経営を成功に導くIT Vol.34 SaaS選択の「目利き」に必要な4つの視点とは?

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
前回に引き続き、 今回もコスト削減に関する話題を取り上げます。今回は、コストを抑えたシステム構築で話題に上がることが多いSaaSをどう活用したらよいかです…

SaaSへの注目は依然上昇中

 34-2当社では経営者向けにメール経由でITに関するご質問にお答えするサービスを行っているのですが、その中で最近典型的な質問が、 SaaS(Software as a Service)やクラウド・コンピューティングに関するものです。

 コスト削減を迫られている 折、SaaSやクラウド・コンピューティングによって「持たざるIT」を実現するというのは、ユーザー企業にとって魅力的に映ると思います。確かに、初期 コストが低く抑えられ、すぐに利用を始められる手軽さもあります。しかし、世の中そんなに簡単にうまくはいかないものです。

 

 

 

 

SaaS選択の「目利きのポイント」

 SaaSは、結果的にはシステムの外部委託ですから、自 社に合った業者をしっかり見極めなければなりません。このとき、何を見て選べばよいかを意識していなければ、どの業者のサービスも良く映ってしまうもので す。

 そんな時に役立つ「目利きのポイント」を、ここで4つご紹介します。これらは、業者の広告や口頭での説明には表れないこともあります から、意識するとしないとでは大きな違いがあると思います。34-1

1.   サービスレベル

 サービス保証条件として SLA(Service Level Agreement)というものが提示されることがあり、SaaS業者は99.9%という数字をよく出しています。一見よさそうな数字ですが、計算する と、年間でおよそ8.5時間は停止するかもしれないということを意味しています。また、SaaSでは、業者側でシステ ム障害が起こる、万が一業者が倒産する、などすれば、サービスは突如として停止します。その意味で、業者の事業基盤の安定性は極めて重要です。

 

 

 

2.   契約内容

 システムを外に預けることで、データも外に預けることになります。契約以前に、自社としてそ れで問題ないと判断するかどうかがポイントです。その上で、業者の情報セキュリティ管理に納得がいくかを(出来れば実際に)見ることが必要です。さらに、 契約更新時や契約解除時の条件も、重要な確認のポイントです。

3.   機能

 SaaS はカスタマイズができると言われますが、どの程度できるか、できない部分に我慢ができるかを、あらかじめ判断しておかないと後悔します。試用版な どで実際に使い勝手を試せる業者だと、この点を評価できます。

4.   コスト

  月額制や年額制を取る形態なだけに、本当に安いのかどうかは、5年程度の期間のトータルコストで比較することが妥当です。トータルコストに は、人件費や労務費も含まれます。実際に計算したときにSaaSが自社開発を上回る可能性もあり得ます。

 

リスクとコストを見極める

 SaaSに代表されるクラウド・コンピューティングは、近年サービス や品質が充実してきています。しかしながら、まだ何でも任せられる状態とは言い難いと思います。依然として「ちょっと試したい」「小さく 始めたい」などのニーズを満たすのにベストな選択であるのは変わりません。

 もちろん、上手に活用すればコストが激減す ることも十分あります。しかしそれは、使う側の使い方しだいです。今後の中長期的な方針をまず検討し、目先のメリットだ けで判断しないことが、ユーザー企業には求められるのです。

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