小規模事業者向け集客コンサルティングをしている氷室です。
アフターコロナに近づく中で、既存事業の発展や新事業への進出において必要なのは、投資するための資金です。新事業・既存事業の新たな広告宣伝・外注費用・新たな設備投資費用・・・様々なものにお金は必要です。そんなクライアントの方々におすすめしているのが『持続化補助金』です。毎年継続的に行われている、この補助金を活用することで、最大100万円の支援を国から受けられます。
- 補助金って何かわからない
- 私でも申請できるの?
- 開業して間もない私には関係ない?
そんな方に読んでいただきたいコラムとなっていますので、ぜひ参考にされてください。
- 目次 -
持続化補助金とは?
概要
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が行う販路開拓や生産性向上の取組に要する経費の一部を支援する国の制度の一つとなります。その時々の経済状況・社会状況に応じた形で毎年出ています。例えば昨年・今年は大きな枠組みとして“感染症対策”がテーマとなっています。
まずは昨年行われた持続化補助金コロナ型の実際の申請数・採択率を見てみましょう。
令和2年度の小規模持続持続化補助金<コロナ特別対応型>申請数・採択率
回 | 公募締切 | 申請件数 | 採択者数 | 採択率 |
---|---|---|---|---|
第1回 | 2020年5月15日 | 6,744 | 5,503 | 81.60% |
第2回 | 2020年6月5日 | 24,380 | 19,833 | 81.35% |
第3回 | 2020年8月7日 | 37,302 | 12,664 | 33.95% |
第4回 | 2020年10月2日 | 52,529 | 15,421 | 29.36% |
第5回 | 2020年12月10日 | 43,243 | 16,498 | 38.15% |
合計 | 52.88% |
お分かりになるように、後半になるにつれ提出数は増加している一方で、採択率は下降していきます。実は、この傾向はほとんどの補助金で見られます。
今回このコラムで主に扱うのは本年度の持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>となりますが、記入すべきポイントや、傾向は例年とほとんど一緒だと考えられます。採択されるための最初の一歩は「できるだけ早く提出すること」です。同時に公募が行われている一般型に提出予定の方も参考にされてみてください。
令和3年度小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>スケジュール
回 | 申請受付締切日 | 補助事業実施期間 |
---|---|---|
第1回受付締切分 | 2021年5月12日(水) | 交付決定日から 2022年2月28日(月) |
第2回受付締切分 | 2021年7月7日(水) | 交付決定日から 2022年4月30日(土) |
第3回受付締切分 | 2021年9月8日(水) | 交付決定日から 2022年6月30日(木) |
第4回受付締切分 | 2021年11月10日(水) | 交付決定日から 2022年8月31日(水) |
第5回受付締切分 | 2022年1月12日(水) | 交付決定日から 2022年10月31日(月) |
第6回受付締切分 | 2022年3月9日(水) | 交付決定日から 2022年12月31日(土) |
<補助金額、補助率>
- 最大100万円
- 補助率:4分の3
※135万円程度の支出をすることにより、その4分の3である最大100万円が国から助成されます。
<注意>
今回は全てgBizIDプライムというサービスを活用した電子申請となります。IDの取得に時間がかかりますので、興味のある方はすぐに申請を行うようにしましょう!※一応、時限措置として暫定IDの発行も可能です。
使える経費、使えない経費
持続化補助金に活用できる経費は非常に幅広いものになります。ただし、汎用性があるものは注意が必要です。あくまでも補助してもらえるのは、計画書に記載した計画に基づいた経費になります。ですので、そのほかのものに容易に汎用できるものに関しては経費に含められません。その代表例であり、相談がもっとも多いのが『パソコン』です。
「パソコンを活用した事業を行うのになぜ?」
これは、パソコン自体がそのほかのことに容易に転用できてしまう汎用性が高いものであるためです。実際に計画書を作成する際にはその点に注意しましょう。
実際に利用できる経費に関しては以下のURLにまとめてありますので、ご確認ください。
持続化補助金のメリット〜権利をまずは手に入れよう〜
持続化補助金を活用することは大きなメリットがあります。それは今考えている事業をよりスピーディーに、より効率よく進められる“権利”を手に入れられることです。セミナーでもお話しするのですが、例えば10万円を元手に事業を進めるのと、100万円を元手に事業を始めるのではどちらの方が成功する可能性が高いでしょうか?
