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日次決算を取り入れよう!
経営の最小単位である「日次」ベースで経営数値を可視化することで、経営上の課題を把握しやすくなります。だからといって、高価なシステムや会計ソフトウェアを必ずしも導入する必要はありません。あなたのパソコンに入っている「Excel」で日次決算表を使ってみませんか?(画像やサンプルファイルを使って解説します。)
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目次
1. 小さい会社でもできる!Excelで簡単に作れる日次決算システム
2. 読者の皆様へプレゼント!Excelで作成した日次決算シート
3. 実際に、日次決算シートにデータを入力してみよう
4. 見通しを狂わせる大きなポイント、季節指数と稼働日数
5. 追いかけるのは売上・粗利、そしてコスト。そのすべてをこのシートで可視化できる
6. 小資本の小さな会社であるからこそ日々の利益管理が大切
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1. 小さい会社でもできる!Excelで簡単に作れる日次決算システム
「日次決算システム」などというと随分ご大層に聞こえてしまいますが、
管理項目がそれほど多くない小さな会社であれば、「Excel」で作成した表を使って、充分に高品質な日次決算シートを作成することができます。
日次決算シートのポイントは以下のとおりです。
■■日次決算表を作成する時に注意する5つのポイント■■
1. 1ヶ月の販売計画(売上)、見込の原価や固定費、変動費(コスト)が「予算化」されていること
2. 予算数値が稼働日数で割られ、1日当たりの数値がわかること
3. 毎日の売上、原価、変動費の「実績」を入力できる欄を作ってあること
4. 売上総利益(粗利) = 売上 - 原価 、 営業利益 = 売上総利益 - ( 固定費 + 変動費 )が自動で計算されること
5. 予算と実績が対比しやすい表になっていること
この5つのポイントが満たされていれば、表の作りはみなさんが見やすいように作っていけば全く問題ありません。
日次決算表を導入することで経営状態の細部が可視化され、日々の利益状況を把握する習慣ができることで利益志向が強くなります。
ぜひ日次決算表を導入してみてください。
■■日次決算表を導入することで得られる5つのメリット■■
1. 日々の営業利益が可視化されることで、利益志向が高まる
2. 【会社の儲け】の状態が一目でわかる
3. 予算・目標に対する進捗管理が簡単になる
4. 変動費の使用状況が一目でわかるため、コスト削減意識が高まる
5. 経営状態のアラートを早く掴むことができ、対策の実施が早くなる
2. 読者の皆様へプレゼント!Excelで作成した日次決算シート
「Excel」で簡単にできる、とはいっても、苦手な方もいらっしゃると思います。
そこで、今回読者の皆様にプレゼントをご用意いたしました。
【Excelで作った日次決算シート】の見本を以下のリンクからダウンロードできます。
どうぞお受け取りください。
※このシートはExcel97以降で使用できます。
※圧縮ファイルを解凍し、【Excelで作った日次決算シート】フォルダをクリックして開いてください。
このシートは、できるだけ多種多様な業態で日次決算シートをお試しいただけるよう、汎用性がなるべく高くなるように考えて作成しました。
手軽に運用していただけるように、入力項目もなるべく減らしてあります。
■以下の5つの項目を入力することで予算ができます。
・休日設定
・目標とする売上
・平均の原価率
・各種固定費の金額
・各種変動費の金額
■以下の3つの項目の実績を入力していくことができます。
・売上実績
・原価の実績
・変動費の使用実績
簡単な作業で、あなたの会社の儲けの状態を常に可視化し、経営に取り組むことができるようになります。
それでは、この日次決算シートを試しに使ってみましょう。
3. 実際に、日次決算シートにデータを入力してみよう
簡単に入力の方法をご説明します。以下の説明に沿って入力してみてください。
■■基本情報の入力■■
■該当月の設定
このセルには、管理する月の情報を入力してください。例えば「2011年10月」の管理を行う場合は、
