- 目次 -
●スムーズな調達を進めるために
RFPの提出は、ベンダ選択のためにありま す。RFPを受けてベンダから提案をもらい、最適と思われるベンダを選択し、契約に進みます。
ベンダは案件を獲得しようと必死でよい提 案書をつくろうとしますし、よい話を持ってきます。そうするとついついユーザー側は、ユーザーとベンダとは主従の関係にあると錯覚しがちです。
しかしこれは大きな勘違いです。ベンダはユーザーにとって「パートナー」であり、このプロセスは「パートナー選び」なのです。
自社に開 発技術がなければ、どれだけユーザーが要件を完璧に洗い出したとしても、システムとして具体化するにはベンダの専門技術が必要になります。ベンダには、そ の道のプロとして実力を発揮してもらわなければなりません。そしてシステムを構築した後も、運用保守の面でシステムを見てもらわなければなりません。
依頼して以降長い付き合いになる可能性があるわけですから、ユーザーとしてもベンダには惜しみなく力を出してもらい、継続して高いパフォーマンスを発揮し てもらいたいはずです。主従関係で付き合うと、ユーザーは何かと自らにばかり都合のよい要求をするようになりがちで、関係悪化に繋がりかねません。それよ りも対等なパートナーとして付き合い、お互い敬意を払ったほうがずっと効果的ではないでしょうか。
つまり、ユーザーの役割とは、自社に 最高の貢献をしうるパートナーを選び、最高のパフォーマンスを発揮してもらえる環境を整えることなのです。その代わり、ベンダにはITのプロとして相応し い先進性・対応・技術力・パフォーマンスを求めてください。
間違っても、「カネを払っているのだからこちらが上」などという態度を取っ てはなりません。
●RFP提出からベンダ決定までのフロー
では、RFP提出以降のフローを説明しましょう。
1.提出
RFP完成後、提出からベンダ決定までのスケジュールを頭に入れ、複数のベンダに声をかけて
RFPのプレゼンを行います。 2.RFPに関する質問
受付ベンダ側もその場では提案できませんから、一旦持ち帰って検討となります。
そのなかでRFPのプレゼンの際には出なかった質問が出ますから、それを受け付けます。
メールで適宜受け付ければよいでしょう。ベンダの検討期間は、システムの規模にもよりますが、
2週間程度のケースが多いです。 3.提案書プレゼンの開催
ベンダによる提案書のプレゼンを実施します。ベンダ側のキーマンに参加してもらい、
提案書を説明してもらいます。 4.技術評価
ベンダのプレゼン後、提案書を精査し、不明なところは質問します。その上で、
提案書をベースに自社の要件をどのくらい実現してくれるかについて評価します。 5.決定通知
技術評価の結果を踏まえ、社内で最適なベンダを決定し、プロジェクトの責任者など
ステークホルダーの承認を得て、ベンダに正式通知します。RFP作成から決定通知までは、
2ヵ月程度となることが多いと思います。
次の事例は、業務フローの見直しからベンダ選定までをどのように実施したのかがダイジェストで紹介されていますので、参考にしてみてく ださい。
<関連事例>
アデランスが20億円を投じた新統合情報システム「SCRUM」
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/JIREI/20070618/275031/
●予算は言うべきか?
RFPをベンダに提示したとき、予算について聞かれるかもしれません。
ITシステムというのは、やろうと思えばどれ だけでもこだわってつくることができます。そのためベンダにしてみれば、予算範囲を聞いた上でその範囲でもっとも質の高いシステム提案をしたいと考えるわけで すが、ユーザー側からしてみると、予算を言ってしまうのは何か先に足元を見られてしまうように感じるので躊躇すると思います。
ユーザー の対応としては、どちらでもよいと思います。要件設定にも費用予測にも自信があるなら、戦略的に予算を告げることもできるでしょうし、どのくらい費用がか かるかわからないから不安であれば、告げなくてもいいと思います。