当然100万円ですよね?
それは、投資できる幅が広がるからです。
こんな風に考えたことはありませんか?
「本当はWEBページを作りたいけど、事業予算を他のことに回したいなぁ」
「WEB広告を行いたいけど、予算を捻出できないなぁ」
「SNSの担当を置きたいけど、そんな人件費の予算ないしなぁ」
どれも本当はやりたいけれど、予算がないからできないという悩みですよね?
持続化補助金に提出し、採択されれば上記の悩みを解消でき、実際に事業をより前進させられます。
ちなみによくあるのが「いつかはやりたいけれど、補助事業期間にやるかやらないかわからない」というお声です。でもそれってすごくもったいないあなぁといつも考えてしまいます。この考え方ってそもそもまだ提出していない、そして採択すらされていないのに、ないものねだりしているだけなんです。実際に提出し、そして採択されて初めて【事業を行う】【事業をやらない】という選択をする権利を手にすることになります。
採択されるためには、様々なハードルがありますが、ぜひ“権利”を手に入れるために頑張りましょう!
持続化補助金のデメリット
今まで持続化補助金に関してのメリットばかりお話ししてきましたが、実はデメリットもあります。主なデメリットは2つです。
- どんな経費にも利用できるわけではなく、あくまでも計画書に記載してある内容で生産をしていく必要がある。
- あくまでも後払いとなるため、入金までは先に事業費用を支払っておく必要がある。
①に関しては上記で記載したように、汎用品などに関しては経費にできません。また、例えば計画書にはWEB広告を入れていなかったけれど、採択された後にやっぱり経費にしたいといったことはできません。あくまでも計画書に則った形で、予算を使う必要があります。
②に関しては一番気をつける点です。補助金はあくまでも“補助金”なので、採択されたらすぐお金が出るわけではありません。計画書に則って予算を消化していき、その報告書を提出してから入金されます。ですので、実際に補助金を受け取るためには、資金繰りをしっかりと考えておく必要があります。
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採択される計画(準備編)
まずは準備するもの
補助金の提出に当たっては、提出書類をみなさんの状況(個人事業主なのか、法人なのか、または開業間もないなど)に合わせて揃えておく必要があります。以下のURLに一式を載せていますので、そちらを参考にされてください。
事業のコンセプトを考えよう
今回の補助金のテーマは“感染症予防”と“アフターコロナ時代への事業転換”です。今回皆さんが補助金を活用して行おうと思っている事業が上記の2つに沿っているのか、もしくはどのようにしたら関連付けれるのかを考えた上で、コンセプトをしっかりと考えましょう。
そもそもどんな費用が必要ですか?
上記のコンセプトが出来上がったら、それに付随した必要なもの(必要経費)を洗い出しましょう。
例えば以下のような考え方となります。一例ですので、よければご自身の事業に合わせて考えてみられてください。
Aさん
2018年ごろより個人で対面型のヨガインストラクターとして活躍していた。しかし、コロナの影響で対面型レッスンを継続しつつ、オンラインレッスンも行う必要が出てきた。そのために本補助金を活用したい。
では、Aさんは補助金を活用してどのようなことができるのかを少し考えてみましょう。
1、オンラインレッスンを行うにためには何が必要?
- 集客をする為のWEB広告宣伝費用
- より多くのお客様への対応をするための予約システムのついたWEBページ
- オンラインレッスンをする部屋の改装
2、現在の対面型レッスンの維持
- 新たなお客様を集客するためのチラシ作成費用
- 感染症予防を行うための空気清浄機の購入
ざっと考えただけでもこれくらいはありますよね?おそらくもっとたくさん出てくるのではないでしょうか?
