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新業態「マックカフェ」で地域別値段を採用
今年の夏から日本マクドナルドが「マックカフェ」なる新業態の店舗を展開しているのをご存じでしょうか?15店舗オープンしたこのマックカフェは、既存のコーヒーチェーン店と戦うべく、コーヒーをはじめ11種類の野菜を使ったスープ、皮がはがれにくいクロワッサンなどの食事メニューを充実させた店づくりになっています。さらに、このマックカフェでは「地域別価格」を採用していると聞き、思わず「なるほどぉ~」とうなってしまいました。
15店舗のなかでも、東京・神奈川・兵庫にある9店舗は高価格設定。千葉の2店が中間で、埼玉と茨城の4店舗を安くしたそうです。具体的には、小さいサイズのホットコーヒーが 170~180円、エスプレッソが230~250円で、競合他社と比べると、スターバックスの280円、タリーズの290円よりは安く、ドトールコーヒーショップの180円とほぼ同水準といったところですが、マックカフェでは大きめのカップを使い「割安感」を出しているようです。
均一サービスを目指すチェーン展開からの脱却
マックカフェが「地域別価格」を採用した背景には、その客層による部分も大きいでしょう。ライバル店が会社員や女性客をターゲットにしているのに対し、マックカフェは「マクドナルド」のブランドイメージから、家族連れの客層が多いと思いますから、おのずと価格にもシビアにならざるを得ないということです。しかし、それを加味しても、「地域別価格」を採用したのは、かなりよい選択だったと思います。
ひと昔前のチェーン店は「全国どこでも均一のサービス」に向かって走ってきたわけですが、今や時代は大きく変わっています。多くの情報を持ち、成熟した消費者に対し、いつまでも「均一」でいいわけがありません。
これからの経営者には、地域性やお客さんのニーズを敏感に汲み取り、臨機応変に対応していく感性が重要になるでしょう。そこには「マニュアル」を超えた発想が必要ですし、感性や発想を裏打ちする小まめなデータ収集と的確なデータ解析が必要になります。
総合研究施設「スタジオM」でさらなる発展を
日本マクドナルドでは、10月中旬から自社の総合研究施設「スタジオM」を本格稼動させています。ここでは、人材教育や新メニューの開発、食の安全、効率的な店舗運営の立案などを行うようですが、これらの機能を1箇所に集めたのは、世界のマクドナルドのなかでも日本が初めてだそうです。
同社は、8ヵ月連続で月間売上高の最高記録を更新するなど、絶好調ぶりをみせていますが、こうした戦略の指揮をとるのは原田永幸CEO。ご存じの方も多いと思いますが、原田氏は、転身前アップルコンピュータの日本法人で社長を務め、あの「iMac」大ヒットの立役者です。
その手腕を現在は外食産業で発揮しているわけですが、「既存の枠から抜け出して変化に対応する姿勢」は、アップル時代と変わらず、ピカッと光るものがありますね(*^^)v。この原田氏を抜擢した日本マクドナルドの眼力と、これに応じた原田氏の選択はさすがだと思います。トップがこれだけの人物で、その指揮のもと、各店舗のデータ解析によるマーケティングから人材教育までを体系化し、研究所まで設立したとあっては、今後のさらなる発展への期待も高まります。
会社の継続的な発展は、いつの時代も経営者の発想力とその手腕にかかっているものです。成長を続ける企業から、真摯に学ぶ姿勢を持ちたいものですね(@^^)/~~~。