会社設立時に資本金をどのくらいにすべきなのか、基準や決め方を調べていませんか?
実は資本金しだいで、節税できたり、融資が通りやすくなったりします。また、事業開始時に、資本金の最低額や割合が指定されている業種もあるのです。
そこで今回、43万人が登録する起業メルマガ配信や起業・経営相談をしているドリームゲートが、資本金の決め方や注意点などを解説します。
これを読めば誰でも最適な資本金がいくらなのかがわかるでしょう。
- 目次 -
資本金を決める5つのステップ
資本金は、以下の5つのステップで決めていくのが効率的です。
- まず資本金について知る
- 1,000万円ライン(税負担を軽減可能)を考える
- 融資を受けるか決める
- 許認可・ビザなどで条件がないか確認する
- 業種別の資本金の割合を参考にする
上記の5つのステップで、あなたの事業でどのくらいの資本金を集めればよいかわかります。各ステップを詳しく解説していきましょう。
まず資本金について知る
まず、あらためて資本金自体について知っていきましょう。あいまいな理解はあいまいな行動につながり、思わぬところで事業の失敗リスクを高めてしまいます。というわけで、資本金について、解説していきます。
資本金とは、会社を設立したさいに、自身が持っている運転資金(自己資本)のことです。いわば、会社の体力であり、規模を表すものだといえるでしょう。なお、金融機関などから調達した借入金は返済義務があるため、資本金には含みません。
なお、資本金は取引先や金融機関からの信用に影響します。たとえば、資本金が極端に少ない場合、「経営が不安定なのでは…?」と感じられる可能性があるでしょう。したがって、理論上は0円企業や1円の資本金も可能ではありますが、避けたほうが無難です。
ちなみに、資本金は事業に関することなら、自由に使えるお金です。たとえば、以下の用途に資本金を使っても問題ありません。
- 従業員の給料
- 機械設備
- オフィス家具
ある程度、元手や設備が必要な業種であれば、資本金は多めにあったほうが安心で、1円の資本金などは危険だと理解できるでしょう。
そして、危険性や不安を第三者に感じとられてしまうと、信用にかかわるわけです。実際、資本金が高いほうが、融資は受けやすいといわれています。
後から資本金を増資するのは可能です。しかし、印紙代や専門家への依頼料などがかかるので、自社に必要な資本金をきちんと考えて設定するのがおすすめといえます。そこで次から、会社設立時の資本金を決定する具体的な基準を見ていきましょう。
1,000万円ライン(税負担を軽減可能)を考える
先の資本金の解説から、会社設立時の資本金は多いほうがよいと感じたかもしれませんが、1,000万円までが資本金の1つのラインといえます。なぜなら、資本金を1,000万円未満にすると、税金の負担をへらせるからです。
負担を経験できる税金は、以下2つになります。
- 消費税
- 法人住民税
上記2つの税金の負担をへらせる理由を詳しく解説していきます。
消費税は最大で2年間免除できる
実は、会社設立時の資本金を1,000万円未満にしておくと、最大で2年間消費税の納付が免除されます。
厳密には、売上といっしょに自社に入ってきた消費税が、自社の支払いで発生した消費税より高くても差額を納税しなくてよくなります。資本金が1,000万円以上だと、自社に入ってきた消費税のほうが大きいと、差額を納税しないといけません。
もちろん上記のデメリットがあるにもかかわらず、会社設立時に1,000万円以上の資本金を設定すれば信用につながり、大口の取引につながることもあるでしょう。
また、資本金が1,000万円以上で自社が支払った消費税が、自社に入ってきた消費税よりも大きい場合、還付を受けられます。設備投資が大きい事業で会社設立をするなら、あえて1,000万円以上の資本金にするのも1つの手です。
しかし、後で解説する「設立後すぐ収益が上がるとは限らない」という注意点もあるので、明確な理由がないなら、無理に1,000万円以上の資本金を設定する必要はありません。
ちなみに、期首からの売上(6か月間)と人件費が1,000万円より大きかった場合は、資本金が1,000万円未満でも消費税がかかる場合もあります。
法人住民税の均等割を最低額にできる
資本金を1,000万円未満にしておくと、法人住民税も節税できます。
まず、会社設立をすると、法人住民税という地方税をおさめる義務が発生します。仮に赤字でも免除されず、均等割という種類の法人住民税を支払わなければいけません。
そして、法人住民税の均等割は、資本金が1,000万円未満かつ従業員数50以下なら、最低額にできます。ちなみに、金額は7万円です。資本金が1,000万円以上だと、18万円になるので、めいかくな理由がないなら1,000万円未満の資本金を検討したいところです。
融資を受けるか決める
融資を受けるかどうかを会社設立時に決めると、必要な資本金も決まってきます。というのも、先に解説したとおり、資本金は大きいほうが信用を得られやすく、融資も受けやすくなるからです。
また、融資を受ける条件として、自己資金の割合が指定されている場合もあります。たとえば、無担保・無保証人で利用できる「新創業融資制度」の場合、会社設立時の自己資金10分の1以上が、条件の1つです。
引用:https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/04_shinsogyo_m.html
融資を受ける気がまったくないなら、気にする必要はありませんが、融資を受ける可能性があるなら、資本金を調整しておきましょう。
許認可・ビザなどで条件がないか確認する
許可局・ビザなどで、資本金の最低額が指定されている場合は、指定の資本金以上を用意しなければいけません。