この考えた費用に合わせて、どれくらいの予算が必要か(わからない場合は見積もりを取ってみましょう)を考えてみるといいですね!
絶対に外してはいけないあの2つ
昨年300件近くの計画書を見させていただきましたが、意外と抜けていて、かつとても重要な項目が「自社の強み”と“自社の課題」です。
なんだ、そんなことが大事なの?と思われる方が多いかもしれませんが、これって本当に大事です。なぜなら、持続化補助金は
- 自社の現在の課題を分析し、その課題に対してどのように立ち向かっていくのか?
- 自社の強みをいかに生かしながら、課題を解決するのか
について考えていく必要があるからです。しっかりと「自社の強み」「自社の課題」を洗い出して書いていきましょう。
採択される計画(実際に書いていこう)
その文章は誰のもの?伝わらなければ意味がない
上記の準備が終わったら、あとはそのフレームワークをもとに書いていけばOKです。ですがそのときに気をつけてほしいのが、その文章は誰のもの?ということです。実際に書き始めると、その業界のプロ目線で文章を書き進めていってしまいます。その結果として出るのが“専門用語”や“業界用語”です。
それらが多すぎると素人には全く理解できないので、採択をされるためには、その業界のことを全く知らない人にも理解してもらえるような文章にする必要があります。
ストーリーはあるのか?(一本のロジック)
上記の専門用語、業界用語に関して気をつけて書いていくと、次に重要なのがストーリー性です。その文章においてストーリーはありますか?実際に採択された計画を見ていると、文章を読むだけでワクワクしたり、すごい!できそう!など、読んでいて楽しみや新たな発見があります。
当然ですが、チェックしている方々も全て人間です。そしてその方々の手元には何百、何千という計画書があります。その中でよくわからない計画書、面白くない計画書があれば高得点をつけるでしょうか?だからストーリー性のある計画書にする必要があるのです。
では、どのようにしたらストーリー性のある、読み飽きない計画書になるのでしょうか?それにはロジックを組み立ててから書く必要があります。ここで大事なのは、記載する文章全てにおいて一本のロジックを通すことです。
前述の「絶対に外してはいけないあの2つ」と同じ考え方ですが、
- 自社の現状(強み・課題)は〇〇である。
- なので現状を打破するために新たに“A”を始める。(既存でもOK)
- “A”を始めるためには、B ,C ,D,Eが必要であり、そのために本補助金を活用したい。
- もし“A”を行えれば自社の将来は素晴らしいものになる
といったロジックをしっかりと作りましょう。
出来上がった計画書の裏付けをする実現可能性
頑張ってここまで書いてきたら最後にチェックするべきは、その計画に“実現可能性があるか”です。例えば、今までたこ焼き屋さんだったのに、オンラインのヨガ教室を開くという計画にどれだけの実現可能性があるでしょうか?
ここまで極端ではないとはしても、実際に書いた計画書を読み直して、実際に実現できるような計画書なのか?そして自身の強み・弱みとリンクしているのかを考えましょう。
勘違いしやすい“効果”の書き方
最終チェックまで終わったら、最後は“事業を行うことでの効果”を書いていきます。!“効果”と聞くと、なんとなく文章で説明をしてしまいがちですが、売り上げなどの計画を表にすることで、実際の計画によってどのような売上が上がるのかを示せるはずです。
ダラダラと文章で説明するよりも、ズバッと書いてしまいましょう!
まとめ
限りある文字数の中で本当に基本的な部分だけになってしまいますが、ポイントをまとめてみました。
最初に述べたように、一回目、二回目の採択率が80%を超えている一方で、3回目以降は急激に下がっています。第一回目はすでに終わっていますが、もしご興味のある方は7月7日締切の第2回に提出しましょう!セミナーも開催中です。
執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー氷室 昌朋(ひむろ まさとも) E・I・C
月10人しか来なかった個人向けエステ・ヨガスタジオを約3年で500名へ成長させた実績。集客・販路拡大のプロ。セミナー等でも大活躍中です。
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