30秒で落とせ!効果的なエレベーターピッチの作り方とは?

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

自社商品やあなた自身の魅力を伝えるには、相手の心を動かすプレゼン力が必要です。30秒で相手を落とすことを目的としたプレゼンテクニックとして、「エレベーターピッチ」が注目されています。

顧客をひきつける自社アピールの仕方がわからない」「話を最後まで集中して聞いてもらえない」と悩み、エレベーターピッチの手法に興味を持つ方もいるのではないでしょうか。

エレベーターピッチが身につくと、物事をシンプルかつ魅力的に伝えられるようになります。取引先や顧客への商品やサービスのPRの場や、社内コミュニケーションにおいて役に立つでしょう。この記事ではエレベーターピッチの概要や作り方、身につけるメリット、場面ごとの例文などを解説します。

エレベーターピッチとは?

エレベーターピッチとは15〜30秒、文字にして250文字程度の短さで、自社ビジネスや自身のスキル・能力などを売り込むテクニックです。

発祥地は、IT企業の聖地サンフランシスコのシリコンバレーと言われています。「エレベーターに乗り合わせた投資家が降りる前にアピールし、自社ビジネスへの投資を引き出す」という意味でエレベーターの文言が使われました。

「たった30秒のスピーチ」と思われるかもしれませんが、プレゼンにおいては使える時間が短いほど精度が求められます。短時間のうちに的確に興味を引く内容や話す順番を考えるのは簡単ではありません。

エレベーターピッチの原稿を作る前に、以下の準備を進めておきます。

  • 商品または自己などのアピール対象の強み・弱みを分析する
  • 分析結果から重要な要点とそれ以外を区別する
  • 「何を伝えたいか」「相手は何を求めているか」「訴求ポイント」を明確にする
  • 原則として結論から述べる構成にする など

エレベーターピッチで活用できる「GTCメモ」

GTCメモとは、Goal・Target・Contactを事前に書き出したメモのことで、エレベーターピッチを作るうえでよく活用されています。

(1)Goal

「商品Aを売りたい」「B社とのつながりを持ちたい」などの、あなたがエレベーターピッチによって達成したい結論や目的のことです。

<例文>

システムや経営理念などを患者に伝えて当接骨院の魅力を知ってもらい、今後も継続して利用してもらいたい。

(2)Target

プレゼン相手が得たいものやニーズのことです。「品質がよい製品を購入したい」「低コストで済ませたい」などの、相手が持つ希望・要望が当てはまります。

<例文>

腕のよい先生に診てもらえるだけでなく、利便性や接客態度もよい接骨院に通いたい。

(3)Contact

自分が望んでいること(Goal)と、相手が望んでいること(Target)の一致点のことです。

<例文>

5年以上の実績と国家資格を持つ先生が施術を担当しており、施術内容や治療計画、料金などの気になることをわかりやすく説明してくれる。ネットで気軽に予約できるシステムも導入しているので待ち時間を気にしなくていいので、継続して通院できる

【無料で完成】事業計画書作成ツール
累計8万人が利用!質問に答えるだけで「事業計画書・数値計画書」が完成
⇒事業計画書作成ツールを無料で利用してみる

  • 日本政策金融公庫の創業計画書も作成でき、融資申請に利用できる。
  • 業種別にあなたの事業計画の安全率を判定
  • ブラウザに一時保存可能。すべて無料
⇒事業計画書作成ツールを無料で利用してみる

エレベーターピッチの3本軸と流れを押さえる

ドリームゲートではエレベーターピッチのテンプレートとして、以下に示した3本軸と流れを押さえることを推奨しています。

  1. 問題提起で共感を呼びテーマを伝える
  2. 解決策の掲示によって心をつかむ
  3. 相手にとってのメリットを伝える

問題提起で共感を呼びテーマを伝える

問題提起で相手の共感を呼び、メインテーマを伝えます。「つかみ(フック)」に当たる部分でここのテーマ設定を間違えると、聞き手が「自分には関係のない話だ」と判断し、興味・関心を失う可能性があります。

相手が困っていることや望んでいるものを事前にリサーチ・分析し、「このプレゼンのテーマはあなたが抱える問題を解決できる」と伝わるようにしましょう。相手に自分ゴト化してもらい、身近に感じてもらえるかがポイントです。

より相手の共感を呼ぶテクニックとしては次の方法があります。

  • 質問をする
  • 疑問を投げかける
  • テーマに関する具体的な事例や数値を挙げる
  • イラストやグラフなどの資料を活用して目でも見えやすくする など

<例文>
腰痛や肩こりなどの痛みを一時的にケアしても、またすぐに痛みが繰り返すことはありませんか?

