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IT技術者の不安を引き受けよ!
みなさんご存じのように、近年「働き方」が多様化しています。みなさんのように「起業家」の道を歩む方は年々増えてきたようですが、「起業」とまではいかなくとも、「フリー」な環境で働きたいと考える方たちも確実に増加傾向にあるようです。
そんななか、会社組織に縛られずITの技能を活かして自由に働きたいと考える方たちを応援する事業を始めた会社があります。「首都圏コンピュータ技術者株式会社」では、IT技術者に対して、仕事のあっせんから、税務・経理事務の代行までを支援してくれるのだそうです。
そもそも、IT技術者のなかには“職人肌”の方も多く、営業や経理事務に苦手意識を持つことから、独立に不安を感じるケースが多かったみたいです。同社では、この不安を一手に引き受けることで、IT技術者は得意分野の仕事に専念できる環境を提供しようというのです。すでに同社に登録を済ませた技術者からは、「個人では相手にされにくい企業からも仕事が入る。手厚い福利厚生も魅力」と話しています。
「契約の透明性」はパートナーシップのキーとなる
先ほどご紹介した「首都圏コンピュータ技術者株式会社」とは、もともと事業協同組合として、1989年に設立された団体で、個人事業主として働く、フリーのIT技術者を支援することを目的としてきました。その後、事業が拡大してきたこともあり、2007年10月に株式会社化したようです。現在では、全国で約1800人の個人事業主と「パートナー契約」を結んでいるとのこと。
パートナーとして契約できるのは、開業届けを出している個人事業主のみですが、同社が営業を肩代わりし、個人の力量に応じた仕事を個別に紹介してくれるそうです。同社が受け取る手数料は、企業との契約金の8~12%で、これは契約した回数が増えていくに応じて、パートナーの取り分が多くなる仕組みになっています。一般的な人材派遣会社の手数料が、最低でも30%であることを考えると「収入面のメリットは大きい」と同社では強調しています。
実際、企業と契約する場合は、パートナーとの「共同受注」という形式をとっていて、このため、受注金額や契約内容を両者で確認することができ、「契約の透明性」も魅力のひとつになっているようです。
「働き方」の多様化で生まれたマーケット
このように、仕事のあっせんをしてくれるのはもちろんのこと、日々のわずらわしい経理事務や決算書の作成を代行してくれたり、病気やケガに備えた共済会制度のほか、資格試験の受験者には教育補助金を給付するなど、福利厚生面の充実も目指しています。そのほか、IT技術を高めるためのセミナーや、パートナー同士の親睦会なども企画していますから、個人事業主として働くIT技術者にとって、なかなか魅力的なサービスではないでしょうか。
同社では、3年後をめどに、契約パートナーを3千人程度にまで引き上げる計画だそうです。ターゲット層に上手に訴求していけば、十分達成可能な数字ではないでしょうか。失礼ながら同社のサービスは、決して“目新しい”ビジネスモデルではありません。しかしこんなふうに世のなかの変化を確実にキャッチし、ターゲット層の心のなかに生まれた「不安や不便」を丹念に汲み取り、それを解消する手段を現実的なサービスに変えていくことで、安定的なマーケットを確立できるものなのです。
IT技術者にとどまらず、今後は、こうした「フリー」なスタイルで働きたいと考える人たちが増えてくるように思います。特にクリエイティブ系の仕事をしている人たちや、仕事そのものの発生から日の浅いWeb系の仕事にかかわる人たちが、より働きやすい環境で自由に才能を発揮する土壌を作ることは、世のなかの急務のようにも思われます。今回の事例を参考に、「自分だったらこんなサービスを提供するかな…」などと、あれこれ発想を広げてみてください(@^^)/~~~。