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経営者にとって理想の「ITシステム」とは?
「ITにはこんなにコストがかかるものなのか?」「ITを入れても効果があったとは思えない」と漏らす経営者が続出しています。結果的に「ITはよくわ からん」となってしまうケースもよく聞くものです。
経営者は「ITシステム」を導入するに当たり、何を期待するでしょうか?始めにちょっ と整理してみたいと思います。ここでいう「ITシステム」とは、「(規模の大小を問わず)企業内または顧客など、複数の人に利用されることを目的とした情 報通信システム」と考えてください。ここでは個人で占有するPCなどは範囲外です。
IT導入に望むものはいろいろあるとは思いますが、概 ね次のことに集約されるのではないでしょうか。
・ITシステム導入で、思ったとおりの効果を得る(業務効率化など)
・無駄な コストをかけずに、安くてよいITシステムを導入する
・ITシステムを駆使する、競争力の高い会社になる
しかし現実は、こ の理想とは程遠い状態になってしまっている場合も多いのです。
うまくいかない原因は「構想不足」
原因は何でしょうか?実は、ITシステムには「ユーザーの考え方しだいでコストも効果も変わる」という特性があります。コストはユーザーの要件しだいで決まり ますし、さらに、導入することによるリスクへの対応にもコストが必要です。価格が決まっているように見えるパッケージソフトでさえ、利用者が使い方に慣れ る必要がある点でコスト増になる可能性があります。
一方、ITで困っている経営者の方のお話やトラブル事例を耳にすると、ユーザーである 企業自身がどのようなシステムが欲しいのかを具体的に考えないといけないという認識はどうも薄くて、次のような発想をしているように感じるのです。
「ITを使いたいイメージが湧く」 → 「(ベンダへ)調達に動く」
この発想だと、ITベンダとは「イメージ」で話をすることになりま す。ユーザーがどういった点でIT化を望むのかといった内情を知らないITベンダにとって、「イメージ」だけですべてを理解するのは至難の業です。そのま ま行くとどこかで行き違いが起きて、その結果「要らない機能がたくさんついてきた」、「思ったとおりのシステムではない」などということになります。
これではITを入れても効果が見えないのは当然です。こうならないためには、
「ITを使いたいイメージが湧く」 → 「使うための構想を 練る」 → 「(ベンダへ)調達に動く」
というように、ユーザーが「構想を練る」段階が必要なのです。「構想を練る」とは、自分たちの利用 シーン、導入リスクの想定と回避方法などを具体化することを言います。会社の役に立てるにはシステムがどうあるべきか考える、というわけです。こうすれ ば、想像と違うものができる可能性も低くなりますし、ITベンダにも話がとおりやすくなります。コスト算定や効果度の予測も、より容易になるはずです。