売るのが今のトレンドだと思いがちですが、Amazonや楽天にただ出品しても、埋もれてしまって誰にも見つけてもらえません。広告を出さなければ、消費者に情報が届かないのです。一方で、リアルの店舗では、新商品は前面に陳列され、人の目に留まります。売れれば棚の面積が広くなっていき、さらにお金が流れるようになります。

まずは、小さくてもお金が流れている場所を選ぶのです。もちろん、より大きなお金が流れている場所にいる方が有利なことは間違いありません。分かりやすい例で言うと、お寿司を握るなら東京より今はニューヨークで働く方が稼げる。そうやって商品やサービスが1番評価される・活躍できる場所に移動していくことが重要です。

−「お金が流れているところ」がどこか、どのように見極めたら良いでしょうか？

業界に勤めていた人に商流を聞くのが1番良いです。私のサロンでは多様な業界の方々がいるので、実はどういうところが集客の要、利益の源泉になっているのか、実際にその業界の方々から聞く機会が多くあります。

−新井さんのサロン受講生の中で多い悩みはありますか？

会社でうまくいっていない方や、お金、自由度のない働き方について悩んでいる方も多いです。ただそれらは表面化している問題であって、本質的な問題は、日々の生活に追われて、やりたいことができても続けられないことだと捉えています。自分で決めたことを忘れて、すぐに逃げ出してしまう。だから何も手に入らない。そんなことを繰り返してきた自分を変えたいという気持ちがあるのでしょう。僕もそれは同じです。人間の致命的な課題であって、だからこそ、難しいことを追加するのではなく、言われなくてもやっていることをビジネスに変えたら良いんです。そうでなければ続きません。誰でも、日頃何気なくやっていることが、たくさんあるはずです。

自分の作業は2割まで。8割の時間は仕組み化に充てる

−お金が流れている場所を見極めた後は、どのように行動したら良いでしょうか？

副業やフリーランスの方に多いのが、なんでも自分でやろうとすることです。自分が1番その仕事を理解しているので自分でやるのが早くて楽なのですが、それでは時間もお金も増やせません。人に委託するためにマニュアル化できるかが勝負で、5年10年かけて一流になるよりも、属人化させず人に渡せる作業にしていくことに注力していただきたいです。

−確かに自分ができる事業を始めるとなると、自分1人でやるものだと勝手に思っていました。

自分で働いているだけだと、いつまでもお金に対する不安はなくなりません。自分がもし倒れたら、何かあったらどうしようという不安が解消されないからです。私のサロンでは、クライアントのために自分で働いて良いのは2割まで、残りの8割は人に渡すための準備に充てることを徹底的に守っていただいています。例えばライターなら、自分で書く時間は2割だけ、8割は書き方を教え、弟子を育てる時間。そうすると、どんどん自分が楽になっていくし、事業も成長していきます。

−8割も！ 仕組み化は本当に重要なのですね。

自分がずっと忙しいと、新しいことにチャレンジする時間を失います。チャンスが舞い込んでもそれを掴むことができません。時間は一番の資産なのです。そしてお金が稼げないので、不安になってさらに働く…という悪循環に陥りがちです。お金に不安がある人こそ、あくせく働かないほうが良いのです。

−自分ができることが何なのか、起業ができるほどにこれといった特技もないように感じている人も多いのではないでしょうか？

私のセミナーやサロンのセッションでは最初にスキルの言語化を行います。私も含めた3〜4人の勉強会で1人20〜30分の壁打ちを行い、自分が今やっている細かい経験を言語化していくセッションです。用意した数多くの質問項目にチェックしていくだけでその方のスキルを言語化できます。これに参加すると、どんな方でも起業できる「何か」を見つけられるはずです。

−最後に、読者へメッセージをお願いします。

本書では1億円が何なのか、あえて資産とも年収とも売上とも言っていません。それは、自分にとって1番身近な1億円とはどこなのかをどう理解しているかを確認してほしいからです。1億円はシンボルとして使っているものなので、自分に近い目標になる1億円を当てはめていただいて、できることから始めてみてください。1億円というと構える方が多いですが、そんなに難しい金額ではありません。ぜひ本書を活用して、チャレンジしてください。

執筆者プロフィール：ドリームゲート事務局

ドリームゲートは経済産業省の後援を受けて2003年4月に発足した日本最大級の起業支援プラットフォームです。
運営：株式会社プロジェクトニッポン
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