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代表的な成功例 You Tube
YouTubeは2005年2月、スティーブ・チェン氏とチャド・ハーリー氏の20代の若者によって創業されたベンチャー企業です。
その動画配信サービスは瞬く間に世界的な大ヒットとなり、設立からわずか1年8ヶ月後の2006年10月、あのGoogleが2000億円で買収をおこない、創業者の2名はそれぞれ(Google株式で)400億円程の大金を手に入れることになりました。
2名の若者が始めからGoogleへの売却を想定していたかどうかは、本人たちにしかわかりませんが、いかにもシリコンバレーらしいサクセスストーリーです。
米国のベンチャー企業は、その多くが日本と異なりM&Aによって大手企業へ売却されます。これは株式公開を断念した結果ではなく、M&Aの方がより有利でスピーディーなExitを可能にしているからに他なりません。
一般的に株式公開をする為には、事業の成長性はもちろんのこと、永続的な黒字を達成することで企業の継続性を確保し、内部管理の強化をおこない、監査法人や証券会社、弁護士等への高い報酬と膨大な時間をかけて公開準備が必要です。
M&Aならば利益は不要
年々ハードルが高くなる株式公開とは違い、M&Aの場合には買収する側の大企業がすでに備えているので、必要以上の内部管理や肝心の営業利益をも必要としない場合が多いというメリットがあります。
YouTubeは、多くのネット産業の大手企業が、のどから手が出るほど欲しい膨大なPV(ページビュー)やコンテンツ資産を世界中から獲得することに全精力かけた結果、記録的短期間で、かつ歴史的に巨額なExitを実現しました。
この背景には、設立当初から営業利益を度外視し、プロモーション費用とシステム開発という赤字を出し続けながらも、その費用を売り上げで回収するのではなく、M&Aで回収するという資本政策(事業計画)があったのだとおもいます。
これからのベンチャー企業の役割
米国では大手企業が既存の商品やサービスを徹底的に世界展開しながら巨大化する一方で、ベンチャー企業はいままでに存在しなかった斬新なサービスや新しい技術の開発を担い、M&Aによって大手企業の一部に取り込まれるケースが日常的に行われています。
日本の大手企業は、中小企業の技術をタダで使うとか、目立つ企業をたたいたり、共存が難しいというネガティブなイメージがありますが、新興株式市場が低迷する中で、今後は米国のようなM&AモデルのExitが増えていくと思いますし、大いに期待しています。それにグローバル経済の波は今後も加速する一方だとおもいますし。ひょっとしたら優秀な技術やサービスを保有するベンチャー企業には、海外の大手企業から直接M&Aをされる時代になるかもしれません。