半角英数字で「2011/10/01」と入力します。
■目標とする売上の入力
このセルには、管理する月の日次平均目標売上を入力してください。日次決算シートには稼働日1日当たりの必要売上額が自動計算され、日次の目標額として表示されます。
■平均の原価率の入力
このセルには、あなたの事業の平均の原価率を入力してください。1日当たりの粗利が自動計算され、日次の目標額として表示されます。
■各種固定費の金額入力
このセルには、あなたの会社の各種固定費を入力してください。1日当たりの固定費が自動計算され、日次の経費額として表示されます。
元々の設定にない項目を作りたい時は、「その他経費●」の名前を変更して使ってください。
※入力欄が足りない場合は、特に重要なものを項目として残し、最後の1行に「その他経費」という欄を作ってまとめ入力してください。
■各種変動費の金額入力
このセルには、あなたの会社の各種変動費を入力してください。1日当たりの変動費が自動計算され、日次の経費額として表示されます。
元々の設定にない項目を作りたい時は、「その他経費●」の名前を変更して使ってください。
※入力欄が足りない場合は、特に重要なものを項目として残し、最後の1行に「その他経費」という欄を作ってまとめ入力してください。
■■稼働日算出設定■■
休日設定を行いましょう。下のタブで「日次決算シート」に切り替えてください。
7行目の「休日フラグ」欄に、会社が休みの日に半角数字の「1」を入れてください。
※稼働日算出の際の注意事項
この日次決算表は31日で構成されています。2月、4月、6月、9月、11月については、一か月の日数が31日を下回るため、表の最後の方に翌月の1日からの日付を表示します。
2月、4月、6月、9月、11月を管理する際は、翌月の1日以降の日付にも「休日」の設定を行ってください。
以上で、管理する月の「予算」を算出するための設定が完了しました。日々の実績を入力し、実際の状況と計画との進捗を管理してみてください。
4. 見通しを狂わせる大きなポイント、季節指数と稼働日数
基本情報入力シートには、「季節指数」、「曜日指数」と「週次指数」を入力する欄があります。
元々はすべて「1.00」が入力されていて、すべての稼働日に平均の目標値が入るようになっています。
小売業や飲食店等、店舗ビジネスを営む事業者は、曜日や週によって売上の度合いが大きく異なります。
この2つの数字の入力値を調整して、イメージに近い計画になるように調整してみてください。
※各指数の平均値が「1」になるように上手く調整してみてください。
※季節指数を変更すると予算金額自体が増減します。
これらの「季節指数」、「曜日指数」と「週次指数」という変動要因、稼働日数は、見通しを狂わせる大きな要因となり得ます。
日次決算シートを作成しながら、これらの変動要因を可視化しておくことで、
「今月は曜日のめぐり合わせが悪いから、このままの計画ではショートするかも」
「締日が祝日だから、前倒しで案件を詰めなくては」
というように、計画そのものを修正していくことが容易になります。
5. 追いかけるのは売上・粗利、そしてコスト。そのすべてをこのシートで可視化できる
日次決算シートの入力を始めると、日々の経営状態が如実に可視化されてきます。
このように、日々売上だけでなく、粗利の状況、コストの状況を追いかけていくことにより、さまざまな意識改革が起こり、必ず経営活動に変化が現れます。
※サンプルデータのため、上記数値に一切の根拠はありません。
飲食店や小売業など、労働集約型の事業を行っている場合などは、特にこの日次決算シートが効力を発揮します。
日々の入力をきちんと行っていくことで、あなたの中にも貴重なデータがどんどん蓄積されていきます。
その結果、数値に敏感な経営感覚がどんどん研ぎ澄まされていきます。
6. 小資本の小さな会社であるからこそ日々の利益管理が大切
小さな会社の経営者は1人何役もこなさなくてはならず、経営管理のための工数を確保するのは大変です。
しかし、小資本の小さな会社だからこそ、日々の経営状態・利益管理をしっかりと行っておくことが大変重要です。
経営の最小単位は「1日」です。
1日1日の経営状態をデータとして蓄積していくことで、さまざまな状況の変化や課題を早期に察知し、一歩早い対応ができるような環境を整えていきましょう。