GAFAの日本法人が、合同会社を選択するワケ

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 中野 裕哲

年々増えている合同会社という起業の形。近年では、GAFAのような誰もが知る大きな会社も合同会社の形を選択するようになってきています。そんな合同会社を設立するメリットとはどのようなものでしょうか?起業面談相談9年連続日本一の筆者が説明します。

合同会社とは?

合同会社とは、一言でいえば、「所有と経営が分離していない会社」です。株式会社であれば、株主がお金を出資して会社を所有し、実際の経営は代表取締役をはじめとする経営陣が行います。このように株式会社では、所有と経営が分離しているのが特徴です。一方、合同会社では、出資者がそのまま経営者として経営を行います。

とはいえ、起業する人に限定するなら、株式会社であっても自分で出資してそのまま代表取締役として経営を行うのが大半です。このような場合は、株式会社であっても所有と経営が分離しているわけではなく、合同会社と何ら変わりないということになります。

GAFAの日本法人が次々合同会社を選択するワケ

近年、GAFAの日本法人をはじめとして様々な会社が合同会社の形態を選択しています。日本の会社でいえば、DMM.comや西友などが合同会社の形式を選択しています。

合同会社ということは株式を発行しません。そのため株式を用いて、幅広く投資家から資金を調達する道はなくなってしまいます。それではこれら大手の会社が合同会社を選択する理由は何でしょうか?

その一つは、意思決定の速さや容易さです。株式会社では、経営にあたっての重要事項を決める際には、株主総会の開催や決議など会社法に定めたいくつかの会社法上のプロセスがあります。

しかし、出資者=経営者である合同会社においては、意思決定のための会社法上の決まりがありません。出資者同士で決めればそれでOKです。言ってしまえば、会社法上の面倒な決まり事が、合同会社ではほとんど適用されません。

出資者=経営者であれば、たとえ経営に失敗しても無くなるのは自分のお金。第三者に迷惑を掛けなければ、社内のプロセスは自由に決めてくださいというのが会社法のスタンスなのです。

一人で起業する場合にはあまり実感できない部分かと思いますが、株式会社の場合で出資者が増えてくれば、意思決定の際のプロセスの大変さが分かると思います。そんな面倒さを解消するための選択肢の一つが合同会社形態なのです。

合同会社のメリット・デメリット

まず株式会社との大きな違いは、設立のための費用です。合同会社では、公証人による定款の認証が不要であるため、株式会社と違って認証費用がかかりません。また、設立に要する登録免許税も株式会社の半分以下なのです。

株式会社 合同会社
定款認証費用 約52,000円 認証不要
登録免許税 150,000円 60,000円

表から分かるように、約14万円の差があります。

また、前項でも書いたように意思決定プロセスに制限がないというのも合同会社のメリットです。

デメリットは、株式発行による幅広い資金調達ができなくなるということがあります。また合同会社も増えてきたとはいえ、主流はやはり株式会社です。合同会社といえば規模の小さな会社というイメージを持っている人も多いでしょう。

今でこそ少なくなりましたが、大手の中には、株式会社としか取引しないという会社もあります。名刺に印刷する代表者の名乗り方も株式会社が代表取締役なのに対して、合同会社では代表社員。このあたりを気にするかどうかは人によるかもしれません。

起業家にとっては費用面に目が行きがちですが、このようにさまざまなメリット・デメリットがあります。株式会社にするか合同会社にするかは将来的な事業展開なども踏まえてきめるべきです。

株式会社と合同会社とで迷ったら

株式会社と合同会社、双方にもメリット、デメリットがあり、どちらの形態で起業すればよいか迷うこともあるでしょう。将来的にどのような会社にしていきたいのか、そのためにどのように資金調達していくのか、会社の形態によって外部から見えるイメージはどうなのかなど、決めるにあたってはいろいろな事項を検討する必要があります。

合同会社と株式会社で税金面での違いはほぼありません。そのため、相談するにしても税理士だけでなく、起業について幅広く知見がある専門家に相談したほうがよいでしょう。ドリームゲートには、幅広いジャンルの専門家がいますので、迷ったときはドリームゲートアドバイザーに相談してみるのもよいでしょう。

まとめ

起業して会社を設立するということは、一生の内にそう何度もあることではありません。どちらの形態で設立するかということ以外にも検討事項はたくさんあります。迷ったときは、我々専門家の力を借りるのも一つの手です。ドリームゲートには起業家をサポートする多くの専門家が在籍しています。ぜひお気軽にご相談ください。

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 中野 裕哲(なかの ひろあき) /税理士/行政書士/社会保険労務士

起業コンサルV-Spiritsグループ代表。ドリームゲート起業面談相談9年連続日本一。多数の起業本、起業のWeb記事も執筆・監修する人気アドバイザー。「まるごと起業支援(R)」で、あちこち相談せずとも、起業の疑問も不安も一度で解消。
著書「失敗しない起業 55の法則」「マンガでやさしくわかる起業」「図解 知識ゼロからはじめる起業の本」など。

プロフィール | 無料オンライン相談受付中

ドリームゲートアドバイザー 中野 裕哲氏

この著者の記事を見る

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

無料で始める