学習塾を開業するときにハマってしまう3つの罠

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 戸高 一穂

今、もしあなたが学習塾を開業する予定だとしたら、その前にぜひこのコラムを読んでほしいと思いながら書いています。

学習塾は最初のコンセプトの段階で成功するか、失敗するかが決まってしまうことが多いのです。私はこれまで多くの塾を見てきて、生徒が集まらず苦労し、やがて廃業してしまう塾がはまってしまう罠をいくつか見つけました。

今回はその中でも「学習塾を開業するときにハマってしまう3つの罠」についてお伝えします。

罠①大手塾の真似をしてミニチュア大手になる

大手塾の真似をしても大手塾には勝てない

よくあるのが、大手塾出身の先生が独立し、かつて自分が務めていた塾と同じような塾を作ってしまうというパターンです。

これは自分自身がその塾で成功していたために陥ってしまう考えなのですが、大きな見落としをしています。

それは自分が務めていた塾は自分以外の多くの人間によって成立していたということです。また、その塾が長年、その地で築き上げていたブランドがあって集客だったということも忘れがちです。
それを忘れて自分だったらできると妄信して同じような塾を作っても、保護者は実績のない塾に同じ月謝を払うくらいなら、実績のある大手塾を選びます。それが残酷な現実です。

教えられない教科は動画授業にしても無駄

また、数多くの講師を雇えない場合、動画授業でその穴を埋めようとする先生も多いのですが、多くの場合は失敗します。動画で成功しているパターンは生徒の面倒見の良い塾です。

講師の数が足りずに動画を入れてもほとんどはそのまま放置しているだけのことが多く、結局は質問に答えることができるスタッフがいるところが強いわけです。
最近は低価格で質の高い動画も自宅で受講できるようになりました。

これだけ動画コンテンツが増えてくると、動画そのものに価値を感じることは少なく、現在も大手予備校の有名な講師が出ている映像授業が一人勝ちの状況を見ても、動画をメインにするタイプの塾は今後苦しくなると予想されます。特に全く教えた経験のない方が動画メインの塾で起業して大失敗をしているケースがよく見られます。

どうしても動画を入れるなら、自分が教えられる教科に限定して、質問を無制限に受ける形がおすすめです。

自分の最大の強みをさらに強化して差別化する

大手塾の真似をしても、知名度と資本で劣っている後発組、しかも規模の小さい塾は勝てません。そうではなく、むしろ大手塾とは真逆の路線で行くことをおすすめします。それが自分の強みを活かした形に出来れば一人勝ちできるようになります。

今、大手塾に通っている生徒・保護者が持っている不満を調べてみると良いアイデアが浮かぶかもしれません。私自身はその答えを見つけています。知りたい方はぜひ個別面談でお話ししましょう。

罠②大手塾が少ない田舎で開業してしまう

郊外で開業したある塾の悲劇

その塾は大学生がスタートさせた塾で、大手塾がひしめく激戦区である都市部を避けて、ある程度生徒が見込める郊外で開校しました。

どうなったかというと、開校当初はそこそこ集まったものの、それ以降は年々苦しくなり、3年も立たずに潰れてしまいました。

大手塾が少ないところは生徒も少ない

なぜこうなってしまったのかというと、大手塾がないということはそれだけ塾としては成り立ちにくい地域だということと、すでにある個人塾や小学生が通う大手の塾が独占している可能性が高いということです。

ちなみにそのような地域でも優秀な生徒はいるはずだから、その生徒を対象にすれば遠くても都市部の大手塾に通っています。結局ターゲットとなる生徒がいないために立ち行かなくなってしまったのです。

