経営をされている方の中には、「資金繰りや資金調達のことで専門家に相談したい」とお考えになるケースも多いと思いますが、このようなときに役立つのが資金調達コンサルタントの存在です。
コンサルタントは、資金繰りや経営に関するアイデアで中小企業の悩みをサポートしてくれますが、十分な実力のある方を選ばないと経営の方向を間違ってしてしまう可能性もあります。
また、中には法外な料金を請求するコンサルなどもいることから、その見極めには十分な注意が必要です。この記事では、本当に役に立つコンサルを選ぶためのポイントや、その有効な活用方法について解説いたします。
- 目次 -
どんなときに資金調達のコンサルティングを受けたらよいか?
どんな時に資金調達のコンサルを受けたらよいのかは、その企業の考え方や財務状況などにより異なりますが、いずれの場合にも共通していえるのが「資金繰りに疑問や不安を感じたら、できるだけ早く相談する」ということです。
どんなに優れたコンサルであっても、経営の再起が難しいまたは、対策をするだけの十分な時間がないといった状況では、打てる手はかなり限られてしまいます。
具体的には「決算の内容が落ち込み始めた」、「数か月後にキャッシュの不足が見込まれる」、「金融機関から経営改善を求められている」などのときは、コンサルを利用するのがよいでしょう。
また、目先の資金の問題だけでなく、これとともに今後の事業の進め方や方針についても、コンサルの意見を取り入れると早い段階で正しい判断をしやすくなります。
コンサルタントに依頼すべきケース別のタイミング
コンサルタントに依頼したほうがよいタイミングとしては、以下のようなものが考えられますが、いずれについても、ある程度余裕のあるタイミングでの相談が望ましいといえます。
創業時
創業時には、これまでに経験したことがない作業や手続きをすることが多いため、コンサルタントを活用するにはふさわしいタイミングといえます。とくに 融資などの資金調達については、専門家に依頼することにより最適な金融機関や制度の紹介を受けられるだけでなく、事業計画に関するサポートなどにより希望の融資額を受けやすくなります。
設備資金
設備を購入するときには多額の資金が必要となりやすく、またその設備を導入したことによる効果の検証や運転計画などについても考える必要があります。しかし、このような検証や資金の調達には専門的な知識が必要となるため、コンサルタントの活用が有効といえます。
新規事業のため
新たに事業を始めるときには、計画の妥当性や資金の調達・回収方法、それらのスキームづくりといった多くの作業が必要となります。これらすべてに精通している方は少ないですが、 それぞれのテーマにあった専門家を選んでチームとして活用すれば、全体的に統一された運用をすることが可能となります。
事業拡大のため
事業の拡大時には、運転資金と設備資金の両方が必要となりやすいため、これらの手当てについて専門家のアドバイスを仰ぐことが重要といえます。また、 事業拡大時には強気の計画や過大な設備投資となりやすいため、これらの点についてチェックを受ける意味でもコンサルの活用はおすすめといえます。
資金繰り確保、キャッシュフローを安定させるため
資金繰りの確保や手持ちのキャッシュフローを安定させるためには、金融機関やベンチャー企業などから資金調達をする必要がありますが、その際には現実的でかつ妥当な事業計画の作成が必要となります。 このような事業計画の作成は、普通の方には難しいことが多いですが、専門のコンサルに依頼すれば成功率の高い計画の作成をサポートしてもらうことができます。
経営不振、赤字のため など
経営が不振、赤字が続いているなどといった場合には、早急に事業再生手続きを行う必要があります。しかし事業再生手続は、限られた時間の中で行う必要があり、また、税務や法務、金融機関との交渉などといった複数の高度な作業が必要となるため、サポートを受ける必要が高いといえます。
絶対に資金調達のコンサルティングを受けた方がいいケース
資金調達のコンサルを利用するケースの中でも、とくに以下のようなものについては、できるだけ早い段階でアドバイスを受けるべきといえます。
赤字決算や、黒字でも利益が少ない
「決算の内容が赤字である」、「黒字だが予想以上に利益が少ない」という場合には、売上げ、原価、販管費、支払っている元本や利息のいずれかに問題があるといえます。 この問題を解決するためには、これらの要因を分析してどこに原因があるかを突き止めなければなりませんが、そのためには専門的な財務分析や改善のスキルが必要となるため、コンサルタントの知見や経験が役立ちます。
