個人事業主として起業したものの、「売上が思うように上がらない」「思ったよりも経費がかかってしまった」と資金調達を検討する方がいらっしゃいますが、経営が上手くいっていないタイミングでの資金調達は審査が厳しくなります。そのため、創業前や創業して間もない頃に資金調達しておくことが大切です。
政府系金融機関や民間の金融機関、ノンバンクなど、さまざまな資金調達先がありますが、今回は個人事業主が安心して利用できる資金調達方法を5つご紹介します。
- 目次 -
日本政策金融公庫から融資を受ける
日本政策金融公庫は政府が100%出資する政府系金融機関です。
民間金融機関の取り組みを補完する目的があるため、民間の金融機関がサポートしづらい創業前や創業直後の起業家や中小規模事業者に対しての融資を積極的に行っています。
日本政策金融公庫には国民生活事業・中小企業事業・農林水産事業の3つの窓口がありますが、個人事業主の方は業種関係なく「国民生活事業」が融資相談先になります。
日本政策金融公庫をおすすめする3つの理由
低金利かつ融資実行までのスピードが早い
たとえば、創業時から税務申告2回終わるまで利用できる新創業融資制度の金利(令和2年12月1日現在)は下記のとおりです。
基準金利 | 特別利率A | 特別利率B | 特別利率C |
2.41%〜2.80% | 2.01~2.40% | 1.76~2.15% | 1.51~1.90% |
(参照:日本政策金融公庫 金利情報)
個人事業主が日本政策金融公庫から融資を受ける際には、基本的には基準金利が適応されます。特別利率を利用できるかどうかは、事業者の業種や年齢、性別などで決まるため、希望する利率を自分から選べるわけではありません。
また、日本政策金融公庫は融資を申し込んでから実際に手元にお金が入るまで1か月~1か月半と借り入れまでのスピードが他の金融機関に比べ早いです。
銀行のプロパー融資であれば、申し込みから1か月以内でお借入れができる場合もありますが、銀行との初回取引でまだ取引実績がなければそもそもプロパー融資を受けるのは難しいです。
また、ビジネスローンは3日程度で融資は受けられますが、年率15.0%前後と高い金利での借り入れになるのが一般的で、資金繰りを圧迫する原因になりますので利用はおすすめできません。
無担保・保証人なしで融資が受けられる
先ほど紹介した新創業融資制度は原則、無担保無保証人で借り入れができます。
弊社で融資サポートさせていただいたお客様のなかで、女性経営者で保証人を設定したことにより、新創業融資制度の特別利率Cが適用されたという事例があります。
あえて担保を設定したり、代表者が連帯保証人になったりすることで、金利を低くすることも可能です。
信用力が上がる
政府系の金融機関である日本政策金融公庫から借り入れができた実績によって事業者としての信用が上がり、民間の金融機関での資金調達もしやすくなります。
デメリットはないの?
事業の実績がない個人事業主でも低金利かつ原則無担保・無保証人で借り入れできる日本政策金融公庫ですが、申し込みの際に必要な書類が多く、計画書の作成などに時間がかかることや審査の結果次第ではだれでも融資が受けられるわけではないことがデメリットとして挙げられます。
とくに借入申込書や創業計画書、企業概要書など、ご自身で記入や作成が必要となる書類があるため、書類準備に時間がかかります。
また、融資の審査では根拠のある数字で事業計画が立てられているか、自己資金を準備しているか、信用情報に傷がないかなど、総合的に判断されますので、しっかりと準備して融資に臨む必要があります。
すべて自分自身で行うのもよいですが、認定支援機関などの専門家を経由して融資の申し込みをするのもひとつの方法です。書類作成の時間を事業に充てられたり、専門家が支援しているので事業計画の信頼が向上し、上記デメリットを緩和することが可能です。
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信用金庫で保証協会付融資を受ける
保証協会付融資とは民間の金融機関から融資を受ける際、信用保証協会が信用保証を行い、お金を借りる制度です。
信用保証協会があいだに入ることで、民間の金融機関側は貸し倒れが起きた場合には信用保証協会が代位弁済してくれるためリスクが減るため、実績の少ない個人事業主の方でも融資を受けられるチャンスがあります。
民間の金融機関のなかでも、まずは地域に根ざした「信用金庫」がおすすめです。信用金庫は地域の繁栄のために金融活動をスムーズに行うことを目的とした金融機関で、取引先は中小企業や個人事業主に限定されています。
各信用金庫によって金利が異なるため一概にはいえませんが、年利2%~5%前後で借り入れできるケースが多いです。日本政策金融公庫と比べて、保証協会付融資の場合、信用金庫と信用保証協会の審査がそれぞれあるため、審査に2か月~3か月程度かかる場合もあり融資実行までの期間が長い可能性が高いです。
助成金や補助金を利用する
助成金は一定の要件を満たすことで支給され、補助金は一定の要件を満たした上で審査に通ると支給されます。融資とは違い、原則返済の必要はありません。
ただし、助成金や補助金は給付されるべき対象となる事業や制度が実施された後に支払われます。すぐに資金調達できるわけではないので注意しましょう。
また助成金や補助金は申請期間が決まっているので、あらかじめスケジュールを把握し余裕を持って準備をしておくことが大切です。必要であれば、行政書士や税理士、社労士などに相談するとよいでしょう。
●個人事業主が活用できる助成金・補助金一例
- 雇用調整助成金
- トライアル雇用助成金
- キャリアアップ助成金
- 小規模事業者持続化補助金
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友人など金融機関以外から資金調達する
金融機関から融資を受けるには審査をクリアしなければなりません。審査基準のひとつが「自己資金」です。そのため、自己資金が準備できていない場合は融資に通る可能性は低くなります。
自己資金がない場合には家族や友人など金融機関以外から出資を受けて資金調達するのもひとつの方法です。家族や友人など親しい間柄であっても、後々金銭トラブルにならないよう契約書などを作成し、書面で記録を残しておくようにしましょう。
解約返戻金のある保険や定期預金を解約する
解約返戻金のある積立型の保険に加入している場合、その保険を解約することで手元のキャシュを増やせます。また、定期預金で積み立てをしていた場合、中途解約することで現金化できます。
ただし、定期預金は設定した満期前に出金できないのが原則的なルールです。プランによっては中途解約できないケースや解約手数料を取られるケースもありますので、事前に金融機関にご確認ください。
まとめ
個人事業主の方が利用できる資金調達のなかでも、まずは低金利・無担保・保証人なしで借り入れできる日本政策金融公庫からの融資がおすすめです。
その後、実績ができると信用金庫からの保証協会付融資も借りやすくなりますので、検討してみてください。
執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 村野 智範
(むらの とものり) /株式会社SoLabo
資金調達支援を専門に取り扱う株式会社SoLabo(ソラボ)にて2,400件以上の融資実績を基に経営者の資金調達をサポート。
トップコンサルタントとして毎月30件以上の資金調達支援を実施。これまでに400件以上の経営者をサポートして参りました。創業者からベテラン経営者まで、事業をどう続けていくのか、中長期を視野に入れたアドバイスをいたします。
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