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パエリアが評判の人気店
オーナー 荒木陽平さん |
東京の中野駅北口。南北に真っ直ぐ伸びるアーケード商店街「サンモール」の東側に並行して、飲食店が軒を連ねる「ふれあいロード」が延びています。その中 ほどに、2006年7月、スペイン料理店「La Corona」はオープンしました。28坪の店内に36席が並んでいます。
看板メニューは各種のパエリア。
「一番人気は、魚貝が入った“漁師風パエリア”(1400円)ですね」とオーナーの荒木陽平さん。10年ほど前から飲食店の厨房で働きはじめ、イタリアでも1年間、修業を積んだという腕の持ち主です。開業以来人気店となり、月商400万円前後と好調を維持。
「人気の理由ですか? 味と値段、それとスタッフの面白いキャラクターですかね(笑)。味の秘密であるダシにはちょっと自信があります」
オープンの前日に出産で帰郷
経理を任されているのは、夫人の美咲さん。
「実は、店のオープンの前日に出産で青森に帰郷しました」と言う美咲さんは、8月に出産し9月に東京に戻りました。それまでは、陽平さんがすべて一人で店を切り盛り。
「閉店後、明け方の4時に家に帰り、7時には店に出るという日々が半年間続きました」
その間、注文伝票や領収書などはためておき、1日の売上計算をしていただけ。会計処理には到底手が回りませんでした。
「それに振り向ける余力はありませんでしたし、経理は妻が担当してくれるということだったので、彼女が戻るまでは経理業務もままなりませんでした」
「いずれ法人化」で上級者用ソフトを導入
荒木夫妻は、開業当初から会計ソフトの導入を考えていたと言います。
「店を安定させたら、拡大に向けて法人化したいと思っています。そのほうが税制などでメリットがあると聞いていますので」
美咲さんの実家は、青森で飲食店を経営。駐車場込みで150坪、スタッフ15人という規模で株式会社にしています。そこでは、上級者用の会計ソフトを使用。
「親から、いずれ法人にするなら最初から上級者用を使っておけば、って勧められて買いました」
手探りで少しずつマスター
美咲さんは、東京に戻ってさっそくたまった伝票の処理を始めます。
「目の前には伝票の山(笑)。びっくりしました。最初はどこから手をつけたらいいかわからない状態。気を取り直して、まずは月ごとに分けるところから始めましたね」
会計ソフトなど使ったこともないという美咲さんは、ソフトの「ヘルプ機能」で調べたり、両親に聞きながらなんとかこなしていったと言います。
「実 際に触ってみて、最初は何がわからないのかもわからない状態。手探りでやっていくうちに、少しずつわかっていったという感じ。でも、やり方を覚えると今度 は少しずつスピードアップもできて、子どもが眠ったら、その間に会計処理、という流れでできるようになりました(笑)」
青色申告会でアドバイスを受ける
会計知識については、青色申告会に加入して教えてもらったと言います。
「会計ソフトから出力した帳票を持っていってアドバイスしてもらいました」
初年度の確定申告は「おかげですごく楽にできた」と美咲さん。
「申告書類がワンタッチで出力できましたから。当初の不慣れな時期に誤って入力してしまったものなど、間違っている箇所を教えてくれるんです。だからそれを修正するだけで済みました」
基盤を固めて多店舗化へ
会計ソフトの入力作業には数カ月で慣れたという美咲さん。今では、1日1時間程度、売上、原価、経費の入力をし、伝票との付け合せ確認作業をしています。
「せっかく上級者用の会計ソフトを買ったのに、まだぜんぜん使いこなせていません(笑)。会計ソフトをお店の安定化にもっと役立たせたいと思っています。講習会があると聞いているので、ぜひ参加したいですね」
また、陽平さんも日々の業務の中で出力データをマメにチェック。
「原価率をチェックして、仕入れのコントロールに活用しています。また、消耗品など科目ごとの状況がわかるので、無駄使いをしていないかとか見るようにしていますね」
オープンして1年。「今はまだこの店の基盤を固める時期」と慎重な陽平さんだが、今後の夢を語ってくれました。
「ま ずは月商を目標の500万円まで増やしたい。そのためには、お客さまに『あの店にいけばあの味がある』と思っていただける魅力あるメニューをつくること。 そして売り上げが固まったら、多店舗化も考えていきたい。今後は、リピートのお客さまとの関係をさらに密にするためにも、顧客管理ソフトも使ってみたいと 思っています」
店舗概要
店舗名/La Corona
開業/2006年7月
開業資金/1000万円
代表者/荒木陽平
売上高/開業1年未満につき実績なし
従業員数/5人
所在地/東京都中野区