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ドラマを使った「法人向け研修プログラム」登場!
「企業研修」というのも、意外と“流行”に左右されるマーケットですが、今、テレビドラマを使って“組織力強化”を図ろうという、野村総合研究所の法人向けプログラムが注目を集めているようです。プログラムの名前は『ドラマチック・ダイアローグ』。人間関係が希薄になりがちな現代社会において、“上質な対話”の場を提供するサービスとして、関心が寄せられているといいます。
その第1回に選ばれたドラマが、あの「王様のレストラン」です。かなり人気のドラマだったのでご存じの方も多いと思いますが、1995年4月期にフジテレビ系で放送されたドラマで、脚本は三谷幸喜氏。亡き父親に代わり、名店レストランのオーナーになった禄郎(筒井道隆氏)が、伝説のギャルソン千石武(松本幸四郎氏)の力を借りて、店を建て直していくという物語です。
この研修では、全員でドラマを見た後、約1時間半のディスカッションを行うそうです。経営陣を中心とする
・「トップマネジメント」向け
・部門横断で組成された「タスク・フォース」向け
・また専門性の高い「ストア・スタッフ」向け
以上の3つのコースが用意されていますが、いずれもドラマによる共通の疑似体験を通じて、「チームビルディング(組織力強化)」を目指すのだとか。同社では、「日本の組織で人の経験や夢、思いを共有していく『上質な対話』が失われつつある。語り合うことによって相互理解や信頼関係が構築できればと思う」と話しています。
ドラマは研修に適したコンテンツだった!?
また、このドラマを選んだ理由を「レストランの経営がビジネスの観点からきちんと描かれているリアルさ。キャラクター設定が多彩で、コメディの要素も高く、気軽に楽しめる」からとし、「経営の場にエンターテイメント系の素材を取り入れることで、ビジネスの裾野も広げていきたい」と話していますが、着眼点としては、非常にユニークですよね(*^^)v。
昨年(2007年)8月に話を持ち込まれたフジテレビ側も「コンテンツは財産。よいソフトは繰り返し視聴に耐えうる、という構想の着眼点にも共感できる」として理解を示し、著作権者などの許諾を取り付けたようです。既存コンテンツの有効活用という点から考えても、よい取り組みかもしれません。
なにより、研修参加者が“興味”を持てる内容かどうかが、企業研修の成否を分けますから、「リアリティのあるドラマ」は、その素材としては、最高に適した存在であると思います。まさに、「よく思いついたな」というアイデアです。
着眼点の良さが“新たなビジネス”を生む
この事例からもわかるように、ちょっとした“発想”の違いや“着眼点”の違いで、既存のマーケットにも十分通用するビジネスモデルが構築できるものなのです。お堅い話題で、ちょっと退屈な研修も多いなか、「面白かった」という評判が立てば、この研修を採用する企業や官公庁も増えることでしょう。
また、テレビ局側にとっても、こうしたビジネスが、新たな収益源になる可能性もあります。著作権関係の問題さえクリアになれば、企業研修のほかにも、良質なコンテンツを有効活用する方法があるかもしれません。
こんなふうに、ユニークな“マッチング”により、世のなかに「両者が喜べるしくみ」が誕生する可能性もあります。こうしたアイディアをヒントに自分自身の発想を広げ、日々“経営脳”を鍛えるトレーニングを重ねていきましょう(@^^)/~~~。