飲食店などのコロナ融資相談先がわかる最新情報を解説(4/27更新)

この記事はに専門家 によって監修されました。

新型コロナウイルスの勢いは一向に衰える気配を見せません。それに伴って飲食店の経営も悪化の一途をたどっています。売上や収益は激減しているのに、月々の家賃や仕入代金、そして税金の支払いは待ったなしにやってきます。

国も、東京都その他の自治体も、資金面をはじめ、様々な支援策を講じています。ただ、多くの飲食店経営者の方は、どのような支援策があり、またどこに相談してよいのかわからないようです。

私は経済産業省の認定支援機関、東京都の派遣専門家といった公的な立場にありますので、国や東京都などからいろいろな支援情報が入ってきます。しかし、10日に1度くらいのペースで追加支援策についての情報が入ってくるため、私でも理解・分析するのに時間がかかってしまいます。専門家の私ですらこのような状態ですから、一般の経営者の方にとって、日々変わるコロナ関連支援策について把握し、効果的に利用することには大きな困難を伴うことでしょう。

そこで今回は、数ある支援策の中で、公的融資といった当面の資金調達を中心にできるだけ分かりやすく解説してみたいと思います。

コロナ関連の当面の資金調達はどこにする?

コロナ関連の当面の資金繰りを支援するものとしては、政府系の金融機関や信用保証協会を利用した民間の信用保証付きの融資があります。

日本政策金融公庫による融資/一般

政府系金融機関である日本政策金融公庫による融資支援策については、大きく3段階に分けて実施しています。

①セーフティーネット貸付 従来からあるものです。金利引き下げなしの基準金利によるものです。ただし、売上高減少等の対象要件はありません。
②新型コロナウイルス感染症特別貸付 新型コロナウイルス対策マル経融資 0.9%の金利引き下げ、実質無利子融資、売上高減少等の対象要件(5%以上の減少)。
危機対応融資 個人事業主(事業性のあるフリーランスを含み、小規模に限る)については柔軟に対応。
③特別利子補給制度 実質無利子融資、特別貸付を利用した事業者を対象に利子補給するもの。対象要件としては、個人事業主は対象外、小規模法人は売上高15%減、中小企業は売上高20%減。

ここで最近よく目にするものに、これら政府系金融機関の無利子、無担保融資というものがあります。これは②の新型コロナウイルス感染症特別貸付、新型コロナウイルス対策マル経融資、危機対応融資等に、③の特別利子補給制度を併用することで、実質的な無利子化を実現するというものです。

簡単にいうと、金利を0.9%引き下げた上で一旦支払いを行います。その後、特別利子補給制度を利用し、支払った利息を取り戻すといったイメージです。

また、セーフティーネット貸付は、今回のコロナ関連の支援以前からあるものです。このセーフティーネット貸付を含め、新型コロナウイルス感染症特別貸付、新型コロナウイルス対策マル経融資(窓口は、各地の商工会、商工会議所など)は、日本政策金融公庫(沖縄は沖縄振興開発金融公庫)が実施し、危機対応融資は商工組合中央金庫が実施するものです。

日本政策金融公庫による融資/生活衛生関係

日本政策金融公庫には、一般的な貸付、融資以外にも生活衛生改善貸付というものがありますが、生活衛生関係の融資にも、「生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付」といったコロナ対策の貸付制度があります。一般的な貸付、融資と同じく金利の引き下げや実質無利子、無担保融資を行うものです。

生活衛生協同組合などの経営指導を受けている、生活衛生関係の事業 (飲食店営業、理容業、美容業、旅館業、クリーニング業等)を営む小規模事業者の方が、経営改善に必要な資金を調達する場合に利用できます。

衛生環境激変対策特別貸付

衛生環境激変対策特別貸付とは、新型コロナウイルス感染症の発生により、一時的な業況悪化から資金繰りに支障をきたしている旅館業、飲食店営業および喫茶店営業を営む方で、一定の要件に該当する場合に利用できるものです。こちらも日本政策金融公庫が実施しています。

民間金融機関による信用保証付融資

銀行や信用金庫のような民間の金融機関による信用保証付融資については、信用保証協会による信用保証制度と都道府県のような自治体による制度融資の双方から、事業者の資金繰りを支援するというものです。

