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●金額ベースでのIT投資判断の限界
IT戦略やITシステム構想を固めるにあたっては、それに対してどのくらいの投資が必要なのかを考える工程を外すことはできません。投資 評価は並行して実施します。
「投資」というと、すぐに費用対効果の金額ベースの算定が頭に浮かぶと思います。しかしIT投資の場合、そ れだけを基準にして評価すると、本来実行すべきと思われることでも実行できないという判断が出る場合が多々あるものです。では、金額ベースで利益が明確に 見えないのなら、やはりIT投資すべきでないのでしょうか?
答えはNoです。例えば新規事業に対するシステム投資の場合、収益算定はあ くまで予測のはずです。また、顧客の購買情報分析システムや情報セキュリティ対策などの場合、それ自体は利益を生みません。もし金額ベースだけで判断する なら、こういったものに投資が一切できなくなります。
●IT投資・5つ のオプション
では、投資判断に当たってはどのように考えればよいのでしょうか?それには、IT投資に種類があることをまず知り、それぞれの特徴を踏ま えて投資判断することが必要です。
●戦略投資の考え方
IT投資のなかで判断がもっとも難しいと思われるのは、いわゆる戦略投資です。その理由としては、短期的に効果を見込みづらいことなどが挙 げられます。このような投資形態の場合は、より経営戦略が重要です。収益予測が立てにくいわけですから、少なくとも効率のよいシステムを導入できるように しっかり「構想」し、コスト判断できるようにします。
●ITコストとは
ここで、IT投資にかかるコストの種類を見ておきましょう。大まかに分ければ、次の4種類です。
・開発コスト
・運用コスト(システム更新、ネットワーク、リモートアクセスなど)
・保守コスト(ベンダ保守、アウトソースなど)
・社内人件費(労働、教育など)
このなかでもっとも忘れがちなのが、社内担当者の人件費です。その他、IT化に伴う周辺投資の算定を忘れないでください。
●投資判断の基準を決めておく
経営者はつねにこうした投資判断を迫られるわけですが、確実かつ迅速な判断のために、あらかじめ投資判断の基準をつくっておくことをお薦めしま す。
内容は企業によってさまざまあると思いますが、例えば次のような判断項目があるでしょう。
・経営方針との 整合が取れているか
・実行時期が適切か
・IT導入で変わること、変わらないことが明確で妥当か
・規模と費用は妥当か
・実行体制、運用体制は明確か(業務担当とIT担当がうまく連携できるか)
・リスクは何か