返済能力に対する債務が多すぎる、債務超過している
利益に対して返済額が多すぎる場合や、債務超過状態となっている場合には、早急に効果的な対策を行う必要があります。しかし、債務の削減や債務超過の解消には、金融機関の協力も必要となるため、銀行対応に強いコンサルタントにサポートしてもらうことをおすすめします。
税金や社会保険などの滞納履歴がある場合
税金や社会保険などについて滞納の履歴がある場合には、融資を受けることができません。また、これらを放置しておくと、差し押さえなどが行われてしまいます。そのため、これらの解消やその後の対策については、専門家のサポートが必要といえます。
返済の延滞などで信用情報機関の信用情報に事故歴が記録されている
返済の延滞などで信用情報機関の信用情報に事故歴が記録されている場合には、資金調達やクレジットカードの作成ができなくなってしまいます。これらの解消には、まずは信用情報の取り寄せやその分析が必要となるため、その後の対策も含めて対応できるコンサルタントに依頼した方がよいでしょう。
すでにファクタリングなどを利用しており、多くの資金調達履歴がある
将来の売掛金を担保としたファクタリングは、資金の先取りとなるため、一歩かじ取りを間違えると危険な状態を招きます。また、高い金利が経営を圧迫する要因ともなります。そのため、すでに多額のファクタリングの利用をしている場合には、正常な銀行融資などへの転換をコンサルタントの指導の下ですすめていく必要があります。
以上のようなケースについては、いずれも早急な対応が必要となりますが、専門的な知識や経験が必要となるため、コンサルタントのサポートのもとで取り組むことをおすすめします。
累計8万人が利用!質問に答えるだけで「事業計画書・数値計画書」が完成
⇒事業計画書作成ツールを無料で利用してみる
- 日本政策金融公庫の創業計画書も作成でき、融資申請に利用できる。
- 業種別にあなたの事業計画の安全率を判定
- ブラウザに一時保存可能。すべて無料!
なぜコンサルティングを活用した方が良いの?具体的なメリットは?
ここでは、コンサルティングを活用するメリットについて、具体的なケースにもとづいて解説します。
1.資金調達先と自社の仲介をしてもらえる
コンサルタントは職業柄、広い人脈や金融機関との取引があるため、有利な資金調達先を紹介してもらえたり、自社の業務の仲介をしてもらうことが期待できます。 また、自分で行うよりも手続きがスムーズとなり、時間の節約にもなります。
2.資金調達に成功する可能性が高くなる
資金調達の場面では、事業計画書の作成や金融機関への説明が不可欠となりますが、それには高い専門性や論理的な考えが求められます。しかし、コンサルティングを利用すればこれらをプロにお願いできるため、本人の負担が軽くなるだけでなく、資金調達の確率も高くなりやすくなります。
3.資金調達先の選択肢が増える
通常、コンサルタントは一ケ所だけでなく、複数の調達先を確保しているため、資金調達の選択肢が増えるだけでなく、事案にあった最適なものを提案してもらうことが可能となります。
コンサルタントの主な資金調達先
コンサルタントの資金調達先としては、以下のようなものがあります。
日本政策金融公庫などの公的金融機関
日本政策金融公庫などの公的な金融機関では、中小企業や創業者への資金調達を積極的に行っているため、多くの方にとって広く、利用しやすい資金調達先の一つといえます。
メガバンクなどの都市銀行
メガバンクなどの都市銀行は、大きな資金力とネットワークを有していることから、大口の資金調達や複雑なプロジェクト融資などに適した資金調達先といえます。
地方銀行や第二地方銀行
地方銀行や第二地方銀行は、比較的小回りが利きやすく、地元をメインとした資金調達に強みがあります。位置づけと役割としては、都市銀行と信用金庫の中間となります。
信用金庫や信用組合
信用金庫や信用組合は、地元に特化した金融機関のため、とくに中小企業や創業企業にとって利用しやすい資金調達先といえます。また、財務内容だけでなく、実際の経営の中身を見て融資をしてもらいやすいという傾向があります。ただし、あまり大きな規模の資金調達には向いていません。
ノンバンク
ノンバンクは短期間で融資が受けられる、多少、業績の悪い企業でも利用できるといった特徴があるため、急な支払いなどで役立ちます。しかし、銀行融資と比べて、高金利のところが多いため、少額かつ一時的な利用にとどめることをおすすめします。
