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書きのデザインをCADにスイッチすると…
今、ジュエリー業界でちょっと面白い動きがあります。建築や工業デザインでは一般的に使われているCAD(コンピュータを使った設計システム)を駆使し、顧客の前でオリジナルジュエリーをデザインしていくというサービスを始めた会社があるのです。
これは、新規事業企画会社の株式会社エムアウトが展開する、ジュエリーのオーダーメイド・リフォーム専門店「アイデクト」で始めたサービスなのですが、CADを顧客の前で操作しながら、顧客が望むデザインの指輪やペンダントなどをつくってくれるというわけです。
自動車や家電製品などと違い、これまで宝飾品のデザインは「手書き」がほとんどだったそうですが、パソコンを使えば、リングの太さや宝石の形など細かな修正も自在にできるため、顧客のイメージどおりに仕上げることができ、好評を得ているようです。しかも、プラチナなどの素材のグラム数もその場で計算できるため、予算に応じて気に入ったジュエリーを作ることができるそうです。これだけでも、CADの導入はかなりメリットがあるように思えます。
顧客のニーズからビジネスを発想する
同社では、まず横浜ららぽーと店でCADを実験的に導入したところ、「こだわりを持った男性客に好評だった」と話し、顧客層の拡大に期待を寄せているそうです。半年をめどに他店でも導入する予定だそうですが、CADを導入したことにより、顧客が得られるメリットをターゲット層に対してきちんと伝えることさえができれば、今後の展開にもかなり期待が持てるのではないでしょうか。
小さい頃から多くの「モノ」に触れてきた今どきの世代は、ジュエリーひとつにしても、「人と同じのはイヤ」と考えるはずです。女性にとっても、彼氏からもらったジュエリーが「オリジナル」だったら、かなりポイントが高いというものです。しかし、素人が自分でデザインするとなると…実際困ってしまいますよね。頭の中にあるイメージを明確に表現できる素人は、皆無に近いでしょう。
その点、CADを使い対面でデザインを進めてくれるこのサービスは、オリジナル志向の素人にとって、とってもありがたいと思います。「ここはもっと丸みを出して…」などと、お互い納得のいくかたちで進めていければ、顧客満足度が上がることは間違いありません。
その上、何かと不透明な部分が多い宝飾品の価格をその場でスパッと明示できるわけですから、顧客に「安心感」を与えることができますし、修正が簡単だということは「デザイン料」のコストダウンを図ることも可能でしょう。いずれにしても、顧客の中に潜在的に眠る「こうできたらいいな」をいち早く感じ取り、そこからビジネスを発想するセンスが必要だというわけです。
既存の技術をビジネスにどう活かすか
この事例でもわかるように、技術は「他分野」で応用すると面白いビジネスになる可能性が高いのです。以前、私のブログでも「顔ちぇき!」というサービスについて取り上げたことがあるのですが、これなども格好の事例で、セキュリティーの分野で活用されてきた高度な顔認証システムを、携帯電話で送った顔写真が「どの有名人に似ているか」を即座に判断してくれるサービスに応用したものです。2007年に、このサービスがブレイクしたことは、みなさんもご存じだと思います。
そもそも技術というものは、「もっと便利にしたい」「もっと効率化できるはず」といった方向性で開発されていくものなのですが、それを『こんなふうに使ったら面白いかも』と発想する人間が現れて、思いもよらぬ方向へと進化していくのです。
あなたなら、既存の技術を使って、どんな商品やサービスを開発するでしょうか?
ぜひ楽しみながら、あれこれ発想してみてください(@^^)/~~~。