解決策の掲示によって心をつかむ

問題提起で相手にテーマを掲示した後は、問題に対する解決策を示します。「自社であれば御社が抱える課題を解決できること」「自分は御社が求める人材であること」などを、具体例や根拠を交えて話しましょう。

解決策の掲示の例として、次の内容が考えられます。

  • 商品やサービスの具体的な能力や用途
  • 自分のスキル・実績・資格
  • 商品やサービスを利用した他のお客さまからの評判・口コミ
  • 権威ある正式な論文や調査結果と照らし合わせた情報
  • 実務経験に基づいた個人的なストーリー など

ただし、解決策を挙げすぎると冗長となるので、多くても2〜3つに絞ってください。

解決策の掲示は、エレベーターピッチのなかでもとくに重要な要素です。しっかり時間をかけて掘り下げることをおすすめします。

<例文>

深層部にアクセスできる施術や日常生活における癖や姿勢の改善などにより、長年の痛みからの解放が期待できます。相手にとってのメリットを伝える

掲示した解決策によって、相手がどのようなメリットを得られるのかを具体的に伝えます。例えば次のとおりです。

  • 競合他社より優れている部分
  • 自分しか持っていない独自スキルや経験
  • 具体的な売上効果や削減できるコストの金額 など

解決策やメリットを伝えた後は、行動喚起(クロージング)のフェーズに移ります。「電話番号〇〇でお待ちしております」「今後も継続してお話をさせていただいてもよろしいでしょうか」など、プレゼンの目的となる具体的な要件を伝えてください。

<例文>

3か月ほどのお時間をいただければ、5年以上の実績と国家資格を持つ当院の柔道整復師が痛みを取り除き、傷めにくい体作りへの根本改善を実施します。

エレベーターピッチ活用の3つのメリット

エレベーターピッチを活用することで、以下3つのメリットを得られます。

  • 表現力の向上
  • チャンス拡大
  • チーム内での意識の共有

表現力の向上

30秒以内に話をまとめるエレベーターピッチを作ることは、表現力の向上につながります。身につく表現力の例は次のとおりです。

  • 相手の状況や興味・関心に応じた言葉選び
  • 不要な言葉や曖昧な表現の削除
  • 伝えたい内容の整理力 など

表現力の向上はプレゼンの場面で活きる以外にも、社内コミュニケーションにおける齟齬の回避にもつながります。

チャンスの拡大

エレベーターピッチは数十秒〜数分程度の時間さえあれば、すぐさま相手にアピールや売り込みができます。また、短い時間でもあなた自身や商品の魅力を十分に伝えられます。

つまりエレベーターピッチを使えると、短時間の会合や立ち話の場面すら、ビジネスチャンス拡大の場として活用可能です。

実際にダイヤモンド販売チェーン店のオーナーのハーツバーグJr氏が、ホテル前にいたウォーレン・バフェット氏(※)に30秒のプレゼンを行い、1年後に自社事業をバフェット氏に売却した逸話も存在します。(※)ウォーレン・バフェット氏は米投資会社、バークシャー・ハザウェイのCEOで世界長者番付けの上位に名を連ねる投資家・経営者。

参照:日経新聞社

チーム内での意識共有

チーム内でエレベーターピッチが共有できれば、チームメンバーも「どう話せば伝わるのか」「重要な論点は何か」を意識するようになります。

そのため、プレゼンや商談などのビジネスシーンに加えて、チーム内でのコミュニケーションの円滑化が期待できます。

【無料で完成】事業計画書作成ツール
累計8万人が利用!質問に答えるだけで「事業計画書・数値計画書」が完成
⇒事業計画書作成ツールを無料で利用してみる

  • 日本政策金融公庫の創業計画書も作成でき、融資申請に利用できる。
  • 業種別にあなたの事業計画の安全率を判定
  • ブラウザに一時保存可能。すべて無料
⇒事業計画書作成ツールを無料で利用してみる

場面ごとに活用できるエレベーターピッチの例文

エレベーターピッチは業界・職種・シーンにかかわらず、さまざまなビジネスシーンで活用できます。以下5つのケースにおける、エレベーターピッチの例文を紹介します。

  1. ビジネス交流会
  2. 得意先での営業
  3. 開発プロジェクト
  4. 社内プレゼン
  5. 就職の面接

ビジネス交流会の例文

  1. 交流の機会をいただき大変光栄です。ITコンサルタント事業を営むC社の佐藤と申します。
  2. 「地方創生」を理念に掲げ、地域密着型の中小企業様が行うITツール導入やWeb広告事業などをお手伝いしてきました。
  3. ITを敬遠していた経営者様から、「おかげ様で隣の県からも集客ができ、個人的にもITを勉強したくなりました」といった喜びの声をいただくのが、大きなやりがいの1つです。
  4. 今回の交流会で日本中の経営者様・技術者様とお話できるのは、私個人としても貴重な体験です。
  5. 交流会をきっかけにご来場の皆様とも交流を深められればと思います。よろしくお願いいたします。

