個人事業主や副業サラリーマンまで「法人設立」が節税になる5つのスキーム

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

スタートアップ、個人事業の法人成り、プライベートカンパニー設立など年間100社以上の支援実績で、様々なパターンの法人化や節税策に関する知見・ノウハウを蓄積している公認会計士・税理士の宮川英之さん。その近著が、『節税するなら別法人を作りなさい』(Kindle版)。副題が「アフターコロナの大増税時代を生き抜く5つの会社設立スキーム」となっており、今の時代ならではのノウハウがふんだんに盛り込まれているそうです。この新刊をどう役立ててもらいたいのかを、宮川さんに伺いました。

コロナ対応の財政出動のあおりで、大増税時代が来つつある!

202261日にKindle版で発刊されましたが、本書はどういう方に向けたものですか?

私自身、開業して約10年で1000社ほど、個人事業主の方の法人成りやプライベートカンパニー設立のコンサルティングや顧問などを行ってきましたが、そのノウハウを節税観点からまとめたものになります。

また、コロナ禍で各種補助金、助成金、支援金として大規模な財政出動がありました。その財源の穴埋めとして、今後は大規模な増税となることが予想され、その思いを副題の「アフターコロナの大増税時代を生き抜く」に込めました。実際に、20224月と10月には雇用保険料率が2段階にわたり引き上げられ、202310月からは年商1000万以下の中小企業や個人事業主も消費税を納める選択を迫られるインボイス制度の導入と、実質増税の波が次々と押し寄せています。

そうした状況を前提に、では、どう行動していくべきかというのが本書のテーマです。

目次の項目でいえば、一番伝えたかった部分はどこでしょうか?

一番は最後の部分ですね。ネット検索で調べられるような節税策には、ふるさと納税やiDeCoなどがありますが、そうした細かいものを積み重ねるより、中長期的な日本経済の状況もふまえて節税とともに大きな事業展開ができるスキームに挑戦しようというのが、本当に伝えたかったことです。

スキームというのは、これも副題にある「5つの会社設立スキーム」ですね。どういうものがありますか。

「スタートアップ・個人事業主の法人成り」「マイクロ法人」「株式・FX・暗号資産の法人化」「不動産法人」「新規事業を別法人」の5つです。もちろん、自分の状況に応じてカスタマイズしていく必要があるので、代表的な例としてこの5つを紹介しました。これらを状況に応じて選んだり、スキーム同士を合併させてオリジナルで取り組んだりすることを提案しています。

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仮想通貨の売却益も、法人を作って移すことで税率を抑えられる

「株式・FX・暗号資産の法人化」というのは、今どきな気がしますが、どういうことでしょうか?

副業解禁の流れもあるので。これまで個人的に行っていた資産運用の一部を法人化して行うのも一つの手だということです。特に暗号資産、仮想通貨については、税制が個人にはかなり不利なものとなっているんです。たとえばビットコインで何千万、1億と売却益が得られた場合に、所得税と住民税で最大55%以上の税金が課せられます。ならば別法人を作って、重税である個人の所得税課税から法人税にシフトしてはという提案です。

すでに個人で保有している仮想通貨を、法人を立ち上げてそちらに移管するのですか?

そのとおりです。相場が下がったタイミングで法人を立ち上げ、そちらに移せばあまり利益も出ないので、相場の見極めもポイントになりますので、本書で見て興味があれば、ぜひ直接相談いただきたいですね。

「個人事業主の法人成り」で、何か最近の傾向はありますか?

以前は、勤務先は辞めて、一念発起して起業する人が多かったですが、最近は副業解禁の流れもあり、勤務先に在籍しながら起業して、軌道に乗ったら一本化しようという人が増えています。リスクを極力おさえた、安全な起業のし方ですね。その場合は、職場になるべく知られずに起業したいというニーズもあり、そうした相談が増えています。

年間300万円以下の副業収入は、実質増税になろうとしている?!

3章「法人を使った節税方法」の内容で、最近のトピックス的なものはありますか?

住居を社宅に、車を社用車にというのは昔ながらの節税法ですが、中古車だと減価償却費が多く計上できるといったノウハウを紹介したりしています。なかでも、もともと人気のトヨタのランドクルーザーは新車が半導体不足等により納期が4年待ちといわれていて、中古が新車価格を大幅に超えています。このような車種を持てば、節税効果を享受しながら売却益も狙えるといった状況になっています。

なるほど。いろいろ新しい状況が生まれているのですね。

そのほか、会社員で副業をしている、あるいはこれから始めようかと検討中の人にぜひ知っておいて欲しいのが、所得税基本通達にまつわる改正案で、年間300万円以下の副業収入は「雑所得」に区分するとされる方向が示されているということです。これはどういうことかというと、いま副業収入は「事業所得」とできるため、青色申告だと最大65万円の特別控除が認められます。しかし、雑所得だとこの特別控除が適用されず、65万円の所得に相当する税金分が増税となるのです。また、他の所得との損益通算や損失の3年間繰越なども使えません。

このような流れもふまえて、法人化を上手く活用してもらいたいですね。自分の場合はどうするのがよいか、については、個別にご相談できますので、ぜひ問い合わせてください。

出版されてからの反響で、改めて感じたことはありますか?

もともと起業意欲の高い人だけでなく、保守的なサラリーマンの方や、専業主婦でメルカリなどで雑貨を販売しているような方にも読んでいただいています。家事の片手間にやっていたのが好評で、売上が上がっていくようなケースだと、法人化でメリットがあるでしょう。その見極めに本書を役立ててもらいたいですね。

最後に、その記事をご覧の方にメッセージをお願いします。

本書のタイトルで、法人化ではなく「別法人を作る」としたのは、自分個人以外の法人という意味と、すでに会社経営している人が事業を分けてもう1つ法人を作るという意味です。

既存の法人だとしがらみなどで新しい事業がやりにくかったりもしますので、新たなコンセプトやネットワークで別法人を起こすのもよいと思います。最近だと、バーチャルオフィスでも登記ができますし、あらかじめ融資までをセットにしたプランなども出ています。そうした最新事情もあるので、ご自分の場合はどんなやり方があるか、ぜひ一度相談してもらえればと思います。

執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局

ドリームゲートは経済産業省の後援を受けて2003年4月に発足した日本最大級の起業支援プラットフォームです。
運営:株式会社プロジェクトニッポン
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