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4月から改正されるキャリアアップ助成金

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 伊関 淳

「キャリアアップ助成金」とは、契約社員や派遣社員などといった有期契約労働者、短時間労働者等の、正社員化、人材育成、処遇改善、企業内でのキャリアアップなどに取り組んだ際に事業者を支援する制度です。
平成30年度の「キャリアアップ助成金」の助成対象は主に8つのコースに分かれ、それぞれの取り組みを実施した事業主に対して助成されます。また当助成金は、申請が通れば複数のコースを受給することも可能です。

【8つのコース】

①正社員化コース
⇒正規雇用等に転換した場合
②人材育成コース
⇒職業訓練をした場合
③賃金規定等改定コース
⇒賃金規定を改定した場合
④健康診断制度コース
⇒法定外の健康診断制度を導入した場合
⑤賃金規定等共通化コース
⇒正規雇用労働者と共通の賃金規定等を新たに規定し、適用した場合
⑥諸手当制度共通化コース
⇒正規雇用労働者と共通の諸手当の制度を新たに設け、適用した場合
⑦選択的適用拡大導入時処遇改善コース
⇒社会保険の適用拡大によって、基本給を増額した場合
⑧短時間労働者労働時間延長コース
⇒短時間労働者の労働時間を延長し、新たに社会保険を適用した場合

平成30年度は“ココ”が変わった

平成29年度の受給要件は、要件区分が3つから8つのコースに変更されたため、新規に設定されたコースも多数あり、コースによっては助成金の受給額が倍になるなどと大きな改正が見られました。
平成30年度の助成要件は以下のとおり、主に4つのコースの内容が改正されました。

□正社員化コース

有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合に助成されます。
転換・雇用形式は主に

①「有期契約」→「正規雇用」
②「有期契約」→「無期雇用」
③「無期雇用」→「正規雇用」

の3つに分かれます。以前までは1年度1事業所あたりの申請上限人数は①~③の合計で15人まででしたが、上限が20人までに拡充されています。また、転換後の6ヶ月の賃金総額が転換前の6ヶ月より5%以上増額(賞与などを含む)し、有期契約労働者からの転換である場合、転換前の雇用期間が3年以下である必要があります。

□人材育成コース

有期契約労働者等に、一般職業訓練または有期実習型訓練を実施した場合に助成されます。
今年度から人材開発支援助成金に統合されます。

くわしくはこちらをご確認ください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html

□賃金規定等共通化コース

有期契約労働者等に、正規雇用労働者と共通の賃金規定等を新たに規定し、適用した場合に助成されます。
また、新たに助成額を上乗せする加算措置が講じられました。上限は20人までで、賃金規定を適用した2人目以降の対象者1人につき加算されます。対象額は以下のとおりです。()内は生産性要件を満たした場合の金額です。

中小企業:20,000円(24,000円)/人
中小企業以外:15,000円(18,000円)/人

□諸手当制度共通化コース

有期契約労働者等に対して、正規雇用労働者と共通の諸手当制度を設け、適用した場合に助成されます。こちらも新たに加算装置が講じられ、①人数に応じた加算処置と②諸手当の数に応じた加算措置があります。①の加算措置は上限が20人までとなっており、諸手当制度を適用した2人目以降の対象者1人につき加算されます。②の諸手当の数には上限がありませんが、諸手当制度を複数同時に適用した場合のみ、2つ目以降から加算されます。対象額は以下のとおりです。()内は生産性要件を満たした場合の金額です。

①人数に応じた加算措置
中小企業:15,000円(18,000円)/人
中小企業以外:12,000円(14,000円)/人

②諸手当の数に応じた加算措置
中小企業:160,000円(192,000円)/1諸手当
中小企業以外:120,000円(144,000円)/1諸手当

手続きの流れ・注意点

「キャリアアップ助成金」には、申請期間などがなく随時申請が可能です。
手続きの流れはこのようになります。

(例)
➀キャリアアップ計画の作成・提出(取り組み実施の概ね1ヶ月程度前)
②取り組みの実施
③支給申請(一部のコースを除き、取り組み完了日から6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内に申請)
④審査(およそ4ヶ月程度)
⑤支給

支給申請には期限があり、上記からわかるように、概ね手続きを開始してから実際に支給されるまでにはおよそ1年程度かかります。
また、すでにキャリアアップ計画を提出している事業主の方が当初の計画とは異なるコースを利用する場合、事前にキャリアアップ計画変更届の提出が必要となります。また、本章で解説した今年度の変更点に関しては、平成30年4月1日以降に転換等した場合に適用されるものです。それ以前に転換等した場合は平成29年度のガイドラインが適用されますので注意しましょう。

最後に

助成金は、補助金と比較して申請期間が長く、種類も豊富です。また、事業者や地域経済の発展を目的とする補助金とは異なり、労働環境や雇用問題の改善等の取り組みに対して支援することを目的としているため、受給率も高めです。当補助金も労働者の意欲、能力を向上させ、優秀な人材を確保するために助成される制度ですので、ぜひ有効に活用しましょう。

この記事の監修:ドリームゲートアドバイザー 伊関 淳氏
社会保険労務士・行政書士・起業支援コンサルタント。

年200件以上の起業家を支援。また、中小企業を中心に、就業規則の作成や助成金の申請、労務顧問等を中心に企業向け労務ンサルタントとしても活躍中。

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アドバイザー:伊関 淳
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