- 目次 -
担当の言うことが信用できない?!
ITシステムにはなにかと 大きなコストがかかるものです。そのため、経営としても導入すべきか否かをその都度判定することが欠かせません。
しかしながら、IT担当から 「こうしたIT導入が必要です」と言われても、経営サイドとしてどうも納得がいかないことが多くあるようです。ITアレルギーを頑張って押しのけて「なぜ これがよいのか」「このコストは妥当なものなのか」と聞いたとしても、いろいろと専門用語を並べて説明され、内容がよく理解できないからです。
結局はよくわからないまま、「最善の選択だと言っているのだから」ということで承認してしまうわけですが、本当によかったのか不安は残ります。筆者自身も 過去に、「実を言うと、その説明があまり信用できていないんだよね」と本音をおっしゃる経営者にお会いしたことがありました。
『技術評価表』で論理的に判断
このような場合、説明がよく理解できないのは経営者の知識不足 の問題よりも担当者のコミュニケーション不足の問題のほうが大きいと筆者は思うのですが、それはさておき、一般的に相手の話に納得ができ ない大きな要因の一つは、お互いに自分の「感覚」で議論していることだと思われます。
こん なときには、なるべく評価のフレームワークを同じくして話をすることが重要です。
そこで役立つ説明資料のか たちとして、『技術評価表』というものがあります。これは、企業がシステムによって実現したい要件ごとに、その実現度 を段階評価して点数付けを行う評価一覧表です。最後にすべての評点を合計して総合点を算定し、評価を行います。複数のIT業者に見積もりを出したときにそ れらの提案を比較するのに重宝するので、必ず活用したい評価資料です。
経営者は、担当者が作成した技術評価表を参照し、目的や重要性を踏まえて どのような評点を付け、選定の結論に至ったのかを、表の項目をもとに検証するようにします。ただし、経営者はその検討にあたり、経営としてシステムで何を 実現することが目的なのか、どんなことを達成することが重要なのか、などのポイントだけは押さえる必要があります。できれば、あらかじめ経営のほうから、 どのような評価項目を入れてほしいのか担当に伝えておくほうがよいでしょう。
技術評価表なので専門用語はどうしても混じりますが、目的や重要項 目を押さえられていれば、その点を中心に比較状況を確認していくことができます。また納得のいかない評点付けがあれば、容易に指摘ができるはずです。ただ しここでは、点数自体にとらわれるのは正しくありません。加点方法や点数の重みづけしだいで数字は大きく変動しますから、点数はあくまで相対評価のための指 標と捉えましょう。
このように、評価のテーブルを明らかにして議論することでコミュニケーションしやすくなり、必要性の判断もしやすくなるはず です。