起業して学習塾を始めようとする場合、その方法は主に2種類あります。1つはある程度のものがパッケージになった「フランチャイズ塾」です。そして、もう1つは自分がすべてを決める「個人塾」です。
「塾をやりたいんですが、フランチャイズと個人塾、どちらで起業するのが良いですか?」
最近、そのような質問を受けることが多くなってきました。
今回は塾をはじめる前に知っておきたいフランチャイズのメリット・デメリットを紹介します。また、個人塾との違い、私の考える良いフランチャイズの選び方も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
- 目次 -
フランチャイズ塾のメリットとは?
メリット①ブランド力で集客できる
フランチャイズで塾を開くメリットの1つが、本部である直営塾のブランド力を活用できることです。全国でテレビCMをしている有名塾であれば信用も高く、あなた自身に実績がなかったとしても塾としての実績をアピールすることができるため、ブランドだけで生徒を集めることも可能です。
逆にいくら安くても全国的な知名度がないフランチャイズではブランド力に欠けるため、看板で集めることができません。契約前に知り合いの生徒や保護者にその塾の名前を知っているか聞いてみることをお勧めします。
メリット②ツールやノウハウが一とおり揃っている
ある程度の規模であるフランチャイズ本部であれば、塾の経営や学習指導のノウハウを学べますし、物件探しや教室の内装、営業ツールにいたるまで、塾に必要なものは一とおりパッケージ化されています。
すべてのフランチャイズではありませんが、生徒募集の広告(チラシやWEB)もサポートされるため、すべてを自分で0から勉強したり、作成したりする必要はありません。
メリット③人材の確保さえできれば多店舗化もしやすい
これは私自身がフランチャイズの最大のメリットだと思っている点なのですが、フランチャイズ塾は多店舗化しやすいということです。
すでに2校舎目、3校舎目を創り出すノウハウはあるわけですから、人材の確保さえできれば、いくらでも教室を増やすことができ、売上の上限はありません。
そのようなわけで、学習塾の経営が初めてだという場合でも、さまざまなノウハウを学べ、多店舗化しやすく、安定した経営が期待できるのがフランチャイズのメリットといえるでしょう。
とはいえ、フランチャイズにはメリットばかりではなく、デメリットも存在します。
フランチャイズ塾のデメリットとは?
デメリット①費用が高すぎる
フランチャイズに加盟したときに発生する支払いはまず加盟金や物件取得費、内装費などの初期費用です。これは安いところで100万からで、高いところでは1000万を超えます。また、開校後は売上に応じたロイヤリティを毎月本部に支払う必要があります。
ロイヤリティに関してもフランチャイズ本部によってかなり差があります。定額のところもあれば、売上の10%~40%くらいのところもあります。ほとんどの場合、ロイヤリティは利益があまりないときでも支払いが発生するため、特に開業初期はロイヤリティの支払いだけで経営を圧迫することもあります。
初期費用が高すぎて資金がショートしてしまい、生徒が集まるまで持たなかったというケースはもよく聞きます。
最近は加盟金を取らない、または格安というフランチャイズもありますが、代わりにロイヤリティの割合を高くしているところもあるので、初期費用が安いからといって安易に契約すると後々後悔することになるのでしっかりと契約内容をチェックするようにしましょう。
デメリット②パッケージ化されている分、自由度は低い
フランチャイズはたしかに誰でもできるように塾経営におけるさまざまな部分がパッケージされています。しかし、その分、自由度も低いのが難点です。教材なども指定されていることがあり、生徒に合わせて自由に設定できないのがデメリットの1つです。
広告宣伝も定期的に行うよう義務化されていることがあります。ウェブサイトや広告の内容も決まったものしか出せないなど、指定や義務が多く、経費を抑えるのが難しい場合が多いです。
