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これって『麻薬』じゃないの?
モールに出店している と、よく担当コンサルタントからこんなことを言われます。
『送料無料セールをやって、どーんと売り上げ作って新規顧客の獲得をしてみませ んか?』
『50%オフ広告を出して、勢いをつけて販売促進をしましょう!』
『ポイント10倍キャンペーンをやって、優良会員の囲い込 みをしませんか?』
ぱっと聞くと、なんだかどーんと売れそうで、わくわくする誘いに思えます。
「そうだよな、新規顧客を獲得しな いことには、次に繋がるお客も取れない、ってことだもんな!」
お客様は「送料無料に弱い」です。そこで、現在自社で人気のある商品を、思い切って「送料無料」にして、どーんと大きく仕掛けてみることにしました。
今まで買った ことのないお客様が、たくさん押し寄せます。割り引きセットは、おもしろいように売れました。
「よし、これで一気に巻き返せるぞ!利益が薄かっ た分も、ガツンと取り戻そう!」
と、しばらく意気揚々とメルマガなど書いてみていますが・・・その後、売り上げは伸びません。
そこで、コンサルタントからまた連絡が入ります。
『少し勢いが落ちちゃいましたねー!また広告で、送料無料どーんとやりましょうか!』
不安になった店主は、その誘いを承諾してしまいます。そして、広告掲載をすると、また売り上げはどーーんと伸びる。注文のメールが、次々と管理画面に流れ 込んできます。
「そうそう、こうでなくちゃ!これが楽しいんだ!」
・・・それが、破滅の序曲であるとも、気づかずに喜ん でしまうのです。
『売り上げ』と『粗利』、そして『経費』
通 常、2000円で販売している人気商品。原価は、自社商品のため、梱包資材を入れても5割程度。つまり、商品の粗利は「1000円」ということになりま す。
普段はこれに別途送料が700円かかります。これは、お客様に負担していただく費用です。
しかし、「送料無料広告」を買っ て、「送料無料」を実施した場合、この経費はいくらかかると思いますか?
例えば、広告費が15万だったとします。2000円送料無料のこ のセットが200セット売れた場合、1セットあたりにかかった広告費は、750円ということになります。
この商品の粗利は1000円、この中か ら「送料無料」分の700円がマイナスになるため、残る利益は300円。
これに対し、
・広告費
・モールの課金(通常 は3~7%)
・ポイントなどの経費
・(クレジットの場合)利用料
・モールの月額利用料
などが経費として出 てしまいます。(広告費を除いて、上代の約10%程度と換算します)
これだけで、単純に考えても、わかりますよね?
これが、ど れだけ恐ろしい販売方法であるか。
『売れば売るほど赤字が増える』恐るべき現象なのに、実は売り上げの数字に目がくらんで本質が見え なくなってしまっている店長さん、決して少なくないんです。
「まさか!?」と思われるかもしれませんが、これは紛れもない事実です。
実はこれ、ちゃんと「本」になってるお話なんです。
「人気ネットショップ店長 セキララ奮闘記」という本があります。
著者の水上氏 は、現在一緒にお仕事をする仲間で、非常に学ぶところの多さに、日々感動しているのです。
本を読んだみんなが「これって単に、商売のイ ロハがわかってなかっただけだろ?」などと暴言を吐きながら、実は密かに冷や汗を拭いていたのを、私はずっと見てきました。
なぜなら、みな多か れ少なかれ、一度はこれと似た様な体験を経由して、現在があるからなのです。脱サラしてネットショップで成功した店長さんたちの、表に出ない恥ずかしい失 敗談を、水上氏はそれこそ「セキララ」に告白してくれ、気づきを与えてくれたわけですから。
1年以上が経過して、今は実に離れがたい、素晴らし い指導者として君臨してくださっているのです。
というわけで、皆さんにもぜひ、一度は手にとって頂きたい1冊です。
・・・あ、今回は、なんかフードジャンルじゃなかったですね。(苦笑)