「事業再構築補助金」は、令和3年度補正予算にて制度の見直し・拡充が決定しました。補助金額上限も大きく、「活用して2022年以降の経営を立て直したい」と考える経営者の方も多いのではないでしょうか。
事業再構築補助金の採択を受けるには、国から認定を受けた専門家と一緒に策定した事業計画書の準備が必要です。中小企業診断士に依頼すれば、経営支援のプロや審査員目線でのアドバイスを受けられるため、採択率を高めてくれるでしょう。
この記事では第5回公募および第6回以降の公募予定を参考に、事業再構築補助金の申請サポートを中小企業診断士に依頼するメリットや事業計画作成のポイント、事業再構築補助金の概要などを解説します。
- 目次 -
事業再構築補助金の申請には中小企業診断士などの専門家の力が必要
事業再構築補助金の申請には、合理的で説得力のある事業計画書が必要です。
この事業計画の策定は「認定経営革新等支援機関」と行い、申請時には「認定経営革新支援機関による確認書」の提出も必要です。
しかし、認定経営革新等支援機関のサポートを受けたとしても、事業計画が100%採択されることはありません。第1回~第4回公募の事業再構築補助金の採択率は、全枠平均で約45%と半数以下の数値となっています。
応募者数 |
採択数 |
採択率 |
|
---|---|---|---|
第1回公募 |
5,181 |
2,866 |
55.3% |
第2回公募 |
20,800 |
9,336 |
44.9% |
第3回公募 |
20,307 |
9,021 |
44.4% |
第4回公募 |
19,673 |
8,810 |
4.8% |
合計 |
65,961 |
30,033 |
45.5% |
通常枠のみに絞ると、第1回~第4回の平均採択率は約35%です。
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/result.php より
採択される事業計画を作成するには、「本補助金の目的を理解し、目的にのっとった計画を作成すること」「自社に合う専門家を選んでサポートしてもらうこと」などのポイントをおさえることが大切です。
中小企業診断士は事業再構築補助金の審査員でもあるため、上記のポイントをしっかりとおさえた事業計画書の策定はもちろん、事業の見直しや立て直しなどの相談にも乗ってくれます。
事前準備の段階から認定経営革新等支援機関である中小企業診断士に相談することで、申請時や経営見直しの面でさまざまなメリットを受けられます。
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認定経営革新等支援機関とは中小企業支援能力を認められた専門機関
認定経営革新等支援機関(認定支援機関)とは、「税務や金融、企業財務など中小企業支援に関して一定以上の専門的知識・実務経験を有する専門家として、国から認定を受けた支援機関」のことです。
認定対象となる支援機関としては、税理士法人や公認会計士、税理士、商工会議所、商工会、金融機関などが該当します。中小企業診断士も対象の1つです。認定経営革新等支援機関は、中小企業庁の検索システムにて都道府県別に検索できます。
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中小企業診断士に依頼するメリット
中小企業診断士に依頼するメリットは大きく分けて3つです。
①審査員目線でサポートしてもらえる
事業再構築補助金の審査は、事務局から委託を受けた中小企業診断士が中心となって実施します。中小企業診断士にサポートを依頼することで、審査員と同じ目線で支援が受けられるので、採択率が高まる可能性があるでしょう。
②経営支援を受けられる
また、中小企業診断士は、筆記・口述試験からなる合格率1桁の中小企業診断士試験に合格した、中小企業支援法にもとづく経営支援のプロです。コロナ禍で苦しんでいる企業や、新事業で拡大を目指す企業にとってよいパートナーになってくれます。
事業再構築補助金は単に事業主に資金を援助するだけのものではありません。補助金による政府からの資金援助に加え、強い企業に生まれ変わるための事業の見直しと事業計画の策定、さらにそれらを実行し継続していくことが重要です。
中小企業診断士は、補助金申請のお手伝いだけでなく、経営支援のエキスパートとしてそれら一連のサポートをしてくれるため、事業再構築を目指す事業主にとってメリットが大きいといえるでしょう。
③他の補助金にもくわしい
さらに、中小企業診断士は、小規模事業者持続化補助金やものづくり補助金、IT導入補助金など他の補助金に関するサポートにも対応できる方が多いです