今回のコロナ関連の信用保証付融資についても、日本政策金融公庫と同様に、3段階での実施となっています。

①一般保証枠 セーフティーネット以外の従来の保証で、最大2.8億円までの保証枠です。
②セーフティーネット保証 経営の安定に支障をきたしている中小企業者を①の一般保証枠とは別枠での保証とする資金繰り支援のための制度です。セーフティーネット保証4号とセーフティーネット保証5号があります。
③危機関連保証 全国規模での中小企業や小規模事業者の資金繰りがひっ迫していることにかんがみ、全国、全業種の事業者を対象とした保証制度です。別枠の別枠といった位置付けになっています。

②のセーフティーネット保証4号は、幅広い業種で新型コロナウイルスの影響が生じている全都道府県について、①の一般枠とは別枠で、最大2.8億円保証するものです。売上高の前年同期比約20%以上減少した場合で、借り入れ債務の100%を保証するものです。保証協会が100%保証することから、銀行などの民間金融機関でも積極的に対応してくれるようです。

セーフティーネット保証5号は、特に重大な影響が生じている業種(現在738業種)について、①の一般枠とは別枠で、最大2.8億円保証するものです。売上高が前年同期比約5%以上減少した場合で、借り入れ債務の80%を保証するものです。民間の金融機関と保証協会との「責任共有制度」となっています。

危機関連保証は、全国の中小企業などの資金繰りがひっ迫していることを踏まえて、全国、全業種を対象に保証するものです。売上高が前年同期比約15%減少する中小企業に対して、別枠の別枠として最大2.8億円の保証となります。

これらの信用保証付融資を利用する場合には、まず、取引のある金融機関や最寄りの信用保証協会に相談します。その場合、本店や主たる事業所の所在地の市区町村に認定申請し、認定申請書を取得したあと保証付融資の申し込みをします。

なお、信用保証付融資には、令和2年度補正予算の成立を前提として、保証料・利子減免できる制度が成立する予定です。これは、都道府県などの制度融資を活用したもので、実質無利子・無担保・据置最大5年・保証料減免となるものです。

コロナ関連の資金調達についての相談先は?

コロナ関連の資金調達についての総合的な相談先としては次のようなものがあります。

中小企業金融・給付金相談窓口 0570ー783183
金融庁相談ダイヤル 0120−156811(フリーダイヤル)

個別支援策についての連絡先

日本政策金融公庫事業資金相談ダイヤル 0120−154−505(フリーダイヤル)
沖縄公庫融資第二部中小企業融資第一班 098−941−1785
商工組合中央金庫相談窓口 0120−542−711(フリーダイヤル)
最寄りの信用保証協会
取引先金融機関
最寄りの商工会・商工会議所

こうした相談先・問い合わせ先は、一般的な融資制度や手続きの流れ、必要な添付書類といったことは教えてくれますが、個別の融資申請に不安な場合は、ドリームゲートアドバイザーなど、融資に詳しいコンサルタントに依頼したほうがよいでしょう。

もちろん、私も経済産業省の認定支援機関、東京都の派遣専門家という公的な支援機関でもありますので、公的融資や補助金・助成金の申請、あるいは事業計画書の作成についての相談をいつでも受け付けています。


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まとめ

コロナ関連の支援策については、様々なものがあります。日々発信されている国や自治体の支援情報を合わせたら本が一冊できてしまうほどです。一つひとつ見ていては時間もかかりますし、自分に必要でないものも少なくありません。

そこで、ここでは飲食店経営者の方々のための、当面の資金繰り支援制度と相談先について簡単にまとめてみました。さらに詳しい内容を知りたい場合、経済産業省や厚生労働省など国のホームページ、あるいは東京都その他自治体のホームページで確認してください。

 

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 萩原洋(有限会社銀河企画 特定行政書士)

外食FC立ち上げへの参画や自らも複数店舗の経営を行った後に独立。
フードビジネスコンサルタントとして20年のキャリアをもつ萩原アドバイザー。
飲食店等を長年経営し引退を考える経営者が、事業を他者に譲り渡す「事業承継M&A」に複数携わるなど、ゼロからの出店ではなく立地や顧客を引き継ぎながら経営を始めるという分野のご経験を豊富にお持ちのアドバイザーです。

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ドリームゲートアドバイザー萩原洋

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