【コロナ緊急事態宣言】休業補償はどうなる?経営者が気をつけるべきことは?※4/11追記

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

新型コロナウイルスの感染拡大で、安倍首相が4/7に緊急事態宣言の会見を行いました。

期間はゴールデンウィーク明けの5/6までと、1ヶ月にもわたります。それを受け、さまざまな商業施設などが休業宣言をし、自粛要請を受け、私たちの経済活動はこれまでよりさらに大きな打撃を受けることとなります。

そこで今回はこのような状況下で企業がとるべき対策について、厚生労働省のQ&Aにもとづいて、わかりやすく解説します。

もっとも気になる「休業補償」。欠勤中の従業員の賃金はどうする?

休業しなければならなくなってしまった事業主にとってもっとも気になるのは休業補償でしょう。欠勤となった従業員の賃金について、どうしなければいけないのでしょうか。

「新型コロナウイルスに関連して労働者を休業させる場合、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。」

厚労省HPには次のように書かれています。

労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされています。

つまり、会社都合の休業にかんしては賃金の6割以上の手当てを労働者に支払う必要があります。ただし、今回の事態は「会社都合」と言えるのでしょうか。ここもひとつの論点です。厚労省HPには次のように続きます。

※不可抗力による休業の場合は、使用者の責に帰すべき事由に当たらず、使用者に休業手当の支払義務はありません。

つまり企業にとっても不可抗力の事態で休業は止むを得ないと考えた場合、労働基準法でいう第26条の休業手当の支払い義務はなくなるわけです。

 

  • 「会社都合」の休業→休業手当の支払い義務がある
  • 「不可抗力の事態」で休業→休業手当の支払い義務はない

現時点では厚労省として今回の緊急事態宣言が「不可抗力の事態」であるというようなことを定義してはいませんが、平成23年に発生した東日本大震災のさいには厚労省は「不可抗力」について次の通り定めていました。

(1)その原因が事業の外部より発生した事故であること、(2)事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であることの2つの要件を満たすものでなければならないと解されています。

今回の緊急事態宣言における状況についても、上記の「不可抗力」に該当すると考えることもできます。

しかしながらここでしっかりと考えておきたいのは、労働者の心情です。

3月には東京ディズニーランドではたらく出演者などの非正規雇用の従業員が加入する労働組合「なのはなユニオン」が、「労働基準法の最低補償額である6割の賃金ではなく10割を補償する」ことを求める要請書を提出しました。

ふだんの6割の給料でも生活が立ち行かなくなる労働者がいる中、「不可抗力」に相当するからと一切休業補償を支払わない、とした場合に、コロナ騒動が過ぎ去ったあとに労働者と健全な関係を維持していけるかどうか、しっかりと考えておく必要があります。

事業主がひとりで判断するのはむずかしい状況ですので、弁護士などに相談することをおすすめします。

休業手当を支払う事業主が使える「雇用調整助成金」とは?(※4/11追記)

雇用調整助成金とは、次のようなものです。

景気の後退等、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされ、雇用調整を行わざるを得ない事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向(以下、「休業等」といいます。)を行い、労働者の雇用を維持した場合に、休業手当、賃金等の一部を助成するものです。

今回のようなコロナ騒動の状況下で事業の休止や縮小などを余儀なくされた事業主が、それでも従業員の雇用を維持させるために休業手当を支払った場合にその費用を助成するという制度です。

この制度は従来よりありましたが、このコロナの影響で影響を受ける事業主を支援するために特例措置をおこない、対象を広げました。

ポイントは次の点です。

  • 雇用保険被保険者ではない労働者の休業も助成金の対象に含める
  • 助成率は中小企業で9/10、大企業で3/4にひろげる
  • 計画届の事後提出を認める(~6/30まで)
  • 全ての業種の事業主を対象とする

リーマンショック時よりもかなり対象が広げられたことがわかります。

しかし助成額の上限は8,330円/1人あたりとなっております。※教育訓練が必要な被保険者の方に、教育訓練(自宅でインターネット等を用いた教育訓練含む)を実施した場合、中小企業で2,400円、大企業で1,800円の加算があります。

また4/10の発表によると、雇用調整助成金の申請書類を簡素化し、事業主の申請手続きの負担軽減と支給事務の迅速化を図るとのことです。

  • 記載事項を約5割削減73事項→38事項に削減(▲35事項)
  • 記載事項の大幅な簡略化
  • 添付書類の削減
  • 添付書類は既存書類で可に
  • 計画届は事後提出可能(~6月30日まで)

ドリームゲートの専門家にも雇用調整助成金の申請について相談をしていただくことができますので、ご利用ください。

子どもの休校・休園で休まなくてはいけなくなった従業員への対応は?

今回の緊急事態宣言を受けて、対象地域の各自治体は保護者への登園・登校の自粛要請をしたり、なかには保育園や学童保育室の原則休業などを発表している自治体もあります。

このようなさなかで、子どもの保育のために仕事を休まなければいけなくなった従業員に対して、年次有給休暇とは別に有給の休暇を取得させた場合に、助成金を受けることができます。

臨時休業した小学校や特別支援学校、幼稚園、保育所、認定こども園などに通う子どもを世話するために、2/27~3/31の間に従業員(正規・非正規を問わず)に有給の休暇(法定の年次有給休暇を除く)を取得させた会社に対し、休暇中に支払った賃金全額(1日8,330円が上限)を助成します。

また、今後、対象となる休暇取得の期限を延長し、令和2年4月1日から6月30日までの間に取得した休暇についても支援を行う予定です。

金額は休暇中に支払った賃金額の100%(上限8,330円/日)で、こちらも雇用保険加入のありなしに関わらず、助成の対象となります。

ただし注意点としては「労働者の1日の賃金が8,330円を超える場合はその分の賃金は雇用事業主の負担となりますが、その分は支給しなければこの要件には当てはまらない」という点です。

この助成金についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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まとめ

リーマンショックを超える経済危機、100年に1度とも言えるパンデミックにさいして
私たち事業主の姿勢が問われる状況です。
事業がなければ従業員を雇えませんが、従業員がいなくては事業を維持できません。
コロナ騒動を抜け出した後、事業を回復させるためにもできる限りの従業員へのケアを考えましょう。

参照:厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)令和2年4月6日時点版」

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