中小企業診断士の報酬の目安
中小企業診断士の報酬設定は、仕事を依頼したときに発生する「着手金」と、支給された事業再構築補助金の金額に応じた「成功報酬」の2段構えのケースがほとんどです。
中小企業診断士の報酬の目安 |
相場 |
---|---|
着手金 |
7~15万円 |
成功報酬 |
・事業再構築補助金の約10%前後 ・成功報酬については上限を設ける認定支援機関あり |
事業再構築補助金が設立された当初、支援内容に見合わない高額報酬を請求する金融機関や個人コンサルなどが複数存在しました。
2022年現在は委託先名や報酬額などの記載も必要であるため、悪質なものは審査時に弾かれるようになっています。とはいえ将来的なトラブルを防ぐ意味でも、事前におおよその報酬の目安を確認しておきましょう。
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事業計画書のポイントは審査項目に合う内容を作成できるか
事業再構築補助金に関する事業計画書を書くときは、以下のポイントをおさえておくのが審査通過のコツです。
- 自社の現在の強み・弱み、機会・脅威、事業環境、事業再構築の必要性などを分析し記載する
- 提供する製品やサービス、導入設備、工事内容など事業再構築に関する具体的な内容を記載する
- 新しく参入する市場の状況、自社の優位性、価格設定、再構築に関する課題・リスク・解決方法を記載する
- 事業再構築の実施体制、スケジュール、資金調達計画、収益計画(付加価値増加を含む)を記載する
- 事業計画書はWordなどで作成のうえ最大15ページ以内(補助金額1,000万円以下は10ページ以内)に収める
- 初見の人でも読みやすい・わかりやすい・根拠のある事業計画書に仕上げる
- 加点項目はできる限り満たす
「適格性」「事業化点」「再構築点」「政策点」などの具体的な審査項目は、すべて公募要領に記載されています。必ず目を通しておきましょう。
また審査項目に加えて「加点項目」の基準も満たすことで、採択される可能性が上がります。他の補助金制度である「ものづくり補助金」の傾向を見ると、加点項目の有無で採択率が2倍~3倍ほど変化していました。
データポータル|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト よりhttps://portal.monodukuri-hojo.jp/dataportal.html
事業再構築補助金とは?
新型コロナウイルス感染拡大を経たアフターコロナ時代に対応するため、思い切った「事業再構築」を計画した一定規模以下の中小企業・中堅企業などに、金銭的な支援を行う補助金制度が事業再構築補助金です。
申請には3つの必須法権を満たさなければなりません。
- 過去と比べて一定以上売上が減少していること
- 事業再構築のいずれかを行うこと
- 認定経営革新等支援機関と一定以上の付加価値額を達成できる事業計画を策定すること
事業再構築指針の手引きより
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/shishin_tebiki.pdf
1.売上の減少は2020年以降で10%以上が基準
第5回公募にて事業再構築補助金の対象になるのは、以下に示した売上要件をクリアした事業者です。
- (a)2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月間の合計売上高が、コロナ以前(2019年または、2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少しており、
- (b)2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月間の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して5%以上減少していること。
※上記を満たさない場合には、次の項目を満たすことでも申請可能。
- (a‘)2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計付加価値額が、コロナ以前の同3か月の合計付加価値額と比較して15%以上減少していること。
- (b‘)2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計付加価値額が、コロナ以前の同3か月の合計付加価値額と比較して7.5%以上減少していること。
(参考:事業再構築補助金)
