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「箸で楽しめるフランス料理」の人気店
「アンブロジア」を経営する |
仙台の中心街にある、「箸で楽しめるフランス料理」がコンセプトのレストラン「アンブロジア」。ディナータイムには仙台牛やオマール海老などが鉄板焼きや炭火焼きで楽しめ、ランチタイムは「カレーといえばアンブロジア」といわれるほどの人気店です。
オーナーは小畑正幸さん・才子さんご夫妻。仙台市内のレストランで調理師として働いていた正幸さんが1985年に独立し、二人で開業されました。「お客さ まと近いところで営業したかったのです。お客さまにはまるで家にいるようにくつろいでいただき、お客さま同士でコミュニケーションを取っていただこうと、 大きなテーブルを一つだけ置いて、それを囲むように16脚の椅子を並べて始めました」と才子さんは言います。地道なご商売で繁盛を続け、2006年10 月、現在の繁華街に移転して新装開店されました。
閉店後の会計作業は余力なし
16席だったアンブロジアでは、11時30分から2時間半のランチタイムは平均2回転するそうです。ディナータイムは、お客さまがいれば閉店時間の22時を過ぎることもしばしば。そのホール業務をこなした後、後片付けをします。
才子さんはホール業務と会計を担当。開業時に仙台北青色申告会を紹介されて入会し、以来、15年近く複式簿記で会計作業を行ってきました。「閉店後に伝票 処理や帳簿つけをしようと思っても、仕事で疲れているのでどうしてもやる気になれず、ある程度まとめて休日や開店前にこなしていました」
1日あたり30~40分はかかる会計作業に割く余力がなくなるのも理解できます。
作業をため込むと精神的負担に
お箸で食べられるおしゃれなフレンチが人気 |
「で も、1週間もためてしまうと、複式簿記なので時間がかかる上、精神的にきつくなるんですね。『あ~、帳簿やらないと、たまっちゃう』と。しかも、手書きの 頃は、決算書を作成すると数字が1回で合うということがありませんでした。1枚でも伝票が抜けていると本当に大変で、毎回、全部の伝票を出して照合作業を 行わなければなりませんでした」と才子さんは述懐します。
才子さんのパソコン歴は6年程度。「仕事には一切使っていません。エクセルやワードなどは使わず、趣味的にネットをたまに見る程度です。おもちゃみたいなものですね(笑)」。
デモで「簡単で自分にもできそう」と感じる
そんな才子さんでしたが、2003年度の確定申告の時期に青色申告会に相談に行った時、たまたまそこで行われていた会計ソフトのデモンストレーションに遭 遇。「待ち時間に見てみたのですが、簡単そうで自分にもできるんじゃないかって思いました。それでカタログや申込書をもらって帰ったんです」
よく調べてみたら便利そうとわかり、さっそく申込書を送付。「やってみてもし自分には使えなくても、そんなに高くないからあきらめはつくって思ったんです」。2004年度の会計処理には手をつけず、会計ソフトの到着を待ちました。
使い始めて数々のメリットを実感
確定申告後の3月からさっそく会計ソフトを使い始めた才子さん。「インストールや初期設定は全部自分でできました。画面に表示される言葉には専門的なもの もありますが、誰でもできると思いました。飲食店独自の勘定科目を設定するのも、マニュアルやオンラインヘルプ機能があったので問題なくできましたし」
そして、いざ使い始めたら数々のメリットを実感したと言います。「1箇所に入力すれば転記の必要はなく、当たり前でしょうが計算ミスもありません。数カ月前の伝票が出てきても、入力するだけでその月の仕訳まで処理されるので、なんて便利なんだろうって」
労力は10分の1に軽減
現在、会計作業は10日に1回、開店前の30分で済ませているそうです。以前は1日あたり30分程度かかっていたわけですから、その労力は10分の1に軽減されたことになります。また、確定申告の集計作業も驚くほどラクになったと言います。
「会 計ソフトを使っての最初の確定申告の時、どういう形になるんだろうって少し不安になっていたんです。けれども、送られてきた確定申告用のCD-ROMを 使ってみたら、申告書類が自動的に出てきてびっくり。『こんなにラクな申告でいいのかしら』って思うくらい、本当に感動しました」
「顧客管理をしっかりして、さらなるサービス向上を」
繁華街に移転して店内も以前より広くなりました |
パソコンソフトの便利さを知った才子さんは、「いずれ顧客管理ソフトも使ってみたい」と言います。
「今は余裕がありませんが、お客さまがいつ来店して何を召し上がったかを管理しておけば、次に来店された時に前回とは違うメニューをおすすめしたりできます。そうやってサービスの幅を広げていきたいですね」
最後に、これから起業を考える人に向けてのアドバイスをいただきました。
「真面目に取り組むことが一番。お客さまへの姿勢も、経理業務も、ごまかしのない気持ちが大切ではないでしょうか。そうでなければ、お客さまには見抜かれてしまうように思います」