ライバルが多い激戦区こそ小さな塾の需要がある

上記のような理由から、塾を出す地域は大手塾のひしめく激戦区に出すことをおすすめします。少なくとも塾に通う生徒が多く存在していて、塾の需要が高い地域だからです。

その中で、大手塾を真似たミニ大手ではなく、大手塾では手の届かないところをカバーする塾を創り上げるようにしましょう。

そうすれば、大手塾に不満を持っている人たちにとっては救いになる塾になることができます。小さな塾にしかできないニッチな需要は意外と多くあるものです。

罠③周囲と比べて安い月謝にしてしまう

月謝を安くすると生徒が集まるという嘘

塾で起業しようとしている方は周囲の塾と比べて価格面の優位性をつけようとして、月謝を安くしようとします。

もちろん、生徒や保護者のことを考えて、できる限り安くサービスを提供してあげたいという気持ちはよく分かりますし、間違っているとは思いません。しかし、月謝を安くしてしまうことのリスクは知っておく必要があります。

低価格=価値がない塾

「月謝が安すぎるので入塾するのを辞めます」

これは、ある塾で実際にあった話です。問い合わせに来た保護者が月謝を見て言い放ったのがこの言葉です。その塾は授業をしている講師陣もその後はそれぞれが自分の塾を開いて生徒を集めているくらい、実力のある講師ぞろいでした。

安い月謝にエース級の講師が勢ぞろいだったこともあり、その塾は教室が1つだったにも関わらず1年足らずで生徒数が120人を超えるほどに成長しました。

しかし、その後その塾はどうなったかというと、安いという理由で勉強をする気のない生徒が集まり始め、授業中に騒がしい、目の行き届かない後ろの方でゲームをしているなど、評判が下がっていき、それを嫌った真面目な生徒が退塾して、経営が苦しくなっていきました。

後から聞いたのですが、「月謝が安すぎるので入塾するのを辞めます」と言った保護者は、「あそこは安くて先生たちも熱心だから今は良いけど、後から大変なことになる」と言っていたそうです。その予言は当たってしまったわけです。

ちなみにその後、その塾は方針を転換し、高価格な塾に変わりました。教室数・スタッフも増え、今も順調に生徒を集めています。

高くても入りたいと思わせる塾を創ろう

もしあなたが月謝を高くすることに罪悪感のようなものを覚えるのだとしたら、それは自分の塾の価値を低く見積もり過ぎているだけかもしれません。

自分の仕事を学校の勉強を教えるだけ、志望校に合格させるだけ、と考えてしまっているのではないでしょうか。そうではなく、自分の仕事は子どもの将来にとって、もっと有益であると考えることが必要です。

私自身は生徒の生涯年収を引き上げる、将来何かあっても食べていけるだけの基礎能力を身に付けさせるというように考えていますし、実際に話をしています。

考え方はさまざまななので、これが唯一の正解というわけではありませんが、塾という仕事に対して誇りを持つことができるようにしていけば、保護者にとって価値のある塾になっていけるはずです。

せっかく起業するのだから、月謝が高くても入りたくなるような塾を創っていただきたいと思います。

まとめ:簡単に真似できることは「売り」にはならない

ここで述べた3つの罠はある1つの共通項があります。それは「簡単に真似できるところで勝負している」ということです。

大手塾を真似るのもそうですし、競合を避けて郊外に逃げるのも、月謝を安くするのもすべて簡単に真似できるし、真似をされます。そのような安易な価値で勝負するのではなく、簡単に真似のできない自分の塾だけの独自の価値を創り出していけば、激戦区でも堂々と戦っていけます。

開校前にターゲットとそのための最適な立地を決めることは塾の生命線になります。そこをしっかりと固めて自由で豊かな塾講師ライフを送りましょう。

独自の価値を一緒に考えてほしい、何かアドバイスがほしいという人はぜひ無料面談でご相談ください。お待ちしております。

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 戸高 一穂(個別指導LOGIQUE)

学習塾専門のコンサルティングを行なっている戸高アドバイザー。集客に悩む個人塾の経営者を中心に、ご自身の経験をもとにした成功メソッドを提供しています。 集客に悩むことなく、 教える楽しさに集中できる塾講師を多数輩出。

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ドリームゲートアドバイザー戸高 一穂

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