ベンチャーキャピタル、個人投資家
ベンチャーキャピタルや個人投資家は、新規性がある、発展性が見込める企業への資金調達を積極的に行っています。しかし、ビジネスプランに優れた部分がないと採用されにくいため、利用にあたっては十分な計画を準備する必要があります。
制度融資
制度融資とは、自治体(都道府県や市区町村)と金融機関、信用保証協会の3者が協調して中小企業への融資を行う仕組みをいいます。公的な機関である信用保証協会が信用の保証をするため、中小企業や創業者でも融資が受けやすくなります。
ファクタリング
ファクタリングとは、企業が保有する売掛金を買い取る形で資金を貸し出す仕組みをいいます。特別な保証人や担保がなくとも利用できますが、金利が高いなどの他、ケースによってはファクタリングを利用していることが相手先の企業に漏れてしまうなどのリスクがあります。
流動資産担保融資や売掛債権担保融資
流動資産担保融資とは、店舗などに保有している商品を一括して担保にすることで融資をする仕組みをいいます。また、売掛債権担保融資とは、売掛債権を担保として融資をするもので、ファクタリングとほぼ同じ仕組みとなります。これらは、不動産の担保や保証人がなくても融資が受けられるという特徴がありますが、特別なノウハウが必要となるため、取り扱っている金融機関があまり多くないのが現状です。
間違いない資金調達コンサルタントの選び方と依頼のときの注意点
資金調達コンサルタントには、それぞれ得意分野があるため、依頼をする際にはその特徴や強みを把握して利用する必要があります。また、利用にあたっては、以下の点に注意する必要があります。
見かけの数字に惑わされない
資金調達コンサルタントの中には、売上げや実績を実際のものより誇張している業者も存在します。また、実績や成功率を高く維持するため、「難しい案件についてはサポートしない」、「依頼を断る」といったことや、「事務所の規模と比較して顧客数が過大」、「100%の成功率を謳っている」などの不自然なケースも見受けられます。このようなコンサルタントには実力が伴っていないことが多く、手数料を取るための虚偽というケースもありえます。コンサルタントを選ぶときには、ホームページの記載だけを信用せず、実際に直接くわしく聞いてみて、疑問点を確認した上で依頼することをおすすめします。
コンサルタントの「実績の内容」を具体的に確認する
コンサルティングで重要なのは、問題解決能力とそれを具体的な形で提案する力です。どんなに、華々しい資格や経歴があっても、「会社の問題が解決されない」のでは意味がありません。そのため、コンサルタントを選ぶ時には、メールや電話などで問い合わせて、具体的に詳しく聞いてみるのも一つの方法です。また、その場合には、ただ漫然と質問するのではなく、次のようなことに注意するとよりスムーズに確認ができます。
聞きたいことを整理しておく
相談をするときには、何から聞けばわからなくなってしまい、結局、重要なことを聞きもらしてしまうということがよく起こります。そのため、このようなことがないよう、あらかじめ必ず聞いておくべき項目を整理しメモしておくと、聞きもれや質問を忘れるということを防げます。
口頭だけでなく、メールなども使って状況を詳しく説明する
漠然とした相談では、コンサルタントとしても具体的なアドバイスができにくいこともあります。できるだけ、状況を隠さずに詳細に説明することで、より適切なアドバイスを受けられます。また、口頭の説明だけではいっぺんに理解するのが難しいこともあるため、複雑な内容については、メールであらかじめ概要を説明するなどすると、スムーズに理解してもらいやすくなります。
具体的な解決方法としては、どんなものがあるかを確認する
状況の説明が済んだら、その問題に対してどのような解決策があるかを確認しましょう。中には、具体的なアドバイスは、契約をしてからというところもありますが、そのような出し惜しみをする所はあまりおすすめしません。詳細なスキームなどは契約後としても、入口の段階で適切な提案がない場合には注意が必要です。
状況を先取りをしたアドバイスがあるかを確認する
聞かれたことにだけ答えるのでは、コンサルタントとしては70点といえます。優れたコンサルタントは、聞き取った情報にもとづきこれから予想される課題やリスクについても、提案を行います。したがって、目先の質問に答えるだけでなく、このようなさらに踏み込んだアドバイスがあるかどうかもコンサルを見極めるポイントといえます。