売上要件の詳細は、「4分でわかる事業再構築補助金とは? 初心者にもわかりやすく申請のポイントを解説」をご覧ください。
2.事業再構築5つのパターンと具体例
事業再構築5つのパターンと具体例は次のとおりです。
1.新分野展開とは
メインの業種や事業を変更せずに、新しい製品等を製造等して新市場へ進出すること
<具体例>駅前でホテルを経営していたが、客室の一部をテレワークや会議室用の部屋に改装し、レンタルオフィス業として新しく展開した
2.業態転換とは
既存の製品の製造方法やサービスの提供方法を相当程度変更すること
<具体例>店舗で対面形式のヨガ教室を開いていたが、新しくオンラインサービスとして提供方法を変更した
3.事業転換とは
メインの業種を変更せずに、メインの事業を変更すること
<具体例>金属加工関係の製品を製造していたが、培ったノレッジ・ノウハウを活かして産業用ロボット製造業を開始した
4.業種展開とは
新しい製品等を製造等して、メインの業種を変更すること
<具体例>レンタカー事業を営んでいたが、同時に貸切ペンションを経営してレンタカー事業と組み合わせた宿泊プランを経営した
5.事業再編とは、
会社法上の組織再編行為を実施して新しい事業形態のもとで新分野展開・業態転換・事業 転換。業種転換のいずれかを行うこと
<具体例>合併や会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡などを行い、そのうえで新分野展開や事業転換などを行った
事前準備
申請には認定支援機関と共同で事業計画書を作成したことを示すための「確認書」が必要になります。そのため、事業再構築補助金の獲得に挑戦しようか迷っている段階や、自社の取り組みで事業再構築補助金に採択されるかどうか相談する目的で、認定支援機関である中小企業診断士に相談することをお勧めします。
申請予定の補助金額が3,000万円を超える場合は、金融機関(銀行や信金など)の参加が必要です。
以下のいずれかを満たす事業計画書が必要になるため、早い段階で中小企業診断士などの専門家に相談しながら、採択に向けた計画を立てるようにしましょう。
- 補助事業(提出した計画の事業)終了後3~5年で付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)が3.0%以上(※)
- 従業員1人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上の増加(※)
※グローバルV字回復枠は5.0%以上
通常枠、卒業枠、グローバルV字回復枠の補助率や補助額
事業再構築補助金には主に「通常枠」、事業計画期間内に中小企業から中堅企業に成長を目指す「卒業枠」、一定の条件を満たすグローバル展開を果たす事業でV字回復を果たす「グローバルV字回復枠」の3種類が存在します。
それぞれの補助率・補助額は次のとおりです。
普通枠 |
|||
---|---|---|---|
従業員数 |
補助金額 |
補助金額 |
補助率 |
20人以下 |
100万~4,000万円 |
100万~2,000万円 |
・中小企業者等:2/3(6,000万円を超える部分は1/2) ・中堅企業等:1/2(4,000万円を超える部分は1/3) |
21~50人 |
100万~6,000万円 |
100万~4,000万円 |
|
51人~100人以上 |
100万~8,000万円 |
100万~6,000万円 |
|
101人以上 |
100万~8,000万円 |
卒業枠 |
||
---|---|---|
対象事業者 |
補助金額 |
補助率 |
20人以下 |
6,000万~1億円 |
2/3 |
グローバルV字回復枠 |
||
---|---|---|
対象事業者 |
補助金額 |
補助率 |
中堅企業 |
8,000万~1億円 |
1/2 |
詳細な条件については、公募要領をご覧ください。
大規模賃金引上枠、緊急事態宣言特別枠、最低賃金枠の補助率や補助金額
事業再構築補助金には、特別枠として「大規模賃金引上枠」「緊急事態宣言特別枠」「最低賃金枠」が存在します。この3枠は審査で不採択になったとしても、同じ事業計画で通常枠として再審査を受けられます。
大規模賃金引上枠とは、継続的な賃金引上と従業員増加によって生産性を向上させる事業者を支援する特別枠です。
大規模賃金引上枠 |
||
---|---|---|
対象事業者 |
補助金額 |
補助率 |
従業員数101人以上中小企業・中堅企業 |
8,000万~1億円 |
