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●なぜ目標が必要か
IT戦略を立て、投資を行うからには、成功しなければなりません。
では、何をもって成功と見なすのでしょうか?その判 断基準となるのが「達成目標」です。
目標をあらかじめ設定することで、取り組みに対する社内での共通認識を醸成でき、システム構想・構築時点 での事前評価やシステム運用開始後の事後評価に活用でき、そして評価によって浮かび上がった課題を改善していくことができます。
従って 達成目標は、誰でも評価が容易にできるように、なるべく数値化することが重要です。ただし、何でも定量化できるわけではありませんので、IT化の目的に応 じて定性的な指標をつくることもありえます。
●どう目標を立てるか
では、どう目標を立てるかですが、始めに立てるべき目標は「経営目標」です。これは経営者が立案し、トップダウンで社内に示します。
そして経営目標の内のIT化に関する目標については、経営目標を参照しながら、システム化検討と合わせて担当レベルで設定します。もちろん、経営目標と整 合しているかについて経営陣の承認は必要です。
なぜ担当者に決めさせるのでしょうか?一番大きな理由は、目標が「上からの押し付け」に ならないようにするためです。押し付け感が出ると社員は「やらされている」と感じますから、うわべだけの数値目標になってしまう懸念があります。人間は、 自分で決めたことは自分で守ろうとするものです。
その意味で、目標設定のコツは、網羅性や客観性よりも、関係者間の納得性を重視するこ とです。また、できるだけシンプルで絞られた目標にして、評価を追いやすいようにすることも重要です。
●どう管理するか
目標管理の仕方は、企業によってやりやすい方法を取ればよいと思いますが、ひとつだけ押さえておきたいことは、「経営陣が各指標の達成 状況を必ず定期的に把握すること」です。例えば、IT活用方針を策定する検討チームの定例会議の中で、適宜目標達成状況を確認することができると思いま す。
ただし、目標設定は「改善」に繋げるためのものであって、犯人探しをするためのものではありません。どんな方法を取るにせよ、適切 に管理し定期的に評価して改善につなげる(PDCAサイクルを回す)ことが何より重要です。