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「まずサーバーありき」では失敗する
では、サーバーを導入するにはどうしたらいいのでしょうか。よくある失敗は、「とりあえずサーバーを導入すれば何とかなるだろう」と考えてしまうことで す。確かにサーバーがあれば何でもできるのですが、だからこそ逆にどう使っていいか分からなくなる、ということにもなってしまいがちです。そのため、まず 自社の業務においてどうやってサーバーを活用しているのかを、きちんと把握した上で導入する必要があります。
簡単なところから考えてみると・・・
しかし、それほど大げさなことを考える必要はありません。まず身近にある問題から解決していけばいいのです。
た とえばよくある風景としては「プリンタの共有がされていない」ということがあります。プリンタに接続してあるパソコンが一台しかないため、印刷をしたい社 員がパソコンの前で列をつくるというような風景は、皆さんの周りにもあるのではないでしょうか。サーバーの機能を使えば、ネットワーク経由で一台のプリン タを共有することも簡単です。そうすれば、社員全員が自分のパソコンからプリンタを使用できるようになります。あるいは、前回お話ししたような「フロッ ピーやCD-ROMでデータのやり取りをしている」という状況もサーバーを使えば解決できる問題です。
こうしたことは小さな問題に見えますが、日 常的に発生しているため、累積すればかなりの時間を無駄にしている可能性があります。サーバー用のコンピュータといっても、普通のパソコンとそれほど変わ らない価格で購入できるため、こうした使い方をするだけでも費用対効果としては決して低くはないと思います。
今の仕事の進め方から考えてみると・・・
あるいは、「仕事の進め方」における問題点から考える方法もあります。
た とえば、営業担当者が外出中に、お客さんから「とりあえずメールで資料を送っておいて」と言われたとき、会社からでなければ資料のファイルにアクセスでき ないような状況であれば、会社に戻らなくてはなりません。業務時間内であれば帰社すればよいのですが、訪問先の場所によっては直帰したいという場合もある でしょうし、出張で遠くに出てしまっていることもあるでしょう。そうすると、資料を送るのが遅くなってしまったり、忙しいときにはそのまま忘れてしまった りということになるかもしれません。
あるいは、次のような会話はないでしょうか。
Aさん「明日の打ち合わせなんだけど、Cさんの都合で13時から16時に変更してもらえないかな?」
Bさん「え、16時だともう外出しているんだけど」
Aさん「何時頃に戻ってくる?」
Bさん「うーん、18時には戻れそうかなあ」
Aさん「じゃあ18時からってことで、もう一度Cさんに連絡してみるよ」
このように、何人かでちょっとした打ち合わせの予定を決めるのに、電話やメールで繰り返しやりとりをしている、という状況はよくあると思います。このような場合は、何らかの形で社員の予定が共有できるような仕組みを導入するべきでしょう。
ちょっ と職場を見渡してみれば、いろいろな無駄や問題点が見つかると思います。まずサーバーを導入する前に、どのような課題を解決したいのか、ということをある 程度明確にしておいた方がいいでしょう。そうでなければ「サーバーを買ってみたものの、誰も使っていない」という状況になってしまう可能性が高くなりま す。
サーバーを導入するためには
では、サーバーを実際に導入するためにはどうすればよいのでしょうか。用意しなければならないのは「パソコンそのもの」と「サーバー用のソフト」のふたつ です。(パソコンでDVDを見るためには、「パソコンそのもの」と「DVDを見るためのソフト」の両方が必要になるのと同じです)サーバー用のソフトに は、たとえば前回お伝えしたような「ファイルサーバー」や「メールサーバー」の機能に加え、予定表共有機能なども備えた「ウィンドウズ スモールビジネスサーバー」などがあります。
しかし、まずパソコンとソフトをバラバラに購入してから、ソフトをパソコンに入れるというのは かなり面倒です。個人用のパソコンであれば、家電の量販店に行くと、ワードやエクセルなどのソフトがすでに入った状態で売られています。それと同じよう に、ビジネスで利用するサーバー用のパソコンも、サーバー用のソフトが初めから入った状態(「プリインストールサーバー」と呼ばれます)で購入できるので す。
導入パートナーの活用
また、サーバー導入後は多 少設定が必要になります。しかし、最近のサーバー用ソフトはかなり簡単に設定できるようになりました。よく使われているソフトであれば、入門用の書籍も充 実しています。ワードやエクセルほどではないにしても、よく使われているサーバー用ソフトであれば、さまざまな解説書が出版されています。
そうは言っても、自分で設定するのは難しそうだと思われる方もいらっしゃるでしょう。そのような場合は、サーバーを購入する際にサポートも一緒に頼んでしまう、という方法もあります。
書 籍と同じく、よく使われているサーバー用ソフトであれば、使い方や導入サポートそのものをビジネスとしている会社がたくさんあります。またソフトの開発元 の方でも、自社ソフトの導入サポートをしてくれる会社は大切なパートナーですから、お互いに連携しながら活動しています。また、そういった導入パートナー では、パソコンそのものの販売を一緒に行なっている場合も多いため、導入から設定まですべてをお願いすることも可能です。ただし、その場合もなんとなく 「サーバーを導入したい」というだけではなく、「このような課題を解決したい」というように具体的に伝えるようにすれば、より質の高いサポートが得られや すくなるでしょう。
次回は、サーバーを自社で購入せずに、サーバーのメリットをうまく活用する方法についてお伝えする予定です。