・中小企業者等:2/3(6,000万円を超える部分は1/2) ・中堅企業等:1/2(4,000万円を超える部分は1/3) |
緊急事態宣言特別枠とは、2021年の緊急事態宣言によって深刻な影響を受けた事業者を支援する特別枠です。
緊急事態宣言特別枠 |
||
---|---|---|
従業員数 |
補助金額 |
補助率 |
5人以下 |
100万~500万円 |
・中小企業者:3/4 ・中堅企業:2/3 |
6~20人 |
100万~1,000万円 |
|
21人以上 |
100万~1,500万円 |
最低賃金枠とは、最低賃金の引上げの原資確保が難しい事業者を支援する特別枠で、緊急事態宣言特別枠より採択率を優遇しています。
最低賃金枠 |
||
---|---|---|
従業員数 |
補助金額 |
補助率 |
5人以下 |
100万~500万円 |
・中小企業者:3/4 ・中堅企業:2/3 |
6~20人 |
100万~1,000万円 |
|
21人以上 |
100万~1,500万円 |
詳細な条件については、公募要領をご覧ください。
補助対象となる経費
事業再構築補助金の支給金額は、「対象となる経費×補助率」で算出されます。補助対象になる経費は主に次のとおりです。
補助対象経費 |
例 |
---|---|
建物費 |
建物の建築や改修、撤去、原状回復にかかるものなど |
機械装置・システム構築費・クラウドサービス利用費・運搬費 |
計画に関する設備や専用ソフトや運搬、クラウドサービスにかかるものなど |
技術導入費・知的財産権等関連費用 |
知的財産導入権の導入や専門家に関するもの |
外注費 |
加工、設計、デザイン、検査などの外注にかかるもの |
広告宣伝費・販売促進費 |
宣伝や販売促進用の広告や展示会出展、マーケティング全般にかかるもの |
研修費 |
教育訓練や講座受講にかかるもの |
採択に向けた注意点
経済産業省は採択に際し、以下の注意事項を公表しています。
- 同一事業で複数の補助金は受け取れない(別事業であれば同じ事業者が異なる補助金を受けられる)
- 不正・不当の行為があった場合は補助金返還や罰則適用などの可能性がある
- 申請は事業者自身で実施する(作成の代行までは専門家でも可能)
- 他の事業者と同一または酷似した内容を故意・重過失によって申請したときは不採択・交付取り消し・次回以降の申請禁止などの措置となる
事業再構築補助金の今後のスケジュール
事業再構築補助金は、第1回から第5回公募の間で何度も見直しが進められてきました。以下では第6回における7つの変更点を解説します。
第6回公募における7つの変更点
中小企業庁によると、第6回以降の事業再構築補助金は、事業類型や要件が大幅に変更されることが決定しています。主な見直し項目6つの概要は次のとおりです。
- 売上減少要件が緩和され、「2020年4月以降の連続する6カ月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が、コロナ以前と比較して10%以上減少していること」のみになる
- 2021年10月以降の売上減少が条件となる「回復・再生応援枠」が創設される
- グリーン成長戦略に選ばれた14分野で事業再構築する事業者を支援する「グリーン成長枠」が創設される
- 通常枠の補助上限額が2,000万~8,000万円に変更になる
- 補助対象経費の建物費と研修費が見直される
- 最大20社までが連携して申請できる複数企業等連携型が創設される
- 事前着手の対象期間が2021年12月21日以降に変更される
事業再構築補助金の申請は専門家と早めの準備を
事業再構築補助金の申請は、認定経営革新等支援機関の協力を得ながら進める必要があります。申請の締切日ギリギリであせって計画を作成し、採択の見込みが薄い事業計画書にならないよう、専門家と早めに準備を行いましょう。
中小企業診断士への依頼なら、審査員や経営支援の専門家としての目線で、経営全体に関するサポートを期待できます。
ドリームゲートの「さがせる窓口」なら、事業再構築補助金に強い認定経営革新等支援機関の中小企業診断士をご紹介できます。採択率80%超えの専門家も依頼可能です。サービスの利用は無料ですので、ぜひ一度お問い合わせください。
執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局 月見里
ドリームゲートは経済産業省の後援を受けて2003年4月に発足した日本最大級の起業支援プラットフォームです。
運営:株式会社プロジェクトニッポン
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