起業しているのに制約が多いというのは私の経験上、かなりストレスが溜まるので、その辺りのバランスは長く続けていく上では重要になります。基本的にフランチャイズは「自分の自由にやりたい!」という方には合わないと思います。
また、自由度が低いということは決まったパッケージしか表に出せず、周囲の塾と差別化しなくくなり、その結果、集客に苦しむということもあります。
デメリット③近くに同じFCの塾ができる可能性がある。
もちろん、ある程度のエリア保証をしているところがほとんどだと思いますが、駅1つ離れたところ、つまり都会でいえば徒歩圏内に同じ塾ができてしまうこともあります。
これは加盟店が多い人気のフランチャイズではよくあることです。人気がありすぎて狭い範囲に同じ看板のライバルが出来てしまうわけですが、加盟する側からすればとんでもない話ですよね。エリア保証があるかどうかもしっかり契約時にチェックするようにしましょう。
実際にフランチャイズに加盟した方に聞くと、全くサポートがなかったとか、縛りがきついといった感想もよく聞きます。
個人塾のメリット・デメリット
一方、学習塾をはじめる際には、フランチャイズだけではなく個人塾という形で開業する方法もあります。
個人塾の場合はフランチャイズとは違って物件選びや教材選び、塾に必要なすべてのツール類を自分で準備しなければいけません。また、広告宣伝も自分自身で行う必要があるため、ある程度の知識や経験がないとかなり苦戦するでしょう。
個人塾を開いて最初のチラシを入れても1件も問い合わせがなかったというのはよくある話なのです。半年から1年は生徒が来なくても大丈夫なように準備をしておきましょう。
ちなみに中小企業庁等の調査によると開業から5年経過したときの存続率がフランチャイズ加盟店が約70%なのに対し、個人商店は約25%だといわれています。これは塾以外のビジネスをすべて含めた数値ですが、それだけビジネスの継続が難しいということですね。
個人塾で起業する人の資金力の問題もあるのですが、もっと大きな問題として「集客力」がないということが挙げられます。個人塾を開こうとしている人はその多くが塾講師か学校の教師経験を持つ方で指導には自信がある方が多いです。
ところが、期待していたように生徒が集まらず、生活できなくなり、すぐに廃業してしまうわけですね。
フランチャイズと比べると継続するのが難しい個人塾ですが、開業にかかわる初期費用や経費を抑えられるというメリットもあります。
教材や広告宣伝の方法は選べるため節約しやすいほか、加盟金を支払う必要もありません。また、ロイヤリティの支払いもないので自宅で始めれば売上をすべて塾の収益にすることができます。
生徒を集めるという点に自信があれば、自由度が高い個人塾の方がお勧めです。
起業するなら個人塾かフランチャイズか
資金力があり、ある程度パッケージが必要な業界未経験者はフランチャイズがお勧めです。私の考える良いフランチャイズの条件は3つです。
- 周囲の塾と差別化ができる強みがある
- ノウハウやサポートが充実していて、多店舗化しやすい
- 看板だけで生徒が集まる知名度とエリア保証がある
以上の条件を備えていれば、利益を上げていくことができるフランチャイズである可能性が高いです。あとは金額面の折り合いがつくかどうかで決めましょう。
一方で教えることに自信があり、自分が教えることにこだわりたいのであれば、個人塾がお勧めです。問題は集客面だけですので、集客を専門にしたコンサルタントをつけて相談に載ってもらいながら開業すれば成功しやすくなります。
また、売上が安定するまでは塾講師のアルバイトと両立しながら、運営ノウハウや集客を勉強するとリスク対策にもなります。
自分はどちらが向いているか迷っているという方はぜひ個別相談にお申込みくださいね。
執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 戸高 一穂(個別指導LOGIQUE)
学習塾専門のコンサルティングを行なっている戸高アドバイザー。集客に悩む個人塾の経営者を中心に、ご自身の経験をもとにした成功メソッドを提供しています。 集客に悩むことなく、 教える楽しさに集中できる塾講師を多数輩出。
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