Vol.7 監査法人をはじめとするその他のパートナーの役割

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
IPOに関する監 査法人の主な役割は「財務諸表監査」です。申請会社 は、各証券取引所の上場規則等により、証券取引所への申請書類に含まれる財務諸表について、監査法人が作成した監査報告書を添付しなければなりません。こ の監査報告書は、原則直前事業年度および、直前々事業年度の2事業年度分の財務諸表について必要になります。したがって一般的には、上場申請を行う事業年 度の3事業年度前に監査法人を選定することになります。

 

監査法人の役割

 「財務諸表監査」以外の監査法人の役割としては、主幹事証券会社と同様 に、社内管 理体制の整備や、ディスクロージャー体制について指導・助言を行います。主幹事証券会社が上場会社としてのあるべき管理体制全般を整備する公開準備指導を 得意とするのとは異なり、監査法人は会計のプロフェッショナルですので、主に経理業務周りの支援を得意としています。そのため、IPOを目指す初期の段階 で監査法人を選定し、まずは申請会社の社内管理体制および、経理業務まわりの体制整備状況を確認する「短期調査(ショートレビュー)」を実施し、各管理体 制の問題点を洗い出します。その結果を受けて、監査法人と連携しながら経理業務まわりの体制を強化することをお薦めします。経理業務の改善がひと段落した 後に、本格的にIPOを目指す段階で主幹事証券会社を選定するのが望ましいといえます。

株式事務代行機関の役割

  株式事務代行機関とは、申請会社の株式事務、例えば増資・株式分割などを実施した際の株式事務や株主総会等の実務を支援する機関をいいます。具体的には証 券代行会社や信託銀行が該当します。公開会社は名義書換代理人の設置が義務付けられているため、上場申請までに株式事務代行機関と契約を締結し、株式事務 を委託する必要があります。

 株式事務代行機関の選定にあたっては、コスト面での比較だけではなく、株式事務や株主総会運営等の実務支援の 能力をも基準にされるのが望ましいです。

印刷会社の役割

 IPO 時における印刷会社は、有価証券届出書や目論見書等の印刷に加え、公募・売出にかかわる株券の印刷などの役割を担っています。また、単に目論見書等の印刷 のみではなく、有価証券届出書等の記載様式や開示ルールの改正等の情報を提供してくれます。そのため主幹事証券会社や監査法人の指導により作成した書類 を、最終的に印刷会社にチェックをお願いするなど、公開準備の実務面で申請会社をサポートします。

 印刷会社の選定にあたっては株式事務代 行機関と同様に、印刷物の作成にかかわる費用等に加えて、後段の情報提供能力やコンサルティング能力をも選定基準にされると良いと思います。

IPO コンサルティング会社の役割

 IPO コンサルティング会社は、主幹事証券会社や監査法人のセカンドオピニオンとしてアドバイスを提供します。上場審査のスタンスや問題の解決方法は、各証券会 社の引き受けスタンスにより異なってきます。そのような場合、IPOコンサルタントに主幹事証券会社の取っているスタンスが正しいのか、主幹事証券会社の 提案してくる解決策以外の手段はないのかなど、申請会社側のスタンスから「セカンドオピニオン」を提供します。

 また、アドバイスだけで はなく 申請会社とともに、社内管理体制の整備作業や申請書類の作成などの公開準備作業の実務を支援します。一般的に主幹事証券会社や監査法人は指導・助言を行う のみで実作業は行わないため、社内の人材が不足している申請会社においてはIPOコンサルティング会社の支援を受けることも有用です。

  IPO コンサルティング会社の選定にあたっては、構成メンバーが主に証券会社出身者なのか、監査法人出身者なのかにより得意分野が異なってきます。証券会社出身 の会社の場合は、主幹事証券会社が提供する公開指導とほぼ同様のサービスを提供可能です。しかしながら、経理業務等の整備などは監査法人出身のコンサル ティング会社の方が得意とするのが一般的です。申請会社が支援してもらいたい業務内容によってIPOコンサルティング会社を適切に選定する事が必要となり ます。

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