私は東京・池袋でV-Spiritsグループの資金調達担当として活動しているドリームゲートアドバイザーの小峰精公です。これから創業融資を考えている方や、すでに開業していて資金繰りに困っている経営者および個人事業主を対象にコンサルタントとして支援しています。
中小零細企業にとって、資金調達は事業の行方を左右する大事な局面です。
私自身は朝日信用金庫で10年間、事業融資を中心に営業担当をしていました。10年間で累計300社を担当し、1,000件を超える融資に携わってきました。
2020年3月に開始されたコロナ融資から約3年が経過しようとしています。返済が始まっている方、これから始まる方もいるかと思いますが、長引くコロナ禍に加え昨今の経済状況から返済が難しい状況も予想されます。今回の記事では、そのような時にどのようにすれば良いのか?を中心に、「おすすめの方法」と「やってはいけないNG行動」についてお伝えしていきます。
- 目次 -
コロナ融資とは
コロナ融資制度は、新型コロナウイルス感染拡大により、事業活動に影響を受けるまたは、その恐れがある中小企業を支援するために始まりました。国をあげての政策で、民間金融機関及び日本政策金融公庫が主導となり中小企業に対して融資を行いました。通常の融資枠とは別枠で売上減少要件やセーフティーネット保証取得など要件を満たしている企業についてはコロナ融資制度を利用することができました。
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コロナ融資の実績は34.5兆円にもおよぶ
2022年9月末時点で日本政策金融公庫のコロナ特別貸付等の融資実績は16.5兆円となっています。また、民間ゼロゼロ融資の保証残高は2022年9月末時点でおよそ18兆円です。コロナ融資制度としての累計は約34.5兆円の実績になります。
コロナ融資返済状況
2021年3月までに日本政策金融公庫(国民生活事業)よりコロナ融資を利用した企業のその後をみても、2022年9月末時点で6割近くが元金返済中です。2021年3月末までにコロナ融資を利用した約70万件のうち、元金返済中約43万件・据置期間中約11万件・追加融資約9.6万件・その他(完済等)約3.3万件・条件変更約3.2万件とのデータが出ています。民間ゼロゼロ融資の返済状況においても、2022年9月末時点で6割近くが返済中です。
*上記融資残高と返済状況は下記より引用
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/shingikai/kinyu/008/02.pdf
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返済に困ったときに「できること」と「やってはいけないNG行動」
では、返済に困ったときにはどのようにすれば良いのでしょうか。この時に一番やってはいけないことは自分自身で勝手に判断をしてしまうことです。最悪の場合は金融機関との取引において取り返しのつかない事態にもなりかねませんので細心の注意が必要です。コロナ融資の返済に困ってしまって自分では解決できない場合には金融機関や専門家に相談しましょう。
コロナ融資の返済が難しくなったときに取るべき行動として、オススメできるものと、苦しくても選択しない方がよいことがあります。これからそれぞれについて説明をしていきます。
おすすめの方法
民間金融機関及び日本政策金融公庫では既存のコロナ融資を借換できる制度があります。例えば東京都の企業であれば、民間金融機関からコロナ融資を受けた場合、東京都制度「新型コロナウイルス感染症・ウクライナ情勢・円安等対応緊急融資」(特別借換(新型コロナウイルス感染症対応緊急融資等))や民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度「コロナ借換保証」(2023年1月10日から開始)などを利用し、再度最大5年間の据置期間や返済期間を長期に設定することが可能です。
要件が当てはまれば積極的に利用すべき制度内容となっています。(有利子制度となるため、借換によりこれまでの利子補給は終了します)
日本政策金融公庫でも同様に要件が当てはまれば既存融資を借換することができます。ただし、令和4年9月30日をもって当初3年間の利子補給(実質無利子化)は取扱いが終了となっています。借換によりこれまでの利子補給は終了します。また、日本政策金融公庫コロナ融資制度は2023年3月31日までの期日となっていますのでご注意ください。
やってはいけない3つのNG行動
コロナ融資では、借入内容の見直し(条件変更)を行うことはオススメしません。条件変更を行うことで追加融資を受けることが非常に難しくなります。できる限り借換制度を活用して再度据置期間を利用したり返済期間を長期にするなどの対応をしましょう。どうしても借換制度に要件が該当しなかった場合には金融機関に相談し、別の方法を模索するか条件変更の手続きを行いましょう。
また、返済を延滞することも避けなければなりません。延滞をすることは金融機関が一番嫌います。万が一、月を越える延滞を起こしてしまった場合は借換融資審査以前の問題で取り上げさえもしてもらえない可能性がありますので相当の注意が必要です。
他にも、返済を優先して税金等の支払いを行わないなどの方法も避けましょう。新型コロナウイルスの影響により税金納付が困難な場合の猶予制度もありますが、金融機関や信用保証協会は税金支払状況についてはシビアに見ます。新型コロナウイルスに係る納税猶予制度を利用している場合についても、今後の納付計画の提出を求められたりするなど厳格な対応をされます。
返済と納税はどちらも大事であり、どちらも優先事項が高いことからも早期に資金繰りの状況を把握することが必要です。
民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度(コロナ借換保証)開始
2023年1月10日からコロナ借換保証制度が開始されます。背景としては、今後民間ゼロゼロ融資の返済開始時期は2023年7月~2024年に集中する見込みとなっており、こうした状況を踏まえ、借換に加え他の保証付融資からの借換や、事業再構築等の前向き投資に必要な新たな資金需要にも対応する保証制度となっています。制度利用するためには一定の要件を満たした中小企業者が、金融機関との対話を通じて「経営行動計画書」を作成したうえで、金融機関による継続的な伴走支援を受けることを条件に、借入時の信用保証料を大幅に引き下げることができます。
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sinyouhosyou/dl/karikae_gaiyo.pdf
【制度概要】
- 保証限度額 : 1億円(100%保証の融資は100%保証で借換可能)
- 保証機関等 : 10年以内(据置期間5年以内)
- 保証料率 : 0.2%等(補助前は0.85%等)
- 売上高または利益率の減少要件(5%以上)、もしくはセーフティーネット4号または5号の認定取得が要件。また、金融機関による伴走支援と経営行動計画書の作成が必要です。
現役銀行融資担当者の声
今回はコロナ融資における返済が難しくなった場合の対処法について紹介をしました。本コラムを執筆するにあたり、現役銀行融資担当者5人にヒアリングを行いました。コロナ融資については、従来の条件変更と違い借換制度が存在するので、返済負担によって資金繰りが厳しくなることが予想される場合には早期申請が必要とのことです。
さいごに、借換制度を活用してもいずれは元金返済が始まります。一番の処方箋は本業の売上を回復させていくことだと思います。まだまだ不透明な状況ですが、金融機関や専門家と連携し自分の会社を守るためにも、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
V-Spiritsグループでは、税理士法人を母体とした起業家支援の各種専門家が在籍しています。融資相談はもちろんのこと、資金繰り・補助金・税務相談等の相談も承っております。
初回面談無料ですので、ぜひお気軽にお問合せください。
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執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 小峰 精公
累計15億円を融資してきた、元信金マン。起業コンサルティンググループV-Spirits(代表 中野裕哲)で資金調達コンサルティングを担当している小峰アドバイザー。明るく朗らかなお人柄と野球一筋で培ったエネルギッシュな対応力が魅力です。
この著者の記事を見る
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