これから起業しようとしている方にとって事業計画書の作成は避けて通れない問題です。しかし、創業者のほとんどは自分の仕事のプロフェッショナルではあっても、事業計画書作成のプロではありません。むしろ書類づくりはニガテという方が多いのではないでしょうか。
起業家支援のプラットフォーム・ドリームゲートでは、これまで多くの起業家の事業計画書作成をサポートしてきました。今回はその蓄積されたノウハウから、初心者向けに事業計画書作成の基本を解説していきます。項目にそってひとつずつ考えていけば、納得のいく事業計画書が作成できるでしょう。
★こんなかたにおすすめの記事です★
- 日本公庫の記入例を見たが、どのように書けばいいかわからない
- 事業計画書のテンプレートPDFを見たい
- 事業計画書の書き方を知りたい
- 目次 -
日本政策金融公庫の創業計画書記入例PDFの見方
初めて起業するみなさんがお世話になる可能性が高い金融機関が「日本政策金融公庫」です。「公庫」とも略され、実績がない創業者むけの融資制度やサポートメニューをとりそろえています。公庫の融資の特徴は、「創業計画書」という指定の様式で事業計画書を提出するところにあります。
公庫の公式サイトにはPDFの記入例がありますが、それを参考にしてどのように書くと審査に通りやすいのでしょうか?
魅力的な創業計画書にするにはいくつかのポイントがあるので、各項目のご紹介とともにポイントをかいつまんでご紹介します。
まずはここから。日本政策金融公庫の創業計画書記入例PDFはこちらからダウンロード
日本政策金融公庫の創業計画書記入例PDFは業種別に見本が用意されています。
まずはここからダウンロードしてみましょう。
洋風居酒屋 | PDFダウンロードはこちら |
美容業 | PDFダウンロードはこちら |
中古自動車販売業 | PDFダウンロードはこちら |
婦人服・子供服小売業 | PDFダウンロードはこちら |
ソフトウェア開発業 | PDFダウンロードはこちら |
内装工事業 | PDFダウンロードはこちら |
学習塾 | PDFダウンロードはこちら |
歯科診療所 | PDFダウンロードはこちら |
介護サービス | PDFダウンロードはこちら |
ではこれらのPDF見本に対して、あなたのオリジナルの事業計画書をつくりあげるにはどのように書けばいいのか、説明していきます。
創業の動機
創業する目的や動機を記入します。感情を込めすぎて伝わりづらい文章になっていないか注意してください。あくまでも「この人なら事業を成功させることができそうだ」と思わせることが目的です。同情を誘っても仕方がありません。
経営者の略歴など
勤務先の名称だけでなく、担当業務や役職まで記入します。なぜなら、起業するさいには表面的な職歴よりも実際に身につけたスキルの方が重要だからです。これからのビジネスにつながる経歴があればしっかり記入し、関係なさそうなものは軽く触れる程度でかまいません。
取扱商品・サービス
取扱商品・サービスの内容/セールスポイント/販売ターゲット・販売戦略/競合・市場など、企業を取り巻く状況という項目に分かれています。後述する事業計画書を作成するために、まず考えることで作業する内容があれば埋められるはず。簡潔な言葉でまとめましょう。
従業員
常勤役員の人数( 法人の方のみ )/従業員数(3ヵ月以上継続雇用者※)という項目があります。とくに迷う内容ではないので実態のまま記入しましょう。
取引先・取引関係など
販売先/仕入れ先/外注先/人件費の支払いという項目に分かれます。創業当初は資金繰りに余裕がないため、確実に返済できるか金融機関が審査するためにはここまで把握する必要があるのです。支払いサイクルまで交渉が済んでいれば好印象です。
借入の状況
創業者の個人的な借入を記入します。これまで個人事業主で事業資金を借りていた場合はそれも含めます。住宅ローン、マイカーローン、カードローンなども対象で、意図的にすくなく書いても金融機関には分かりますので正直に記入しましょう。
必要な資金と調達方法
表の左側が必要な資金、右側が調達方法です。左側はさらに設備資金と運転資金に分かれていて、設備資金は店舗・工場・機械・車両など、運転資金は商品仕入や諸経費が該当します。理論的には左右それぞれの合計が同じ金額になります。資金計画はすべてを融資に頼るのではなく、自己資金で足りない分を融資でまかなうという発想で計画を立てていきます。
事業の見通し(月平均)
創業〜1年、1年以降に分けて経営の見通しを立てます。項目は大まかに売上高、売上原価(仕入高)、経費(人件費、家賃、支払利息など)となっており、計画書としてはかなり大雑把なレベルのものになっています。創業当初は固定客もおらず売上はなかなか伸びません。無理に黒字になる計画を立てるより、実現可能な目標を立てて確実に達成するようにしていくべきです。
自由記述欄
ここまでに記入できなかったことを記入します。追加でアピールしたいことや意気込みでも良いですし、心配や懸念があることを書いてもかまいません。たった1枚の用紙のこれだけのスペースですから、何も書かずに無駄にすることは避けましょう。
