資本政策 Vol.01 株式公開にこだわらない資本政策とは

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
株式公開に頼らずに株主へ出資した資金を返す方法とは、いかなるものなのでしょうか。 さっそくですが、未公開企業における株主へのリターンについて考えてみましょう。

1 継続的な利益配当

 毎年の税引き利益を株主に分配することです。ベンチャー企業の多くは内部留保として利益配当を行わず、その利益を事業に再投資するケースが多いのですが、「株主に配当を出す為に利益を上げる」という極めて基本的な考えに立ってみましょう。

 融資によって得た資金は、一定期日ごとに、利益が出ようが出まいが必ず返済をおこなう義務がありますが、株主への配当は原則として利益の分配です。すなわち赤字では一円も返すことが出来ません。あなたの企業が自分や親族で株式を保有しているのであれば、節税の為に赤字を出すことも必要でしょうが、あなたの企業の将来性を買ってくれた株主は、配当を期待しています。その為に利益を上げる計画書になっていることが基本です。

 しかしその配当原資である利益については、(株主が)配当として課税されるくらいなら、次のビジネスに利用して、さらなる利益を上げてくれる期待があれば、配当をおこなわない事も可能です。

 

2 事業シナジーによる利益貢献

 配当や売却益を期待せず、事業シナジーを期待して投資してくれる出資者もいます。事業シナジーとは、お互いの事業が相互に取引上の利益をもたらす状態を指します。

 あなたの会社の事業と親和性の高い企業であれば、技術や販売権の独占的な提供などによって、株主の会社に対し取引上の利益貢献ができるかもしれません。資本政策では、この事業提携などを説明することで、お金を出してくれるかもしれません。

 実際に、多くの事業会社が技術系のベンチャーに投資しています。ベンチャーキャピタルは一般的に期限のあるファンドを運用しており、期限内に売却して利益を上げることを目的に投資をおこないますが、事業会社は期限の無い自社の資金で投資を行います。

 技術的な企業に限らず、みなさんの会社が特殊なコンテンツや、多くの会員を保有するサービスを運営するのであれば、事業シナジーで株式による資金調達も可能かもしれません。

 

3 第三者への譲渡

  2~3年後に第三者へ譲渡するプランも検討してみましょう。ここで述べる第三者とは、外部の新たな株主をはじめ経営者や発行体(会社)による買取りも含みます。

 増資に応じる株主は融資と違い、いつ、いくらで買い取るという約束はできません。だからこそ資本政策にはその株主が売却できる計画も盛り込むべきです。数年後に事業が軌道に乗れば、経営者が買い取ることも可能かもしれませんし、株式公開を前提としてベンチャーキャピタルに譲渡をすることもできるかもしれません。

 特に出来たばかりの会社に対し、大切なお金を出資する立場(エンジェルと言います。まさに天使ですよね。)から見れば事業が一定の水準に達したところで、その利益を要求したくなります。

一般的に、ベンチャーキャピタル(VC)はある程度、事業が成功した段階で無いと投資をしてくれませんから、この時にエンジェルの持分(持っている株式)の一部をVCに譲渡してもよいと思います。

 設立間も無い企業へ投資してくれるVCもありますけど、ちょっと最近は減っているようですね。思い切って私に相談してください。なんとかなるかもしれませんよ。

 ひとつ重要な注意です。エンジェルが皆様のお友達や親戚である場合、注意が必要です。「資本政策上で数年後にVCに売却する。」と記載してあっても、それは努力目標です。それを理解してくれる株主からお金をだしてもらいましょう。お金に絡む問題は人を変えます。オーバートークは厳禁です。

 

 次回からは持分比率や株価などについて考えてみます。お楽しみに。

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