マスクは経費?PCR検査は?どこまで経費になるのか税理士が回答

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 李 顕史

2020年は、コロナ対策関連の支出があった企業が多かったことかと思います。税理士である私のもとには、マスクは経費として認められるのか、消毒液の購入は経費なのか?という質問が寄せられます。そこで今回は、コロナ対策関連の支出が、どこまで経費に入るのかをまとめました。

ポイント
マスクや消毒液は仕事で直接使うわけではない一方で、経費として認められるものもある。

 

自費でPCR検査費用を支出した場合は経費になる?

業務上、PCR検査が必要と認められる場合は経費として計上できます。たとえば海外出張や取引先の工場を訪問する際に、どうしてもPCR検査を受けた証明書が必要な場合などが考えられます。また社員の安全のため、全員に受けさせる場合は福利厚生費に該当するでしょう。

ただ、あくまでも業務上で必要な場合に限ります。社員全員に受けさせる合理的な理由がない場合は、実質的に給与支給と同じだからという理由で、給与と判断される可能性もあります。

また恣意的に一部の人に受けさせるのは経費として認められない可能性が高いでしょう。たとえば役員のみPCR検査を受けさせる場合は役員報酬と考えられます。

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こども食堂へ食材の無償提供をしたら、経費になる?

自社製品や食品をこども食堂に提供した場合、コロナ収束までの期間であれば、経費にできます。またその配送費用も提供するために必要な人件費も経費として認められます。

経費にならないのは、たとえば得意先に対してのみ自社製品を無償提供するなど、コロナとは関係ない場合などがあるでしょう。

取引先がマスクを確保できないので、無償提供しました。この場合は経費になる?

マスクがないと取引先が仕事にならず、また取引先から製品の納品がないと自社にも業務遂行で著しい影響を及ぼすといった場合には、経費になります。

ただしマスクを転売するなどした場合には、経費にならず寄付金として取り扱われます。

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貸主が家賃を減額した場合の取り扱いを教えてください。

一般論として、貸主が契約上定められた額を受け取るべきであるため、家賃の減額は本来定められた契約額と減額された家賃との差額は寄付金として取り扱います。これは一部家賃の減額は、土地などを使用するという権利を一部無償で行ったので、借り主に対する利益供与と考えられているためです。

しかしコロナウイルスが原因で減額する場合は、取引条件の変更に該当するので、減額した分の差額については、寄附金として処理しなくても問題ありません。つまり減額した賃料収入をそのまま収益に計上すればよいのです。

コロナウイルスが原因により賃料を減額した場合には、契約書や覚書など書面できちんと残しておいたほうが良いでしょう。

役員報酬の減額は認められる?

一般的に役員報酬は、利益操作に使われることを防止するために、毎月定額で払うことが会社には求められています。

しかしコロナ禍が原因で会社の業績が著しく悪化した場合は、役員報酬を減額しても問題ありません。この場合は取締役会などを開催し、役員報酬を減額する旨の記録(議事録)を残しておきましょう。一方で経済混乱が収まったからといって、同一会計期間に役員報酬をもとに戻す、つまり増額は認められていません。これはさきほど書いたように恣意的な報酬額の操作を回避するためです。

マスクは経費になる?

花粉症対策としてマスクをする場合は認められないでしょう。しかし、業務上必要な場合は、経費として扱って構いません。たとえば社員全員に配ったら福利厚生費として計上して構いません。

なお、従業員が業務時間外や自宅にいるときのマスク、自腹でマスクを購入したものについて、個人の医療費控除になるのかという質問を受けることがあります。こちらは予防のための購入なので、医療費控除の対象とはなりません。医療費控除の対象となるには、医師等による診療や治療のために支払った費用や、治療や療養に必要な医薬品の購入費といった条件が必要だからです。

まとめ

法人からみたコロナ関連の経費について解説しました。個人事業主の場合もほぼ同じですが、少し違う点もあるので、ご注意ください。個人事業主の場合は、機会があれば別の機会に書きます。

 

執筆者プロフィール:
李 顕史(り けんじ) / 李総合会計事務所

大企業の監査の経験を基にした知識の豊富さと、実行支援まで行う実行力の高さがウリの李アドバイザー。多くの相談対応の経験と非常に接しやすい人柄で、様々な経営相談にご対応いただけます。

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