経営を成功に導くIT Vol.29 狙えばできる!自社システムが「業界標準」化することも!?

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
前回、優れたシス テムなら他社に売れる、というお話をしました。今回はそれをさらに発展させて、「業界標準」にまで発展させてしてしまおうというお話です…

「楽できたらいいな」を発想する

   「他社に売る」を超えて「業界標準」にまでなると、確かに大それた取り組みです。しかし、意外と身近に、そのネタが隠れているかもしれません。

   29_1「業界標準」は、他にも「デファクト(・スタンダード)」と呼ばれることがあります。昔は国際標準として会議で規格が決められる ことが多くありましたが、最近はあらゆるデファクトが、市場での評価で決まっています。
 

 その成り立ちはさまざまですが、一つの 要因として「楽をしながら、すごいことをしたい」というものがあります。つまり、「簡単でいながら素早く、かつレベルの高いことができるようになる といいな」という思いから出てきているものが多い、ということです。
 

 その思いが業界全体で共有される ようなものなら、それは「業界標準」になりえます。

 

例えばこんな話

 次の事例は最近の話で、今は業界標準にはなっていないようですが、ぜ ひその方向で取り組んでほしいと感じるものです。
 

 セルートというバイク便の会社があります。同社では最近、GPSを活用したバ イク便の配車システムを開発し、現在サービスの全国展開を始めています。
 配送業者やタクシー業者などが位置情報を活用する仕組みは、最近では珍 しくありません。しかし、バイク便では他の運送業界と少々勝手が異なります。まず、オートバイなので基本的に渋滞に巻き込まれません。しかし一方で、道路 によってはオートバイが走りにくいケースもあり得ます。逆に、普通車では入りにくい経路の選択もできるかもしれません。その条件でもっとも顧客に近い車両を選 択しなければならないことから、バイク便の配車業務は「職人技」と言われるほど属人性の高いものなのだそうです。29_2

 それを、システムにしてしまったというのです。これによって、最適な車両が自動的にリストアップされ、誰が配車 をしても業務品質が一定になり、属人性が解消されます。配車精度によるコスト変動も小さくなるため、料金も設定しやすくなるでしょう。他にもメリットはた くさん考えられます。

 こうした「ノウハウの仕組み化」は簡単ではありません。同じ業界の関係者なら、こうした仕組みをぜひ自社も使いたい と思うはずです。それだけに、もしこの取り組みをどんどん開放して業界他社を取り込んでいけば、「業界標準」として業界にインフラを築くことにつながるシ ナリオが想像できるわけです。

 

「標準」をつくるのに必要なこと

  「業界標準」で成功した事例と言えば、Windowsです。Windowsの今の位置づけを見れば、いかに業界標準になるとすごいか、理解できるのではな いでしょうか。

 こうした取り組みは、企業にとって極めて戦略的なものです。成功させるには、やはり難しいハードルがあります。

  例えば、属人的なノウハウを標準的ルールに焼き直せる「論理的客観性」が必要になるでしょう。システムは、ロジックの 塊です。あらゆるケースを想定してルールにしきれるかが問われます。

 また、「オープン化」が必須条件になるで しょう。つまり、構築したシステムの必要部分を外部に開放することが前提になるわけです。このとき、ビジネスとしてどういった「オープン化」が望ましい か、どうすれば他社に使ってもらえるか、考慮しなければなりません。

 いろいろ考えられますが、いずれにせよ、よほどの先行者利益がない限 り「たまたま業界標準になる」ということはほとんどありません。「楽したい」ネタがあったら、ぜひ積極的に膨らませてみてください。

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