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事業計画書のテンプレートをダウンロードする
公庫の創業計画書はテンプレートに従って項目を埋めると完成しますが、銀行などに提出する自由様式の事業計画書は自分で作成しないといけません。一から作成するのは本当に大変ですので、事業計画書もテンプレートを活用すると労力を削減できます。
起業支援のプロ・ドリームゲートでは、SWOT分析、競合比較、5か年損益計算書、資金繰り表など、事業の分析や事業計画書の本編作成に役立つフォーマットが添付されたオリジナルのテンプレートを無料で提供しています。業種別に「実際に資金調達に成功した」リアルな事業計画書も掲載されており、資金調達に不安のある方は必見の内容ですよ。
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事業計画書を作成するために、まず考えること
計画書を書き始める前に、自分の会社がどんな会社なのかを様々な側面から分析し、特徴を明らかにしておけば計画書づくりがスムーズに進められます。様々な分析方法がありますが、その中でも企業分析でよく用いられる方法をご紹介します。
自己分析
まずは、経営者自身の自己分析です。小さな企業にとって社長がどんな人かは非常に大切です。社長次第で会社の色がガラッと変わることもあるからです。自己分析をするのが初めてという方は、以下の要素を書き出してみてください。
- 経験・実績
- 環境(応援してくれる人。家族の理解・協力。子どもの教育、親の扶養、住宅。 個人資産とローン。事業に支出可能な自己資金。 )
全部書き出してみると、会社の土台となる条件がはっきりするはずです。起業する際にどこまでのリスクを取れるのか考える材料にもなります。また、強みや弱みを分析する「SWOT分析」も有効です。SWOTとは4つの言葉の頭文字で、強み、弱み、機会、脅威の4要素から会社が取るべき戦略を見つけ出す総合分析法です。名前は専門的ですが、やり方は簡単です。少しやってみるだけで格段に分析が深まりますので、ぜひ取り入れてみてください。
サービス分析
ここでの目的は、ビジネスの仕組みを言葉や図で表現し、仕組みの中に無理な部分がないか確認することです。主に、以下の要素について書き出してみます。最初はメモ書き程度で大丈夫です。
- 事業をする目的・ビジョン・目標(実現したいこと)
- 仕入計画・販売計画・価格
- 商品の技術・性能・デザイン・イメージ
- 事業・サービスの内容など
事業をする目的・ビジョン・目標(実現したいこと)
あなたがその事業をする目的は何でしょうか。また、事業を通して実現したいビジョンはあるでしょうか。ブレない会社にするためには、目的やビジョンをしっかりと定めておくことが大事です。判断に迷うことがあっても、最初に決めたビジョンに沿った選択肢を選ぶようにすれば自然と会社にも一貫性が出てきます。
仕入計画・販売計画・価格
モノを扱う業種であれば誰からどのようなルートで、単価はいくらで仕入れるのか。在庫はどの程度持つことができるのかなどを検討します。また、提供する商品やサービスをどんなルートや条件で販売するのか、価格設定は高めにするのか安めにするのかなど、仕入れと販売に関わる部分を具体的に検討してみます。モノとお金の流れを、矢印などを用いて図表に表してみると分かりやすいでしょう。
商品の技術・性能・デザイン・イメージ
商品の基本的な機能や性能を設計します。他社との差別化をはかった商品を作れると良いですが、そうでなくともすでにある商品と似たものを安く売るという戦略もありえますので、会社のビジョンやどんな企業イメージにしたいのかも含めて考えてみてください。
また、近年の消費者は商品のデザイン、イメージを重視するようになってきています。商品にもデザイン思考を取り入れられれば、より売れることが期待できます。
事業・サービスの内容など
先ほど考えた機能や性能に肉付けをします。例えば、商品を販売する際にどんなアフターサービスをつけるのか。具体的にどんなサービスを提供するのか、などということです。
市場分析
ターゲットとなる顧客を設定します。例えば「30代女性主婦」「50代ゴルフ好きな男性」のような形です。また、その人たちがあなたの会社に何を求めているかを考えてみましょう。需要がないものを販売するのは相当難易度が高くなるからです。もっと詳しく市場環境を分析するには「PEST分析」という手法が有効ですので、余裕のある方は挑戦してみてください。
他社分析
競合する企業を企業規模や業種からいくつかピックアップし、それぞれの強み・弱みをリストアップします。自社の強みを伸ばし、弱みはどのようにカバーするか、もしくは逆手に取って強みに転換するアイデアなどを検討しましょう。
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まとめ
事業計画書は最初から自力で作成するととても大変ですが、上手くテンプレートを活用すれば効率的に仕上げることが可能です。ネット上に公開されているテンプレートをうまく活用して、あなただけの事業計画書を仕上げてください。