システムを具体化する最終段階は、システム化計画の立案です。
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●どういう 順に作りこむか
複数のシステムを立ち上げることになった場合、何をどの順番に構築していくのかを想定します。
この決定には、担当者 のアサインなどの都合、構築期間、システムの必要性や優先度、並行作業の可否、構築推進上のリスクや初期運用時のリスクなどが関わってきます。
●大凡のコストを把握する
合わせて、構築するシステムに対する大凡のコストを把握します。この段階ではあくまで概算レベルで把握すれば問題ありません(逆に、こ の段階で正確には算定できません)。
概算の方法は、その企業に豊富な経験がある場合には社内である程度算定可能ですが、見当がつかない場合はベンダにヒアリングを行います。その場 合、RFI(Request For Information:情報提供依頼書)という文書に情報をまとめ、発注前提ではないことを明示して複数の候補ベンダにヒアリングをかけます。
●全体スケジュールを決める
システムの構築順、経営目標としてのシステム必要時期、IT化以 外の対応スケジュール(業務プロセス上の対応、教育訓練、移行作業など)などを踏まえて、全体スケジュールを組みます。
場合によって は、経営目標に合致したスケジュールにすべきか、システム構築に余裕を見るべきかといった選択を迫られることもありえます。このような場合は、リスクとリ ターン見合いで経営者がどうすべきか判断します。
●社内の責任所在を明確にする
スケジュールの策定と同時に、開発体制を明確にします。
このとき重要なことは、IT担当だけでなく業務担当も巻き込ん だ責任体制にすべきことです。これまで仕様策定のなかで、業務担当も参画して対応策を練ってきているはずです。ですから原則としては、システムによる経営 目標達成の責任は業務担当が負い、業務担当と連携してシステムを設計し遅延なく作りこむ責任はIT担当が負うべきです。それでいながら、業務担当は単にシ ステム開発を見ているのではなく、IT担当は単に業務担当の御用聞きをするのでもない、双方が一体化した体制が理想です。
ときどき、 ユーザー企業とベンダとの間での責任範囲の認識の欠如やコミュニケーション不足でシステム構築が破綻することがありますが、同じことが社内の業務担当と IT担当との間にも言えるので、注意が必要です。
●経営者は必ずレ ビューする
最終的に完成したシステム計画書は、経営者がレビューします。計画策定時点では担当レベルで決められない事項も多々ありますので、経営 者は重要事項の報告を受けながら必要なオプションの選択を行い、最終的なシステム計画とします。当然、当初定めた経営目標との整合性の確認も重要です。