市場規模が縮小している中、業績を伸ばしている業態。それは、消費者ニーズ の変化に対応した式を演出(個性のある結婚式を希望されるカップルが多くなったため)するビジネスです。現在では、「オリジナルウェディング」、「ハウス ウェディング」、「リゾートウェディング」や「海外リゾート」などの結婚式が行われるようになりました。そのなかの一つが地域に密着した結婚式です。例え ば、新潟県東蒲原郡阿賀町津川地区の「狐の嫁入り行列」や福島県猪苗代町の「おシンさんの嫁入り行列」などは毎年の恒例行事になり、多くの観光客が訪れて います。
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狐の嫁入り
狐の嫁入りの代表的なのが、新潟県東蒲原 郡阿賀町津川地区で毎年5月3日に開催される「狐の嫁入り行列」です。
経緯は、地元の「狐の嫁入り行列」伝説と地元の婚礼の習慣を基に、 1950年代に地元の青年たちにより開催されました。1990年代のバブル崩壊後の景気低迷や過疎化の対策として、商工会の若手商店主が中心になって、こ の行列を現代風に手直して復活しました。
開始は午後5時から始まり、白無垢の花嫁と花婿を中心に古式の装束をまとい、狐のメイクを した約100人の行列が、街の中心部の街道をねり歩きます。その他、多くの関連イベント(かわいらしい子狐たちの祝いの踊り、花婿と花嫁の対面、結婚式や 披露宴など)が行なわれます。主役の花嫁花婿は、その年に結婚するカップルを町内外から募集し、その中から選びます。実行委員は、商工会青年部、役場の職 員、婦人部で構成されています。また、行列参加者も町民の方で、当日には約500人の町民方がボランティアとして参加します。
津川商 工会
http://www.tsugawa.or.jp/kitune.htm
おシンさんの嫁入り
福島県猪苗代町の伝統や風習などを後世に伝え、さら に地域おこしの起爆剤にするために、昭和初期のお嫁入りの様子を再現したイベントです。
猪苗代町がある会津地方に毎年数百万人の観光客が訪問しますが、猪 苗代町はほとんど通過してしまいます。
そのため、どうにか観光客を止める方法はないかと観光協会が中心となって考え出された事業の一つがこの「おシンさん の嫁入り」です。
現在はおシンさんの嫁入り実行委員会により運営されています。
この結婚式は、今から約80年ほど前に嫁いだ「渡部シン」さん(当時18 歳)のお嫁入りを当時の時代考証に基づき、できる限り忠実に再現する形で、毎年6月に行なわれます。
また、「おシンさんの嫁入り」の新郎・新婦(その年に 挙式を予定、済ました方)や配役なども多くのボランティアにより支えられています。
おシンさんの嫁入り行列実行委員会事 務局
株式会社まちづくり猪苗代
http://www.bandaisan.net/oshinsan/
参考資料 → http://www.aizu-city.net/oshin/
他の例
1) 白浜で結婚式
海人祭(和歌山県白浜町商工会)では毎年6月に開 催され、夕日をバックに結婚式を行います。
2) 「かやぶき」屋敷で結婚式
愛知県額田町・千万町地区で は、300年以上の「かやぶき」屋敷とまわりの棚田・小川を拠点に田舎暮らしや農林業体験できる施設(千万町茅葺屋敷)があり、そこで結婚式も行うことが できます。
3) 坂本竜馬像前結婚式
高知県では、観光客の増加を目的に、坂本竜馬像前結婚式を行っていま す。坂本竜馬大ファンの全国のカップルを対象に、人生の門出である結婚式を、高知の坂本竜馬像の前で挙げます。
4) 熊本城下の川下りに新郎新婦が乗船
熊本城(熊本市)長塀前の坪井川で挙式したばかりのカップルが婚礼衣装で乗船し、川下り、人生の船出 を祝うイベントを実施しています。
今回のポイントは、
1.長い歴史のある地元の地域資源を活用している
2.それを地元の熱意ある有志(住民、商工会、商店等)が中核となり地域全体を巻き込んでいる
3.本文では書かれていませんが適度な公的支援(地 元の有志並みの熱意がある職員が担当)
4.「おシンさんの嫁入り」では、やる気のある方のみの委員会を作り、口火を切る
などがう まく組み合わせられて、イベント(結婚式)が盛り上がっているのではないでしょうか。