国や自治体は、新しい事業に取り組む企業や個人事業主など(以下、事業者)に様々な支援策を講じていますが、ネットショップを開設する事業者も、国や自治体の補助金が使えることがあります。
補助金を申請するには条件をクリアしたり、たくさんの書類を用意したりしなければなりませんが、補助金は返済しなくてよいお金なので挑戦する価値は十分あります。
この記事では、ネットショップを開設する事業者が使える5つの補助金を紹介します。
- 目次 -
ネットショップの開設時に使える5つの補助金
ネットショップの開設を直接支援する補助金もありますが、ネットショップ開設にかかわる事業や取り組みや業務などを補助する制度もあります。
ネットショップを検討している事業者が知っておきたい補助金は、以下の5つです。
- IT導入補助金
- 事業再構築補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- 事業承継・引継ぎ補助金(いわゆるM&A補助金)
- 自治体独自の補助金
<5つの補助金の概要>(2022年5月現在の情報)
|
概要 |
補助額(上限額) |
補助率 |
使える経費 |
スケジュール |
---|---|---|---|---|---|
IT導入補助金 |
ITツールの導入を支援 |
30万~450万円など |
1/2 |
ITツール |
2022年3月31日受付開始~終了未定 |
事業再構築補助金 |
事業再構築を支援 |
100万~1.5億円 |
1/2~3/4 |
生産施設やシステムなど |
第6回公募期間2022年3月28日~6月30日、第7回・8回も予定 |
小規模事業者持続化補助金 |
販路開拓や業務効率化を支援 |
50万~200万円 |
2/3または3/4 |
機械装置、広報費、開発費など |
第8回の締切は2022年6月3日 第9・10・11回も予定 |
事業承継・引継ぎ補助金 |
再チャレンジのための廃業やM&Aを支援 |
150万、600万円 |
2/3 |
廃業費、謝金、旅費など |
締切2022年5月31日(専門家活用類型と廃業再チャレンジ型) 今年度はあと3回予定 |
自治体独自の補助金 |
自治体によって異なる |
IT導入補助金
IT導入補助金には通常枠とデジタル化基盤導入枠の2つの枠があり、申請者(事業者)はどちらかの枠を選んで申請することになります。
通常枠は、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する中小企業や小規模事業者が対象となり、その経費の一部が補助されます。
デジタル化基盤導入枠は、会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトを導入する中小企業や小規模事業者が対象となり、経費の一部が補助されます。
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、コロナ禍の長期化で売上の回復が期待しづらいなか、変化する経済社会に対応する中小企業などの事業再構築を支援します。
事業再構築には、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編があり、具体的には、新製品の製造、サービスの提供方法の変更、合併、会社分割などです。事業再構築補助金の最高額は1億5,000万円と高額ですが、そのかわり付加価値や最低賃金を増やすことを求められたり、グリーン成長に寄与する事業を行わなければならなかったりと、ハードルは若干高めです。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金の対象になるのは1)販路開拓のための取り組み、2)業務効率化の取り組み、3)生産性向上のための取り組みなので、かなり多くのビジネスや事業や業務が対象になるでしょう。
ネットショップの構築も補助の対象になります。
事業承継・引継ぎ補助金(いわゆるM&A補助金)
事業承継・引継ぎ補助金は、廃業・再チャレンジやM&Aを実施するなかで、新しい取り組みとしてネットショップに挑戦する場合などに対象となります。
事業承継・引継ぎ補助金には1)廃業・再チャレンジと2)専門家活用、3)経営革新型の3つのタイプがあります。
- 廃業・再チャレンジは、再チャレンジのために廃業する事業者を支援します。再チャレンジとは、新たな法人の設立や個人事業主での再出発、企業への就職、のいずれかです。
廃業・再チャレンジをするなかで廃業支援費や在庫廃棄費、解体費などの費用が発生した場合、その費用の一部を補助します。 - 専門家活用は、M&Aにおける買い手企業と売り手企業の双方を支援します。事業再編や事業統合にともなう謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料などが補助の対象になります。