得意先での営業の例文

  1. 売上や在庫データなどを集計・管理できる、飲食店向けの新しいPOSレジBを開発しました。
  2. 旧モデルより細かな売上傾向の分析や、リアルタイムでのデータ集計・閲覧が可能です。
  3. 以前からお伺いしている「メニューや曜日ごとの売上管理を詳細に分析したい」との課題も、Bであれば解決できます。
  4. 現在リースいただいている旧モデルとの互換性もあるため、御社の基幹システムとの連携もスムーズに進められます
  5. 導入・メンテナンスサポートも料金プラン内で対応可能です。
  6. すでにご予約も相次いでおります。ぜひご検討ください。

開発プロジェクトの例文

  1. 開発部は、主力のチョコレート商品と並んで売上の柱となる、新商品Cの開発を提案します。
  2. 大衆向けのチョコレートのシェアは伸びてきたものの、高級路線を求めるお客さまを獲得できていません。
  3. マーケティング部署と共同でシミュレートした売上予測は10億円、加えて当社の認知度が低い40歳以上へのPRにもつながります。
  4. また高級路線のチョコレートの実績を応用し、レストランや居酒屋などへ提供する業務用チョコレートの開発もより進めやすくなります。
  5. より詳細なマーケティングデータや必要設備のコストなどをまとめた資料もご用意していますので、ぜひ一度ご覧ください。

社内プレゼンの例文

  1. 外部からのサイバー攻撃に備えるため、当社にも新しいセキュリティシステム導入が必要です。
  2. 日本企業はサイバー攻撃によって、総額約220億円の被害が出ていると警視庁が発表しています。
  3. 当社でもBECなどの悪質な電子メールが発見されましたが、巧みに送金を誘導する内容に私も危機感を覚えました。
  4. 当部門が導入を提案するIT資産ツールAであれば、外部からの不正アクセスや内部不正のチェック、ウイルス対策ソフトの更新状況などを一括管理できます。
  5. 見積もりの取得やデモ機による簡単なテスト運用なども実施済みです。いかがでしょうか。

就職の面接の例文

  1. ドリームゲートでシステムエンジニアをしております。鈴木と申します。
  2. ゲーム制作工程の最上流を担当するプロジェクトマネージャーのキャリアを目指したく今回応募いたしました。
  3. 10本以上のゲームプロジェクトを担当し、企画立案や要件定義だけでなくプロジェクトの全体統括を任された経験があります。
  4. 私がリーダーとして担当したプロジェクトは、クライアントから「質の良さだけでなく、メンバーの統率が取れていて仕事を進めやすい」と好評を頂戴しました。
  5. 御社ではこのスキルや経験を活かし、現場に寄り添ったマネジメントをお約束します。

エレベーターピッチを活用するために心がけるポイント

エレベーターピッチをうまく活用するには、テーマ設定や組み立て方以外にも意識すべき点が存在します。以下では心がけるべきポイントをまとめました。

  • 「演説」ではなく「会話」であることを忘れず、常に聞き手の相づちを促すコミュニケーションを意識する
  • プレゼン資料ではなく聞き手のほうを向いて身振り手振りを交えながら話す
  • 同じ内容の重複や聞き手が知っている情報を避ける
  • 30秒という時間にとらわれすぎず、焦らずプレゼンを行う
  • 問題提起・解決策・伝えるメリットの要素は、時間をかけて分析・抽出・整理を行う
  • 早口になりすぎず、ハキハキとゆっくり話す
  • 上司や同僚の前で練習したり、録音して改善点を探したりなど、とにかく訓練を欠かさない

まとめ

30秒以内でのアピール・売り込みを可能とするエレベーターピッチは、一瞬で過ぎ去るビジネスチャンスをつかむためのスキルとして非常に有用です。また、エレベーターピッチの意識をチームで共有することで、社内コミュニケーションの円滑化にもつながります。

エレベーターピッチを作るには、アピール対象の魅力を分析し、かつ伝えるべき要点を絞ることが大切です。250文字の中に必要な情報や表現を凝縮し、端的かつ相手の心に刺さる構成を考えましょう。

なかなか伝えるべき優先順位やプレゼンの軸が見えてこないとお悩みのときは、ドリームゲートに登録するアドバイザーが開催する起業・経営セミナーに参加してみましょう。売上をアップし安定収入を得るためのセミナーやプレゼン方法のセミナー、集客セミナー、ビジネス交流会などを開催しています。

執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局

ドリームゲートは経済産業省の後援を受けて2003年4月に発足した日本最大級の起業支援プラットフォームです。
運営:株式会社プロジェクトニッポン
Facebook | Twitter

 

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

無料で始める