事業を開始するにあたって、多くの業種で行政からの許可が必要です。たとえば、小規模な労働者派遣事業(常時雇用している派遣労働者が10人以下)なら、負債をのぞいた資産が1,000万円以上と定められています。
また、資産は負債総額の7分の1以上で、自己名義の現金や預金が800万円以上という指定もあります。
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020/dl/03.pdf p.81~p.82
このように、事業をはじめるにあたって、資本金の条件が課せられているケースが多々あります。厚生労働省のホームページなどでの確認と必要な額の資本金の用意をしましょう。
業種別の資本金の割合を参考にする
業種別の資本金の割合を参考にすると、会社設立時の資本金を決めるのに役立ちます。というのも、業種によって資本金の平均はさまざまで、すでに事業を営んでいる企業を参考にすると、ヒントを得られるからです。
たとえば、医療や福祉業界では、資本金500万円未満の企業が約70%をしめます。一方で、エネルギー業界は、資本金500万円以上の企業が80%以上をしめているのが現状です。
以下に、総務省の統計をのせているので、ぜひ参考にして資本金を決めるのに役立ててください。
*引用元:「企業産業大分類,資本金階級別企業数の割合(会社企業)」│総務省統計局
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資本金決定で注意したい2つのポイント
会社設立時に資本金を決めるにあたり、特に注意しておきたいポイントがあるので、紹介していきます。具体的には、以下2つです。
- 設立後すぐ収益が上がるとは限らない
- 資本金が不足したら個人資金をまわさないといけない
それぞれの詳細を解説していきます。
設立後すぐ収益が上がるとは限らない
会社設立後にすぐに収益が上がるとは限らないので、注意しましょう。収益以上に支出のほうが多い場合、資本金を使うことになります。もちろん、資金がショートしてしまえば倒産に陥ってしまいます。
実際、創業当初に収益が少ないにもかかわらず、設備投資や人件費などの支出が思った以上に多く、倒産してしまう企業もあるのが実情です。下図は、中小企業白書2017のデータです。国際比較が目的ですが、一番上のラインを見ると、日本における中小企業の生存率がわかります。
上図から、1年でおよそ5%、5年後にはおよそ20%の企業が撤退しているのがわかります。もっとも、諸外国と比較すると、中小企業の生存率は良好なのも事実です。商材や戦略を入念につくって、会社設立をするのはおすすめといえる環境でしょう。
資本金が不足したら個人資金をまわさないといけない
仮に資本金が不足したら、融資を受けるのは一般的に難しくなるので、個人資金を資本金にまわす必要が出てきます。いざというときの資産があるかを考えておくべきといえるでしょう。
もっとも、逆にいえば役員などから運転資金をまわすのは可能です。会計上の処理としては、役員借入金や短期借入金とします。いずれにせよ、資本金がたりなくなったさいの運転資金のあてはつけておいてください。
会社設立時の資本金払込方法を4ステップで解説
会社設立時の資本金の払込方法も紹介していきます。具体的には、以下4ステップです。
- 発起人の個人口座を準備
- 個人口座に設定する資本金を振込
- 通帳をコピーする
- 払込証明書を作成し、製本する
口座は個人のもので問題ありません。払込証明書は以下7つの内容を記載します。
- 払込があった金額の総額
- 払込があった株数
- 1株あたりの払込金額
- 日付
- 本社所在地
- 会社名
- 代表取締役氏名
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会社設立の手順を9ステップで簡単解説
資本金の払込と関連するので、会社設立の手順も簡単に解説します。具体的には、以下9ステップです。
- 会社名の決定
- 事業目的の決定
- 出資者と取締役の人数、任期などを決定
- 本社の所在地を決定
- 類似商号の調査
- 定款作成と公証人から認証を得る
- 預金口座への資本金を振込
- 必要書類をそろえて法務局で登記
- 登記簿謄本を取得して、銀行口座を開設
先に開設した資本金の払込は、上記ステップの7番目にあたります。前後のステップを確認するのはもちろん、1番目のステップからもれがないかも確認してください。
会計業務を効率化できるツール
会計業務を効率化できるツールにいても紹介します。というのも、先述の会社設立や資本金の払込のステップなどからわかるとおり、会社設立時から会計業務が発生するからです。
そして、会計業務は重要ですが、収益を生んでいくためのコア業務ではありません。つまり、事業を育てていくための時間を確保するために、会計業務はできるだけ自動化すべきといえるのです。
具体的なツールとしては、弥生会計オンラインがおすすめです。会計の知識がなくても簡単に使え、サポートもメールや電話で受けられます。そして今回特別に、以下2つの特典がつきました。
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まとめ:会社設立の資本金を万全にして事業の成功を!
会社設立時の資本金を決めるステップや注意点などを解説してきましたが、参考になったでしょうか?
資本金は節税や融資、信用獲得にむすびつく重要な要素です。今回紹介した情報をいかして、事業を成功に導いてください。
一方で、資本金の払込や会計業務などは重要ですが、利益を生む仕事ではありません。効率化できるツールを使って、事業の成功確率をあげてください。