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●システムをモニタリングする2つの理由
ここからは、システムを利用開始した後の作業、すなわちシステムの運用に関するポイントをお話します。まず最初は、システムのモニタリン グについてです。
システムをモニタする理由には、大きく2つほどあります。ひとつは、IT活用の方針を立案した時点で確立した達成目標 の実績を確認してPDCAサイクルを回すことです。もうひとつは、システムの状態を把握して運用上の問題を早期把握することです。
シス テムというのは、スイッチを入れて動作を開始したら後は放っておけばよいものではありません。つねに状態を把握しておくべきものです。特に、そのシステム が顧客向けのものであった場合、社内で何の監視もしていないと、顧客からの通報で初めて問題が発生したことを知ることになります。これは、サービスを提供 する企業としては最悪です。必ず社内で早期発見できるように努めてください。
●達成目標のモニタ
達成目標のモニタについては、あらかじめ設定した項目について指定された間隔で実績を把握します。
一番楽なのは、測定 する指標の実績について自動的にシステム内で記録させて、担当者は定期的にそれを見に行くだけにすることです。ただ、項目の性格や予算の関係でそこまでで きない場合もあります。自動取得できなければ、何のデータをもとにどうやって算出するのかを決めて実績を取ります。手作業になりますが、あまり工数がかか らないようにしたいものです。
また、記録した指標を担当者からどこに報告するのかという業務フローはあらかじめ決めておきます。最終的には経 営者のところに報告が入り、IT活用の方針と経営目標を達成できているか評価され、必要に応じて改善策が検討されるようにします。
●システムパフォーマンスのモニタ
システムのパフォーマンスおよび障害兆候については、システムが生成するログなどをもとに把握します。
パフォーマンス については、システムによって見るべき項目が多少異なりますので、何を見れば把握できるのかをIT担当が見極めて、監視対象としてシステム仕様に含めてお きます。
障害兆候については、見るべき項目はほぼ定番です。もっとも基本的なのは死活監視、細かいところでは例えばCPU異常・メモリ異 常・ディスク障害・ネットワーク障害・ソフト動作異常などです。EC系サイトの場合ならコンテンツ監視などもあります。障害監視についてもIT担当が見極 めてシステム仕様に盛り込んでおき、詳細はベンダと調整すればよいでしょう。
いずれにしても、見るべき項目を明確にして、通常運用でど のように監視するかを決め、通常業務の一環として標準的に監視することが重要です。
●アウトソースする場合のモニタ
一方、ASPやデータセンター業者にシステム運用を委託する場合は、委託業者がこういったモニタを行うことになります。
しかしながら、業者で実施する監視業務は、定型化されていることがほとんどです。障害監視については一応実施してくれると思いますが、自社が望むすべての 項目ではないかもしれません。また、達成目標の監視は自社で対応しなければならないでしょう。
ですので、運用の委託をする前に、アウト ソーサーの監視体制を把握する必要があります。何をどのように監視してくれるのかを調査し、業者選択のための情報とするのです。一定規模以上のシステムで あれば(小規模では無理でしょうが)、業者によっては毎月などの単位で監視レポートを提出してくれるケースもあるようですので、そういった監視サービスの 有無も調べます。このような調査の結果から、予算とサービス内容を勘案して条件のよい業者を選択してください。