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●似て非なるITとOA
IT社会といわれる中、企業経営もITなしでは成り立たなくなっていることを実感されていることと思います。しかし一方で、企業が経営 にITを活かすことが大きな課題として取り上げられてもいます。
ITという言葉はここ10年くらいの間に出てきた用語ですが、同じような意味の言葉にOAというものがあったのを覚えているでしょうか。 Office Automationの略で、企業の情報化がもてはやされた時に使われていました。それこそ20年以上の年季がある言葉です。
筆者はOAとITがオーバーラップしている頃に社会人になりましたが、“OAの時代”に起こっていたことを見聞きしてはっきりと言えるのは、OA とITは似て非なるものであるということ、そしてITを捉えるにあたってその違いをあまり意識されていない方が案外多いということです。
●ITとOAの比較
ここで、簡単にですが両者を比較してみましょう。まずOAについて。
・OAは、業務効率化が目的です。
OAは、人が行うのでは面倒な事務処理をコンピュータやらせることできるのが最大かつ唯一の
効用でした。おかげで定型業務を効率化することができました。
・OAは、電気屋で買ってくることができます。
OAは、ワープロやFAX、コピー機などの個別の電子機器で実現することができるものです。
そのため、(感覚的に)電気屋でそれらを買ってくるだけで実現できました。
・OAは、自由度が高くありません。
すでに機器として売られている都合上、それを自分に使いやすく改造することができません。
よって自由度はあまりありません。
同じ観点で、次にITについて。
・ITは、さまざまな目的で活用されます。
ITは、業務効率化に使われることはもちろん、情報共有やデータ分析など、
さまざまな用途で活用できます。その目的と方法は企業により千差万別です。
・ITは、電気屋には売っていません。
企業が経営上実現したいITは、設計して作るしかないことが多くあります。
パッケージでよい場合もありますが、それでも買ってすぐ使えるわけではありません。
・ITは、自由度無限大です。
パソコンやサーバーはただの箱であり、その中に好きな機能を実装することができますので、
自由度は無限大です。
●なぜ課題は課題のままなのか
実は、“OAの時代”にも、情報システムを経営に活かすという議論はなされていました。しかしこの時代は自由度が低い分かなり高度な話で、実際に 実践できた企業は大企業を中心にごく少数でした。
一方、現在に至っては、インターネットなどのネットワークが普及して情報の流通コストが激減し、技術革新やオープン化によってハードやソフトが低 価格になった結果、アイデアひとつでITを経営に活かしやすくなっている「はず」なのです。
しかし、今になっても「ITを経営に活かす」ことは大きな課題のままです。なぜでしょうか?それは多くの企業がその手順を知らず、さらにはそれに も増して「ITを経営に活かす」ことにこだわりを見せないからだと思われます。
別にこだわらなくても満足な収益が上がれば、それでもよいでしょう。しかしITで差がつく業界の場合、ITにこだわっている企業は間違いなく「底 力」が違います。
あなたの会社は、OAの域を脱していますか? 不安な経営者の方は、ぜひこの「中小企業向けのIT戦略」カテゴリのHow To記事で、「ITを経営に活かす」方法を研究してみてください。