成果報酬の支払い方で検討する
コンサルタントに依頼した場合の報酬の支払い方法としては、次のようなものがあります。
先に着手金をもらって、融資が下りてから報酬金を支払うパターン
これはコンサルの開始時に一定の着手金を支払い、融資が下りてから残りの成功報酬を払うという方法で、最も一般的な方法といえます。
融資が下りた場合のみ報酬を支払うパターン(完全成功報酬型)
完全成功報酬型とは、融資が成功したときにその融資額に対して一定の率をかけた報酬を支払うという方法です。結果のみに対して報酬を支払うため、支払う側にとっても理解がしやすい方法といえます。
融資の成功報酬が5%を超えると「出資法違反」になる
士業やコンサルタントが融資のサポートをする場合の成功報酬については、「出資法」という法律により5%以上を請求することが禁じられています。なお、補助金については、出資法の対象外となるため上限がありませんが、10~20%前後の成功報酬というのが一般的です。
悪質な「資金調達ブローカー」に注意
コンサルタントを名乗る業者の中には、手数料目当ての悪質なところもあるため注意しましょう。違法な方法での融資のあっせんや、決算書の偽装(粉飾決算)の提案、着手金を支払ったら連絡が取れなくなったなどの例があるため、ネットなどで確認してその評判についても確認するようにしましょう。
気が合うか、誠実か、信頼できそうか など
コンサルタントを選ぶ際に、気があうかどうかということは非常に重要なポイントです。どんなに優秀なコンサルタントでも、気があわない場合には、十分な意思疎通ができず、方針などでも対立しがちとなります。とくに、相談をしてみて誠実さが感じられないような場合には、依頼を避けた方がよいでしょう。
累計8万人が利用!質問に答えるだけで「事業計画書・数値計画書」が完成
⇒事業計画書作成ツールを無料で利用してみる
- 日本政策金融公庫の創業計画書も作成でき、融資申請に利用できる。
- 業種別にあなたの事業計画の安全率を判定
- ブラウザに一時保存可能。すべて無料!
まとめ
資金調達は企業にとっての重要事項です。どのようなコンサルタントを選ぶかにより、その後の経営に大きな影響を生じる可能性があるため、慎重に選択しましょう。コンサルタントを選ぶときには、ホームページや宣伝の情報だけに頼るのではなく、実際に電話をしたり、会ってみて雰囲気や相性などを確かめるのも重要なポイントです。とくに悪質なブローカーのようなコンサルには注意しましょう。また、複数のコンサルタントに相談してみるというのもおすすめです。
ドリームゲートには、多様な分野について質の高い専門家が多数、在籍しています。また、相談も無料でできるので、資金調達でお困りの時には、お気軽にお問い合わせください。
- 累計8万人が利用!質問に答えるだけで「事業計画書・数値計画書」が完成
- 日本政策金融公庫の創業計画書も作成でき、融資申請に利用できる
- 12業種・4188社の経営者と比較し、あなたの事業計画の安全率を判定
執筆者プロフィール:引地 修一/Ichigo(一期)行政書士事務所
創業者と経営者の資金調達から事業再生、記事取材までを幅広くサポート。
保有資格:行政書士、事業再生士補、事業再生アドバイザー、宅地建物取引士、古物商
この著者の記事を見る
- 2023年5月8日 会社設立の資本金はいくらがよい?ちょうどよい金額が今すぐ分かる
- 2023年1月30日 事業計画書作成をコンサルに依頼するメリット・デメリットや料金相場、注意点を紹介
- 2022年11月19日 資金調達で困ったときに無料で相談できる5つの機関と実際にあった相談事例
- 2022年10月14日 融資を引き出すために必要な創業計画書の書き方のコツと注意点
- 2022年8月26日 起業セミナーの選び方・受けるメリットと怪しい起業セミナーの見分け方
- 2022年8月12日 資金調達コンサルティングを頼むメリットとは?悪質コンサルの見抜き方についても解説!
- 2022年5月13日 返済不要な5つの資金調達方法とは?メリット・デメリットを解説
- 2022年3月28日 事業再構築補助金の申請時に行政書士に依頼するメリットや報酬を紹介
- 2022年3月18日 個人事業主におすすめの融資ベスト3!低金利なのは?自己資金はどのくらい必要?
- 2022年2月14日 創業計画書とは?日本政策金融公庫の融資獲得のカギは創業計画書にある?!