【事業再構築補助金】不採択理由から見る、第3回に向けた提出書類の注意点

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 森 滋昭 (もり しげあき)

 

認定支援機関として事業再構築補助金の第1回および第2回の申請サポートを終えて感じたことは、事業計画書の作成自体も大変ですが、その他の提出資料を準備することも結構大変だということです。

筆者がサポートした方のうち、事業計画書だけではなく、「申請や提出資料の用意ができないので、そちらもサポートして欲しい」という方もいらっしゃいました。

第1回の申請結果について、採択件数などが募集枠ごとに公表されていますが、事業計画書の出来不出来以前に、書類の不備などで受け付けてもらえない方が多数いたことが明らかになっています。

そのため、事業再構築補助金事務局からは、不備の内容も紹介されています。

そこで、第1回申請時の採択状況と不備の内容から、第3回公募ではどのような書類を準備すればよいのかを見ていきます。

なお、事業再構築補助金は、いくつかの枠に分かれていますが、一般的な

  • 通常枠
  • 緊急事態宣言特別枠
  • 最低賃金枠

について見ていきます。

1.第1回申請の採択状況

まず、注目すべきは「書類不備等があり、申請要件を満たさなかった件数」(以下、「不受理件数」としています)が、申請件数の10%以上にのぼっています。

なお、「書類不備等」には、例えば、事業再構築補助金の類型が要件にあっていないために申請要件を満たしていない、といった単純な書類不備とは異なる内容までが含まれているのかは明らかではありません。

少なくとも、次に見るような形式的な提出書類の不備については、審査の対象にはなっていないようです。

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2.第1回の不備の内容

具体的に、どのような書類の不備等があったのかについては、補助金事務局からいくつか事例が公表されています。

売上高減少要件

  • 売上高減少要件に必要な、月別売上高を証明する書類が添付されていない
  • 売上高減少として選択された年月とは異なる年月の書類が添付されている。

認定経営革新等支援機関による確認書

  • 「認定経営革新等支援機関による確認書」 に記載された法人名等が申請者と異なる
  • 認定経営革新等支援機関ではなく、申請者名で確認書が作成されている。

事業財務情報

  • 経済産業省ミラサポplusからの「事業財務情報」が添付されていない

添付ファイル全般

  • 添付された書類にパスワードがかかっている。
  • 添付されたファイルが破損している。

このような、ある意味当たり前のことができずに不受理となったのは、申請者の注意不足だけではないと思われます。

その理由として、例えば、

  • 添付書類が多く混乱しやすい
  • 必要書類をどこからダウンロードすればよいのかわかりにくい
  • 売上高減少要件など、どの書類を提出するのかがわからない
  • 入力項目や添付書類が多いため、申請期限直前に対応すると間違いを誘発しやすい

といった、“注意不足”を誘発する構造的な問題があるように思われます。

そこで、こうした間違いを犯さないように、提出書類の全体について整理してみてみたいと思います。

3.第3回公募の提出書類を整理して解説

第3回公募では、第1回・第2回から提出書類が変更になっています。

大きくは、

  • 最低賃金枠の創出
  • 付加価値額の減少要件の追加
  • 対象期間の変更

によるものです。

以下に、第3回公募での提出書類を整理するとともに、第1回申請時に、特に不備の多かった書類について、赤字にしてまとめてみました。

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表のように、さまざまな書類を用意する必要があります。

最初は、事業計画書の作成に気を取られがちですが、効率的に申請を行おうとすると、事業計画書の作成と並行して、各書類を準備していく必要があります。

これは、時間管理という側面からだけではなく、売上高の減少要件は、事業計画書の作成に際して、既存事業がどのような状況にあるのかを説明する際に必要です。

また、一人当たり付加価値額の計算に際しては、労働者名簿での従業員数と整合させていく必要も出てきます。

こうした点も踏まえて、早めに必要書類の全体を把握して、書類準備に着手することが望まれます。

提出書類は、表のとおり、大きく6つに分けられますが、この中でも、分かりにくく、間違えやすいのは、「2.売上または付加価値額減少の書類」の書類です。そこで、「2.売上または付加価値額減少の書類」については、次に詳しく見ていきます。

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4.売上または付加価値額減少の書類

(1)各要件について

具体的な提出書類を見る前に、各要件を簡単に確認します。

※クリックで拡大されます。

1)コロナ以前との比較

事業再構築補助金の申請者は、コロナ以前と比較して売上または付加価値額が減少している必要があります。

対象期間は、第3回公募の場合、

  • 2020年4月以降の連続する6か月間のうち任意の3か月
  • 2020年10月以降の連続する6か月間のうち任意の3か月

で、それぞれ2019年または2020年1~3月の同月と比較します。
売上高の場合、それぞれ10%減と5%減となっている必要があります。もし、この減少率を満たせない場合、付加価値額で判定することもできます。
これは、第3回公募から、売上高は増加しているものの利益が圧迫され、業況が厳しい事業者を対象とするために、売上高に代えて、付加価値額の減少でも要件を満たすこととされました。
なお、付加価値額とは、「営業利益+人件費+減価償却費の合計」となります。

2)緊急事態宣言特別枠・最低賃金枠

緊急事態宣言特別枠と最低賃金枠の要件として、任意の1か月の売上高が30%または付加価値額が45%減少している必要があります。

どちらの枠も、減少率は同じですが、対象期間が異なることにご留意ください。

なお、売上高と付加価値額のどちらで判定するのかは、

  1. コロナ以前との比較
  2. 緊急事態宣言特別枠または最低賃金枠

すべてどちらかに統一して判定する必要があります。

つまり、一方を売上高、その他を付加価値額で判定することはできません。

(2)提出書類

※クリックで拡大されます。

1)売上高

各要件によって適用期間が異なりますが、基本的には、

  • 2020年ないし2021年の月間の売上高に対して、
  • 前年または前々年同月の売上高

を比較します。

そのため、すでに申告済の期間については、事業再構築補助金事務局で売上高を確認できるように、①確定申告書と、②月別の売上高が記載されている、事業概況説明書(法人の場合)または所得税青色申告決算書(個人事業主で青色申告の場合)を提出します

なお、個人事業主の白色申告の場合、月別の売上高が確定申告書に添付されていないため、代わりに月別の売上高が記載されている売上台帳等を提出します。

2021年の売上高については、確定申告が済んでいない期間が対象となる可能性があります。その場合、売上台帳等を提出することになります。

2)付加価値額

付加価値額を選択した場合、確定申告書には、付加価値額の内訳である

  • 営業利益
  • 人件費
  • 減価償却費

が月別には記載されていません。
そのため、申告済の期間か、申告が済んでいない期間かを問わず、月別の営業利益・人件費・減価償却費を確認できる試算表等の資料を提出することになります。

5.最後に

第3回公募に際しての提出書類は、公募要領1.0版にもとづいております。

なお、事務局に直接確認したところ、今後、公募要領の改訂等に伴い、提出資料が変更になる可能性もあるようですので、提出に際しては、最新の公募要領で確認することをお勧めします。

事業再構築補助金の申請サポートを受けられたい方は、まずは無料メール相談からご連絡ください。

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 森 滋昭
(もり しげあき) / 東京都 / 森公認会計士事務所
誠実な人柄とわかりやすい説明で、多くの起業家や中小企業の資金繰りや資金調達の支援をされている森アドバイザー。資金調達や資金繰りでお悩みの際にお勧めのアドバイザーです。
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