経営戦略 Vol.37 ノートもコピーも名刺もタダ!?「無料」をキーワードに起業する学生の視点

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
今、学生をターゲットに、「無料」をキーワードにしたビジネスが花盛りのようです。ノートもコピーも名刺もタダ!? どれも学生から生まれたアイデアで、その後「起業」するケースも多いようですが、今回はそんな無料ビジネスを取り上げ、ビジネスモデルを発想するためのヒントをお届けしましょう。

ノート代がタダに!?  校門前で無料のルーズリーフが配られる…

 平日の午前中、大学の校門前で、何やら手渡しで配布されている様子……サークルの勧誘チラシか何かと思いきや、なんと!無料の「ルーズリーフ」が学生たちに配られているのです。この「ルーズリーフ」は『ルーズフリー』と呼ばれ(なかなか、コジャレたネーミングですよね)、法政大学の学生を中心とした団体「ファインダウェイ」が企画・運営しているものです。

 

 

 ルーズリーフの最下段4行相当分の企業広告をカラーで載せることで、「ノートの無料化」を実現したのです。昨年末から、首都圏の9大学で、すでに4万部を配布した実績を持つようです。広告費は1社あたり、月額40万円だそうですが、延べ8社の広告を取ることができれば、印刷費や配布アルバイトの人件費を差し引いても、利益率は2~3割になるといいます。

 といっても、最初は飛び込み営業をしても、断られることがほとんどだったようです。そこで彼らは「広告がピンポイントで学生に届く」また「ノートは試験が終わるまで捨てられない」ことを懸命にアピールし、これまでに12社のスポンサーの獲得に成功。事業も軌道に乗り、近く株式会社として登記し、『ルーズフリー』の発行部数も6~7万部に伸ばす考えだそうです。

 

コピー代も名刺もタダに!? ちょっとうれしいサービスの誕生

 一方、首都圏の学生の間では、すっかりおなじみになった感のあるタダコピ」。コピー用紙の裏面を広告スペースにすることで、「無料コピー」を実現しました。運営する「株式会社オーシャナイズ」も、もともとは学生ベンチャーで、慶応、中央、法政大学の学生たちの思いつきだったみたいですが、利用料タダのコピーは学生たちに大反響で、2005年に会社を設立しました。

 現在は、首都圏を中心に、47大学に計67台のコピー機を設置。1年間で、約1000万枚のコピー用紙が、学生の手元に渡るといいます。今では、広告主にも、大企業がずらっと並び、2007年度の売り上げは、2億8500万円にも上るそうです

 

   そのほかにも、無料の名刺「マイカードを制作する会社も誕生しています。運営する「イクス株式会社」もやはり学生ベンチャー発の会社で、名刺の裏面を広告スペースにすることで、学生が無料で、携帯番号やメールアドレスなどを書いた名刺を持てるようにしたのです。利用者は、年間10万人にも上るといいます。今ではその存在がクチコミで広まり、幼稚園仲間に自己紹介代わりに配る主婦たちも誕生しているといいます。同社は、「3年以内に東証マザーズへの上場を目指す」と意気込んでいるようですよ。

 

ネット広告のリアル版!? ターゲットにきちんと訴求する広告

 これらのビジネスは、既存の枠組みにとらわれず、いずれも自分たちで「広告メディア」を作ったことに成功の要因があります。企業としても、ターゲットに届くか届かないかの保障がない広告にお金を払うより、コアなターゲット(この場合は学生たち)にきちんと訴求するメディアに広告料を払いたいと思うは当然のことです。

 これまでは、メディアそのものの価値で、広告の値段が決まっていたわけですが(全国版の新聞広告がものすごい値段だというのはみなさんご存じだと思います)、ネット広告が登場したことにより、広告主の価値観も変わり、「ターゲットにきちんと届く」ことにこそ、価値が置かれる時代になったということでしょう。

  ですから、これらのビジネスがより成功するためには、「みんなが使いたくなるしかけ」をすること、また「広告媒体自体の価値を上げること」という視点が必要になってきます。たとえ無料であっても、ダサイ広告の載っている名刺やノートなどは、絶対に使いたくないはずです。であれば、広告もデザインの一部にさえ見えるようなおしゃれなものにすべきでしょう。そうしたユーザー感覚を的確に掴んでいるからこそ、学生ベンチャーが成功するわけです (*^^)v。

 また、ルーズリーフであれば、その学校でとても優秀な学生に頼み込んでなんとか使ってもらう、なんて手もあります。優秀な学生のノートは、試験前にコピーが出回るはずですから、その宣伝効果は何倍にもなりますよね(*^^)v。 こんなふうに、ちょっとした視点で、ビジネスモデルはどんどんブラッシュアップされるものなのです。この事例を参考に、あなたも新たな「無料ビジネス」を発想してみてはいかがでしょうか (@^^)/~~~。

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