- 経営革新型は、事業承継を機に経営革新に取り組む中小企業等を支援するものです。
自治体独自の補助金
自治体は国の補助金とは別に独自の制度を設けて事業者を支援しています。
例えば東京都中央区は、ネットショップ活用補助金を設けています。補助対象期間は2022年4月1日~2023年5月31日までです。
事業者が独自にネットショップを構築したり、モール型ネットショップに登録したりしたとき、補助率100%で上限6万円が補助されます。補助率100%なので、実際の経費の総額が6万円だった場合、全額この補助金でまかなうことができます。
他の自治体も似た制度を設けていることがあるので、ぜひ、事業所がある自治体の経済振興部署や商業振興部署に問い合わせてみてください。
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補助金申請3つの注意点
補助金を申請するとき次の3点に注意してください。
- 同じ経費を複数の補助金の申請に使うことはできない
- 補助金は原則後払い
- 審査があるので必ずもらえるわけではない
同じ経費を複数の補助金の申請に使うことはできない
ネットショップを開設したときの経費を、複数の補助金の申請に使うことはできません。
しかし、「複数の補助金に同時に申請することはできない」というわけではありません。
補助金の支援内容は補助金ごとに異なるので、例えば自社が2つの補助金の支援内容に合致すれば、2つの補助金に申請することができます。
ただし、補助金を受け取る際に必要な経費申告において、同じ経費を複数の補助金の申告に「使い回す」ことはできないので注意が必要です。
補助金は原則後払い
補助金は、補助対象となる事業(以下、補助事業)を実際に行なったときに受け取ることができるので、原則後払いになります。
補助金の審査を通過してもそれだけでお金が振り込まれるわけではありません。補助事業は、まずは自己資金や融資で得たお金で実施することになります。補助事業が終了してからそこに使った経費の一部が補助金として交付されます。
審査があるので必ずもらえるわけではない
補助金を運営している事務局は、申請者(事業者)の申請を受け付けたあと審査を行います。審査は、条件に合致していることを確認したうえで、取り組み内容や事業内容、緊急度などをチェックします。
そのため、補助金の要領に書いてある条件に自社が合致しているからといって、申請すれば必ず審査を通過するわけではありません。
そもそも補助金とは?助成金との違いは?
補助金とは、国や自治体が特定の事業者などに支出するお金で、主に経営改善に関するものが多く扱われています。事業者が特定の事業をするときに経済的な補助をすることで、その事業者のビジネスをサポートします。
金融機関からの融資は利子をつけて返済しなければなりませんが、補助金は返済の必要がありません。事業者が補助金を受け取ることができれば、その分だけ資金繰りが楽になります。また会計上は、補助金の額はそのまま利益を押し上げます。
補助金と助成金の大きな違い
ざっくりと分けると補助金は経済産業省の管轄、厚生労働省の管轄です。補助金が事業の推進のために活かされるお金である一方、助成金は雇用に関するものに活かされるお金です。
助成金は原則、条件に合致すれば受け取ることができますが、補助金は条件が厳しいものが多く、審査も行われます。必要書類をしっかりと揃えて申請し、審査を通過した業者のみ受け取ることができるのです。条件に合致しても審査で落とされることもあります。
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補助金の審査通過にはドリームゲートの専門家が頼りになる
ネットショップは小売業者にとって有益なだけでなく、BtoBからBtoCへの転換を検討している企業にもビジネスチャンスになるはずです。
補助金を受けることができれば開設コストが減り、早く収益化できます。
ドリームゲートには、企業や個人事業主の補助金の申請をサポートしたことがある専門家が数多く在籍しています。
また、ネットショップ事業についてアドバイスできる専門家もいます。
ドリームゲートの専門家は、御社のサポート役にもビジネスパートナーにもなるはずです。
執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局 月見里
ドリームゲートは経済産業省の後援を受けて2003年4月に発足した日本最大級の起業支援プラットフォームです。
運営:株式会社プロジェクトニッポン
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